末廣 徳司(すえひろ・とくじ)
日本で唯一の経営者を専門にしたスーツ仕立て屋『イルサルト』代表。1995年、早稲田大学商学部卒業後、株式会社ワールドに入社。基幹ブランドの商品開発責任者や中国での新規事業の立上げを経験。2009年、『装う事で産まれる自信を届ける』をミッションにイルサルトを立ち上げる。セルフブランディングで独自化を必要とする経営者、政治家、医師、作家、講演家、士業芸能人、スポーツ選手、ミュージシャンに至るまで10年間で14,000名を超える顧客を口コミだけで開拓する。一度きりの人生という舞台で、自らの能力を最大限に引き出す舞台衣装を提供出来る、服飾の専門家。
日本で唯一の経営者専門スーツ仕立て屋“イルサルト”の末廣徳司です。前回、経営者にとってスーツとは何かをお話しさせていただきました。経営者にとってスーツは、ただのスーツではありません。経営者のスーツ、すなわち経営者の装いとは経営理念そのもの。経営理念を身にまとうのが経営者なのです。
“経営者にふさわしい見た目”とは?
「経営理念」と「経営者の見た目」が合致する会社は、ブランド力や影響力がおのずと強くなります。そして結果として記憶に残る「ブランド」ができあがるのです。では“経営者にふさわしい見た目”のために必要な概念とはなんでしょうか。経営者たるもの、ただ衣服を「着る」のではなく「装う」ことが必要です。今回は「着る」と「装う」の違いについてお話させていただきます。
私たち日本人は、はるか昔より「衣服に魂を込めて装う」文化を大切にしてきました。柔道、弓道、剣道、茶道、華道など古からの武道、芸道の世界では“装うことにより精神力が高まる”という事実があります。実は、私の母方の祖父は神職をしていました。祖父は神職として立場が昇級するにつれて、装う色がより華やかに。そして身にまとう小物類も昇級するにつれて増えていきました。
原始時代において何かを“着る”という行為は、暑さや寒さから“身を守る”という単純な目的だったといわれています。しかし現代では、自分が何者であるのかを相手に分かりやすく伝える“装う”という明確な目的に変化をしたのです。このことを私は神職である祖父の装いから学びました。しかしその変化をしていく時代の針が突如、原始時代に戻る場合があります。