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内山 瑛(うちやま・あきら)
公認会計士。名古屋大学法学部在学中に、公認会計士試験に合格。新日本有限責任監査法人に入所し、会計監査・コンサルティング業務を中心に研鑽を積む。2014年に同法人を退所し、独立。「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様に総合的なサービスを提供している。近年は、銀行評価を向上させる財務コンサルティングや内部統制構築支援、内部監査の導入支援にも力を入れている。
補助金、助成金を受給した場合に、あとになってから「消費税分を返せ」と言われて、面食らった人も多いだろう。補助金、助成金は一般に、返済不要な資金調達方法といわれることも多い。それなのになぜ、消費税分の返還などのいう論点が出てきてしまうのだろうか。
また、補助金、助成金をせっかく受け取ったのに、莫大な利益になってしまい、高額な納税の必要に駆られたという話もきく。今回は、そのような消費税返還など、補助金・助成金の税務上の論点をみていきたい。
目次
補助金・助成金の仕組み
補助金も助成金も返済不要な資金調達という点で、会社にとっては、非常に魅力的である。助成金と補助金は返済不要という点では違いがないが、異なる点もある。必ずしもこの通りというわけではないが、助成金は、ある政策目的を達成するために、ある一定の条件を満した事業者に広く薄く支給するものだ。条件を満たせば、必ず支給されるという形式になっているケースが多い。代表的なものが厚生労働省管轄の雇用関係の助成金である。
補助金は、国や地方公共団体の政策に沿った目的のために設定され、比較的少数の事業者にまとまった資金が支給されることが多い。そのため審査も厳格で、形式的に条件を満たしていたとしても、審査の過程で受給できないことも少なくない。
補助金は助成金と比べて種類も多く、多くの省庁や地方自治体がそれぞれ独自の補助金のメニューを用意している。それぞれ、仕組みや条件が大きくことなるので、要綱を熟読しておく必要があるだろう。