1. 遺産相続に強い弁護士に相談するメリット
1-1. 法律の専門家は弁護士
遺産相続に対応するためには、民法だけでなく相続税法の理解も必要です。
また、案件の内容によっては、幅広い知識と経験がなければ対応することができません。
遺産分割協議が進むと、それぞれがいろいろな内容の主張をしてきます。
法律に対する予備知識がないと、なんとなくしてしまうこともあるかもしれません。
法律の専門家である弁護士であれば、内容を吟味して正しい法的根拠をもって話し合いを解決に導いてくれるでしょう。
遺産相続にはいろいろな局面があり、それぞれに高度な判断を要することになります。
一歩判断を誤ると予期せぬ問題に発展し、重大な不利益が発生することもあります。
この様なときに、弁護士に相談することができれば安心です。
是非とも、法律の専門家である弁護士に相談をしましょう。
1-2. トラブルの仲裁は弁護士
弁護士は民事事件が発生した場合に、当事者の代理人として活動します。
争いが生じたときに依頼者の側に立って有利に問題解決を行うことが業務になります。
つまり、争いごとへの対応に非常に長けているのです。
実は、実務上判決まで行くケースよりも和解で解決する方が多いです。
これは、双方の弁護士が問題に対する帰着点をある程度予測できるからです。
双方に判決内容を予測する能力があるので、お互いに落としどころを見出して決着することになります。
つまり、弁護士とは争いが生じたときに法律知識を武器に落としどころを決める仕事ということができます。
これが、遺産相続において身内の間で争いが生じたときに非常に役に立つ能力なのです。
相続が終了しても、身内との関係は続きます。
相続問題で仲が悪くなってしまっては、その後の生活に悪影響を及ぼすので、できれば穏便に済ませたいところです。
遺産分割協議でもめているときに弁護士が仲裁に入った場合は、お互いにとってよい落としどころを提案することができます。
皆がその意見を参考に建設的に話し合いを進めることができるのです。
1-3. 話し合いに根拠をもって対応
遺産分割協議において、いったん話し合いがこじれてしまうと非常に長引いてしまうケースが多くあります。
相続財産に不動産がある場合など、金額が大きい場合には特に注意が必要です。
各相続人が自分の利益を主張し、話がまとまらないのです。
ヒートアップすると、自分の主張をとにかく通すために感情的になってしまうケースも多くあります。
この様なときには、それぞれの主張を整理して法律的な根拠をもって対応することが必用です。
素人同士が話し合いを続けてもらちが明かない場合に、弁護士が登場すると話がまとまることが多くあります。
また、話し合いのメンバーの中に弁護士がいると、それぞれが根拠のない主張を自粛するという効果もあります。
1-4. 豊富な経験に基づき知らないことによる損を防止
法定相続人には「遺留分」があります。
仮に、亡くなった方がすべての財産を特定の人に相続させる内容の遺言を残したとしても、遺留分の減殺請求をかけることができます。
これは、相続人の権利になります。
その手続きや期限を知らないと、非常に大きな不利益を被る可能性があります。
気づいた時にはすでに手遅れなどということもあるでしょう。
しかも、被相続人に離婚経験がある場合や、内縁の妻とその子がいるような場合、相続人がすでに亡くなっているような場合には、遺留分の考え方が非常に複雑になります。
自分に遺留分があることに気が付かないというケースもあるでしょう。
また、例えば生前に功労のあった他の兄弟に遺産を譲る場合に、単に、他の兄弟に任せて遺産分割協議に参加しないだけで済ませてしまうことがあります。
これは相続放棄とは全く意味合いの異なる内容です。
この場合には、あとからマイナスの遺産が出てきたときについて、その義務を免れることができません。
相続放棄と、他の人に遺産を譲り話し合いを単純に放棄することは全く異なるのです。
マイナスの財産も含めて一切を放棄するためには、しかるべき手続きを取る必要があるのです。
このように、知らないことによって不利な結果にならないよう、依頼者の立場に立って相談に乗ってくれるのが弁護士です。
1-5. 豊富な解決策をもって親族とも関係円満に
仮に相続でもめてしまった場合、相手は親族です。
とても親しい間柄であった親族同士が、相続でもめてしまい、その後の関係が悪化するケースが多くあります。
相続が終わっても親族としての付き合いは一生続くのですから、関係円満に相続を終えたいものです。
腕のいい弁護士は、問題が発生した時の解決策を多く持っているものです。
依頼人の利益を最大化することが仕事です。
より金額の大きい遺産を依頼人が相続することももちろん依頼人の利益になりますが、関係が円満なまま相続を終了することも非常に大きな利益と考えることができます。
相続人同士でもめてしまった場合には、再度内容を吟味して、みなが納得しやすい内容をアドバイスしてくれることでしょう。
専門家としての経験を生かして、素人同士の話し合いでは決して出ることの無いような解決策が出るかもしれません。
