
山形県長井市は、大阪・関西万博で開催された「地方創生SDGsフェス」において、環境に配慮した地域づくりの取り組みを紹介し、多くの来場者の注目を集めた。長井市は山形県内から唯一の出展自治体として参加し、長年にわたって取り組んできた先進的な環境施策をアピールした。

長井市のブースとテーブルは、環境負荷の少ない段ボール素材で造作され、展示内容だけでなく、ブース設営自体もSDGsの理念に沿った取り組みとなっている。ブース内では、生ごみを集めて堆肥として活用する循環型地域づくり事業「レインボープラン」や、バイオガス発電を核とする新たな循環型システム、25年以上にわたり市民と行政が協働で取り組んできた環境施策の成果などを展示した。
また、先着の来場者には、長井市の在来種で育った青豆「馬のかみしめ」を使用し、長井市のフレンチシェフが考案した万博オリジナルクロッカン(フランス風焼き菓子)が配布された。

山形県長井市総合政策課都市交流推進室の平直人氏は、「来場者も多く、生ごみから堆肥、電気などを作り出し、循環型の地域づくりに活かす長井市の取り組みについて質問される機会も多く、興味を持ってもらえたと感じた。来場者の中には、長井市という名前は記憶にないが『レインボープラン』なら聞いたことがあるという人が何人もいて声をかけてもらった。平成9年から続けているレインボープランの取り組みと、理念を継承した新たな取り組みの双方が評価され嬉しく思う」とコメントしている。

展示では、「レインボープラン」や循環型社会システムだけでなく、長井市の多様な魅力も紹介された。平氏によると、けん玉や山形鉄道フラワー長井線なども来場者に印象的だったという。

「馬のかみしめ」を使ったノベルティの配布や食べ物を選ぶゲームを展開したことで、特産の米、果物、野菜、米沢牛、馬肉などに興味を持つ来場者も多かった。また、映像に映る田園風景(散居村)や山の風景に惹かれる人も多かったとのこと。

平氏は、「会場での反応から循環型の地域づくりの取り組みだけでなく、長井市には魅力的なコンテンツがあることを再認識した」と語る。一方で「関東以北に行ったことがない人も多く、西日本からの誘客にはより具体的な行程やツアーを示すことが課題」とも指摘している。

長井市は、令和4年度「SDGs未来都市」に選定された実績を持ち、全国に先駆けて生ごみの活用を推進してきた先進的な取り組みで知られている。今回の出展は、5月28日から6月1日までの5日間、内閣官房が主催する地方創生SDGsフェスの一環として行われ、環境に配慮した街づくりの実践例として、多くの来場者から高い評価を受けた。
SDGsの達成に向けた取り組みを全国に発信する今回のフェスを通じて、長井市の循環型地域づくりの理念と実践は、持続可能な社会を目指す全国のモデルケースとして注目を集めている。