令和上司のすすめ ―「部下の力を引き出す
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(本記事は、飯田 剛弘氏の著書『令和上司のすすめ ―「部下の力を引き出す」は最高の仕事』=日刊工業新聞社、2020年9月19日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

「モチベーション」という言葉に振り回されない

「モチベーション」は組織が成功する要因の一つです。しかし、私たちは部下との仕事で「モチベーション」という言葉を使わない方がいいでしょう。「モチベーション」という言葉は人によって解釈が違います。モチベーションを「頑張るための理由」として使っている人は多いと思います。あなたの周りはどういう意味で捉えていますか?

本来、モチベーションは目標や理想に向かって行動を起こす力です。

例えば、「目標を達成したいから」「いい結果を出したいから」あるいは「成長したいから」やりたいと、自ら積極的に動きたくなる気持ちを起こさせるものです。

「モチベーションが低いからやりたくない」というのは、できない「言い訳」です。

多くの場合、モチベーションが低いからではなく、実力がないからか、あるいは簡単に成果を出せないからです。例えば、「スキルやノウハウがない」「時間やお金がない」「環境が悪い」などの根本的な原因があったりします。私たちは、その現実から目をそらすために「モチベーション」という言葉を使ってしまうのです。

部下に「頑張ろう」と思ってもらえるよう、部下自身が「〇〇になりたい」「〇〇したい」「〇〇されたい」「〇〇が欲しい」というような動機づけができる環境やキッカケを作ることが大切です。自分の中で「達成感」や「成長感」を感じるようになれば、「もっと、〇〇したい」と思うようになります。普段から小さな成功体験や達成体験を積み上げていくと、「自分はやれる!」という感覚(根拠のない自信)が強くなり、さらに前進しようとします。部下が目標を達成でき、成長できるよう支援することが重要です。

例外として、年上部下のように成長感を求めていない人もいます。その場合は、相手の経験を認めた上で、頼り、相手の力を称える姿勢がよいでしょう。「ありがとうございます。○○さんにお願いしてよかった」「○○さん、1日で対応するってさすがですね」のように伝えるといいでしょう。相手に「○○さんだからお願いした」「○○さんの仕事が他の人の役に立っている」を具体的に伝えましょう。

また、「モチベーションは上げなければいけない」と思う方もいますが、無理やり上げる必要はありません。無理やり上げようとすれば、後から気分が急激に落ちたり、ムダに疲れます。できる上司も、普段からいつもモチベーションが高いわけではありません。ルーチンワークのような定型業務であれば、淡々と行い、成果を出しています。

令和上司のすすめ ―「部下の力を引き出す
飯田 剛弘(いいだ よしひろ)
愛知県生まれ。2001年、南オレゴン大学卒業(全米大学優等生協会: Phi Kappa Phi 所属)後、インサイトテクノロジー入社。2004年よりインド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本の出版翻訳に携わる。マーケティングに特化後は、データベース監査市場にて2年連続シェア1位獲得に貢献。市場シェアを25.6%から47.9%に伸ばす (ミック経済研究所)。

製造業の外資系企業FAROでは、日本、韓国、東南アジア、オセアニアのマーケティング責任者として、日本から海外にいるリモートチームをマネジメント。アジア太平洋地域でのマーケティングやプロジェクトに取り組む。人材育成や多様性のあるチーム作りにも力を入れ、1on1ミーティングは1,000回を超える。

2020年、ビジネスファイターズ合同会社を設立。現在、多様なメンバーと協働し、グローバルビジネスで結果を出してきた経験を基に、経営やマーケティングの支援、グローバル人材の育成やリモートチームのマネジメント支援(研修・講習・執筆)など多方面で活動中。

著書に『童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)、『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)、『こじらせ仕事のトリセツ』(技術評論社)がある。

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