矢野経済研究所
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2019年の車載用リチウムイオン電池世界出荷容量は前年比17.6%増の133.1GWh、中国におけるxEV補助金減少の影響を受け成長鈍化

~2020年は新型コロナウイルスの影響により減少に転じる見込(市場ベース予測)~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年の車載用リチウムイオン電池(Lithium-ion Battery、以下LiB)世界市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、世界の車載用LiB市場推移・予測について公表する。

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1.市場概況

2019年の車載用LiB世界市場規模は容量ベースで、前年比117.6%の133.1GWhと推計する。搭載されるxEVタイプ別に出荷容量を見ると、HEVが1.9GWh(前年比185.7%)、PHEVが9.3GWh(同97.1%)、EVが121.8GWh(同118.8%)となり、EV用LiBの構成比が9割を占めた。
欧州を中心にHEVが伸びを示し、EVではTesla モデル3等を中心に中容量EVが大きな成長を見せているものの、PHEV、低容量EVは前年割れに転じている。特に中国で、補助金条件の変更等を背景に需要は伸び悩んでいる。車載用LiB世界市場はこれまで堅調な成長基調を見せてきたが、市場を牽引してきた中国市場で補助金の減少を受け、成長鈍化傾向を見せている。

コロナ禍によって産業全体が縮小した世界の自動車市場を背景に、また現時点での各国の景気・経済対策等を考慮し、車載用LiB世界市場の政策ベース予測と市場ベース予測、2つの成長予測を行った。
政策ベース予測では、世界的な環境規制強化の動きと、各国の普及政策、自動車メーカー各社の電動化シフトを背景に、2020年も欧州を中心にxEV市場が成長を維持するシナリオを読み込んでいる。政策ベース予測における2030年の車載用LiB世界市場規模は、容量ベースで2025年比195.3%の1,720.8GWhになると予測する。一方、市場ベース予測では、使い勝手の良さや車両価格の求めやすさなどの消費者側のニーズを背景に、新型コロナウイルスの影響による経済の減退を受け、xEV市場が前年割れで推移するシナリオを読み込んでいる。市場ベース予測における2030年の車載用LiB市場規模は、容量ベースで2025年比172.0%の496GWhとなると予測する。うち、HEV用が容量ベースで7.3GWh(2025年比171.1%、構成比1.5%)、PHEV用が45.4GWh(同166.0%、同9.2%)、EV用が443.2GWh(同172.7%、同89.4%)になる見通しである。

<調査要綱>
1.調査期間:2020年5月~7月
2.調査対象:車載用リチウムイオン電池(LiB)メーカー(日本、韓国、中国)
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談取材、並びに文献調査併用

<車載用LiB市場とは>
車載用LiBは、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)などに搭載され、自動車のモータを駆動する。本調査における車載用LiB市場は、乗用車及び商用車のマイルドハイブリッド車(SSV、12V、48V)、ハイブリッド車、プライグインハイブリッド車、電気自動車に搭載されるLiBを対象として、2019年まではLiBが搭載されたxEVのメーカー出荷ベースで、2020年以降はxEVのメーカー生産ベースでLiB容量を算出した。

<この調査結果掲載の資料>
資料名:2020年版 車載用リチウムイオン電池市場の現状と将来展望 1st Half Report
発刊日:2020年7月31日
体裁:A4 160ページ
定価:120,000円(税別)

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