令和上司のすすめ ―「部下の力を引き出す
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(本記事は、飯田 剛弘氏の著書『令和上司のすすめ ―「部下の力を引き出す」は最高の仕事』=日刊工業新聞社、2020年9月19日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

キャリアをデザインし、自分の道を作り出す

今までに、「○年後の自分」について質問されたことのある人は結構多いと思います。ですが、この質問に答えるのは難しくなってきていると感じています。

私たちは、多種多様な価値観があることを知っています。終身雇用制度が機能していたときのある種決まった人生のレール(例:就職→結婚→マイホーム→…)以外にも、多くの選択肢や道があります。会社が倒産したり、リストラされたりすることもあり得ます。

子供の看病や家族の介護など家庭の事情で、これまでとは違う働き方が求められたりもします。つまり、キャリアや人生を計画することは、選択肢が増えたことで、今まで以上に難しくなっているのです。そもそも予定調和な未来はあり得ないのです。

これからは、キャリアをデザインする意識がより重要になります。自分の価値観を基に、主体的に行動し、未来を作り上げていくのです。いろいろな選択肢があります。同じ会社で働き続けて出世する、転職する、独立する、複数の会社に勤めるなどさまざまです。

また、これまでのように自営業かサラリーマンか、副業するかどうか、仕事かプライベートかというような二択で考えるものではなくなってきています。そのため、今まで以上に自分でキャリアを設計することが求められているのです。自己実現するためにも、自分自身を知ろうとすることが重要です。自分との対話が必要になります。

キャリアをデザインする上で、よく3つの問いをすることが大切だと言われます。

①「何がしたいですか? ( Will ) 」

「どんなことが好きですか?」「楽しいですか?」「どんなことに興味がありますか?」などを自問すると、答えやすいかもしれません。「なぜ、そう思うのか?」を確認することは大切です。「なぜなぜ」を繰り返し、徹底的に考えましょう。そうすることで、自分の価値観や大事にしていることに気づき、やりたいことが少しずつ見えてきます。

②「何ができますか? ( Can ) 」

要するに、実績と能力です。具体的に何をやり遂げたかを数値で考えます。例えば、「講演経験多数」ではなく「過去3年間で200回以上講演」と表現する方がイメージしやすいでしょう。また、「コーチングが得意」というよりは「コーチング中心の『1on 1』を年間100回」と表現する方がわかりやすいでしょう。また実績がなくても、他に持っている能力やスキルを整理することも、可能性を広げる意味では大切です。

③「何をしなければいけないですか? ( Must ) 」

これは、自分起点で考えるのではなく、相手起点で考えます。企業、社会が求めていることに対して何ができるかです。マーケティング的な思考になりますが、相手のニーズを見つけ、どうそのニーズを満たすことができるかを考えます。

これらを踏まえて、「自分はどうなりたいのか?」というゴールを設定するといいでしょう。そして、そのゴールを達成するために必要なことを具体的に洗い出し、どう進めていくか計画して、実行していくのです。自分に素直になり、自分の価値観を大切にしましょう。

『令和上司のすすめ ―「部下の力を引き出す」は最高の仕事』
飯田 剛弘(いいだ よしひろ)
愛知県生まれ。2001年、南オレゴン大学卒業(全米大学優等生協会: Phi Kappa Phi 所属)後、インサイトテクノロジー入社。2004年よりインド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本の出版翻訳に携わる。マーケティングに特化後は、データベース監査市場にて2年連続シェア1位獲得に貢献。市場シェアを25.6%から47.9%に伸ばす (ミック経済研究所)。

製造業の外資系企業FAROでは、日本、韓国、東南アジア、オセアニアのマーケティング責任者として、日本から海外にいるリモートチームをマネジメント。アジア太平洋地域でのマーケティングやプロジェクトに取り組む。人材育成や多様性のあるチーム作りにも力を入れ、1on1ミーティングは1,000回を超える。

2020年、ビジネスファイターズ合同会社を設立。現在、多様なメンバーと協働し、グローバルビジネスで結果を出してきた経験を基に、経営やマーケティングの支援、グローバル人材の育成やリモートチームのマネジメント支援(研修・講習・執筆)など多方面で活動中。

著書に『童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)、『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)、『こじらせ仕事のトリセツ』(技術評論社)がある。

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