様々な事情で廃業を迫られる、という状況は多いのではないでしょうか。
その中でも、今回は会計事務所の廃業についてポイントをお伝えします。
会計事務所ならではのポイントとは?
近年M&Aの事例も増えてきていますが、依然、多く伺うのが廃業です。
廃業といっても
『後継者がおらず、自身も高齢だから…』
『経営がうまくいっていないから…』
『別事業に専念をしたいから…』
など、きっかけやお悩みは様々です。
顧問先の廃業・清算のサポートしている先生も多く、
手続きの流れは理解している先生がほとんどだと思います。
しかし、会計事務所の廃業には一般企業とは違った注意点があります。
というのも、会計事務所は顧問先との顧問契約という形で
経営されている事務所がほとんどで、
開業以来、何十年という付き合いの顧問先や、家族ぐるみで繋がっている顧問先もあり、
いうなれば、人間関係で成り立っているのが特徴です。
つまり、会計事務所を廃業するということは
その『人間関係をどのように清算するのか』が一番の課題となります。
そのため、関係者へのフォローを怠ってしまうと
円満に事務所を閉めることは難しく、トラブルにも発展しかねません。
関係者へのフォローとは
主に関係者とは、職員と顧問先に分かれます。
①職員について
まず、退職金の発生や通達時期は労働基準法に遵守した対応が求められます。
そのうえで、所長が高齢の場合には、特に注意が必要です。
というのも、所長が高齢な場合は職員の方も
高齢なケースが多く再就職が難しい場合があります。
若い職員の方もそうですが、運よく、就職先が見つかったとしても
新しい業務に慣れることができるのか文化に馴染むことができるか等
不安は残ります。
そのため、ある程度事前に廃業に関して伝えておくこと、
そのうえで、必要があれば知り合いの事務所を就職先として斡旋する等の対応が必要となります。
ただ、事前に伝えすぎてしまうと
その間の業務のモチベーションが下がる、その前に退職を申し出られる、
有給残の使用により業務が滞ることも懸念される場合もあるため
発表の仕方やタイミングは熟慮する必要があります。
②顧問先について
顧問先に対しても同様です。
顧問先にとっては、サービスの質や料金等も重要ですが
○○先生だからお願いしていたという顧問先も多くいらっしゃるかと思います。
特に、付き合いが長い、深い顧問先ほどフォローを丁寧に行う必要があります。
手紙での発表や電話、訪問など顧問先のタイプに合わせて対応が必要です。
自身の廃業後にも迷惑をかけないように
新税理士を斡旋する、状況についてある程度引継ぎを行っておく等の対応が必要です。
最後に
廃業は関係者へのフォローが何よりも重要です。
顧問先への対応や職員へのフォロー面など
対応が必要になるため、廃業も計画的に行う必要があります。
発表の仕方を間違えてしまうと、
トラブルになるリスクもあるため注意が必要です。
数年後の廃業に向けて
事業縮小を進めていくという先生もいらっしゃるかと思います。
『引退はしたいが、職員、顧問先のことが心配』
『廃業以外にも選択肢があれば、聞いてみたい』
『実は、まだまだ業務を続けたい…』
など、ご相談も多く伺います。
定年がなく、引退時期を自身で決めることができる資格だからこそ、
自身で計画を決めて進めていく必要があります。
日々の業務に追われ、事務所の出口戦略は後手になりがちです。
円満な引退に向け、一緒に考えてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
- プロフィール
後継者不在等の事業承継の悩みからM&Aでの拡大戦略などの全国のM&A相談に対応しており、年間300件以上の事務所を訪問している。