2019年度の人材ビジネス(3業界)市場規模はプラス成長を確保
~2020年度はマイナス成長を見込む~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内人材ビジネス市場を調査し、サービス別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
人材ビジネス(3業界)市場規模推移
1.市場概況
2019年度の人材ビジネス3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比4.5%増の7兆128億円であった。内訳は人材派遣業市場が6兆6,800億円(前年度比4.7%増)、人材紹介業市場が3,080億円(同1.7%増)、再就職支援業市場が248億円(同3.3%増)であり、3業界全てが市場拡大となった。
人材派遣業市場は、就労人口の減少や働き方改革を起因とする労働力不足を背景に、主力の一般事務派遣が好調を維持した。また、ITエンジニアや介護系人材は需要の高まりに対し人材の供給が逼迫する状況が続いている。
人材紹介業市場は、ここ数年において二桁増の高い伸長率で推移していたが、当年度後半以降、景気の先行き不透明感が広がる中、企業の人材採用意欲の減退等を受け微増推移に留まった。
再就職支援業は、好況期にマーケットが縮小する特徴をもつことから近年は縮小基調にあったが、業績や構造改革を起因とする早期・希望退職の実施に加え、年齢構成の是正などを背景にしたキャリア自律支援を目的とする施策を増やした企業もあって、市場拡大となった。
2.注目トピック
新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症によるネガティブな影響としては、経済活動の停滞を受けた求人掲載数・スタッフ稼働数・紹介成約数の減少がある。
特に減少幅が大きい顧客層としては、商業施設や飲食店などの小売業、自動車関連などの製造業、旅行・ホテルなどのサービス業が挙げられる。採用需要の変化としては、未経験層や若年層など緊急性の低い人材の獲得に消極的になる動きがみられている。人材ビジネス各事業者においては、2020年3月頃から徐々に業績へのマイナス影響が出始め、緊急事態宣言が発出された4~5月頃にピークが訪れ、6月以降徐々に回復基調にあるものの、未だ感染拡大前と同水準には届かない、と感じているケースが多い。この悪化状況がどの程度続くのか見通しが立たず、経営の先行き不透明感が漂うため、計画していた新規事業やサービスの取り組みにも遅れが生じている事業者もある。
一方、新型コロナウイルス感染症によるポジティブな影響としては、医療・介護業界、食品工場などの食品関連、物流業などにおいて人材需要が拡大した点が挙げられる。またどの業界においても、ハイクラス人材や高いITスキルを持つ人材の需要は健在で、サービス利用への影響は軽微である。
そのほか、事業者によりメリット・デメリットは異なるが、新型コロナウイルスの感染拡大によって営業体制が大きく変わっている。それまで対面で行われていた商談・面談・面接などは、ほとんどがデジタルツールによりオンライン化され、在宅勤務やリモートワークが導入された。
3.将来展望
2020年度の人材ビジネス3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比7.2%減の6兆5,098億円の見込みである。
当年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞や事業展開の遅れによって人材派遣業と人材紹介業は市場縮小を見込む。一方、再就職支援業は、急速な業績の悪化による早期・希望退職を実施する企業の増加が予見されることなどから、市場拡大を見込む。
調査要綱
1.調査期間: 2020年6月~9月 2.調査対象: オフィスワークを中心とした人材派遣事業者、ホワイトカラー職種の人材紹介事業者、再就職支援事業者 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、郵送によるアンケート、文献調査併用 |
<人材ビジネス市場とは> 本調査における人材ビジネスとは、①人材派遣業市場、②人材紹介業市場、③再就職支援業市場を対象とする。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業 |
出典資料について
資料名 | 22020年版 人材ビジネスの現状と展望 PART1 総合編 |
発刊日 | 2020年09月24日 |
体裁 | A4 499ページ |
定価 | 120,000円(税別) |
お問い合わせ先
部署 | マーケティング本部 広報チーム |
住所 | 〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2 |
電話番号 | 03-5371-6912 |
メールアドレス | press@yano.co.jp |
©2020 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。