1-6. 相続には随時新しい問題が発生している
弁護士のもっとも重要な業務の一つに、訴訟の代理があります。
実際の裁判においては、日々新しい問題や争い事が発生し、新しい判例が出ています。
相続の分野においても、多くの争い事があります。
また、相続に関する民法や相続税法の改正も毎年のように行われています。
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これら新しい改正を素人が自分でアップデートすることは不可能です。
弁護士の中にも専門性があります。
相続の得意な弁護士とそうでない弁護士がいることは事実です。
相続を得意として日々実務に携わっている弁護士でないと、最新の改正を漏れなくアップデートするのは至難の業です。
2. 遺産相続で弁護士に依頼するとき
遺産相続争いが起きる・起きそうな場合は弁護士に相談
遺産相続争いは、財産が多額ではなくても起こり得ます。
というのも、遺産相続は比較的まとまった金額を手にできるチャンスであるため、できるだけ多くほしいと思うことがよくあるためです。
さらに、親族同士は普段遠慮しながら暮らしているものの、遺産相続という場面においては、自分の考えをはっきりといい、取り分をきちんと取りたいという意思が見えるというケースもあります。
つまり、遺産相続の場面では争いが起こりやすくなってしまうのです。
もともと、仲が良かった親族の間でも遺産相続争いが起こってしまうくらいですので、そもそも仲がそこまでよくない親族の場合は余計に争いが起こりやすくなります。
家族関係が複雑で、相続人同士が知らない人だったとします。
こうなると、そもそも知り合いでもないのでもはや他人同士の交渉になるでしょう。
家族関係が複雑な場合も、遺産相続争いが起こりやすいですし、実際に遺産相続争いが起こることがあります。
遺産相続争いが起こらなくても、当事者同士だとケンカになってしまって話し合いにならないという場合は、弁護士を通じてやり取りを行い、遺産を分割します。
どのようなパターンであれ、遺産相続人同士の仲が悪い、関係が複雑だなどの紛争が起こりそうな遺産相続の場合は、弁護士に依頼すべきでしょう。
2-2. 遺留分侵害請求(旧:遺留分減殺請求)をしたい場合
自分が本来相続するべき遺産を使い込まれている、勝手に処分されてしまっている、またはされそうになっているといった場合は、遺留分侵害請求という手続きを行って遺産を取り戻します。
遺留分を主張するだけであれば、自分で書面を作成して郵送するのでも足りますが、実際に実力を行使して取り戻そうとすると、民事訴訟にするほかありません。
訴訟が関係してくる話なので、弁護士に依頼すべきケースといえます。
2-3. 財産が不明な場合なども弁護士に相談
遺産相続が起こった場合に、どれくらいの財産があるのか把握できないことがあります。
財産が多すぎて把握できないというよりも、負の財産(いわゆる借金)が多すぎて、もはやどこから借りたのか、いくら返済しかわからないことがあります。
この場合は、まずいくら借金があるのかということを確定させるところから始めます。
もう亡くなった人なので、自己破産などはしませんが、相続をするということは借金も含めた権利義務関係を引き継ぐことを意味します。
つまり、いくら借金があるのかわからない状態で財産を引き継いだら、差し引きしたらマイナスになることもあるというわけです。
ただし、遺産相続を放棄するのか、放棄せずに借金と相殺してプラスになった部分だけ引き継ぐ限定承認をするのかという手続きは、遺産相続が起こったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所で行わなければなりません。
3か月はあっという間です。
もたもたしているうちに過ぎてしまいます。
3か月の間に意思決定をするために、まずは財産がどれだけあるのかを調べなくてはなりません。
借金の調査、財産の調査など、日々の生活に忙しいとそこに注力するのは難しいですので、弁護士に相談されることをおすすめします。
2-4. 故人が会社経営者などの場合も弁護士に相談
故人が経営していた会社がどのような規模のものなのかにもよりますが、会社の財産や、誰が継承するのかということも含め対応すべきことは多くあります。
事業継承にも詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
3. 相続に強い弁護士の判断基準
相続専門の弁護士に依頼する際には、どのような基準で選べばよいのでしょうか。
多くの人の場合、そう何度も相続は発生するものではありません。
また、結果として依頼した弁護士によって依頼者が得る経済的利益の金額に違いが出ることがあるのも相続の特徴です。
間違いのない弁護士を選ぶにはどのような視点で検討すればよいのでしょうか。
弁護士にも得意な分野があります。
一般の人は、弁護士であればだれでも法律に詳しく、どのようなジャンルの法律についても熟知していると考えがちです。
たしかに、一般的な法律問題を解決するために必要な最低限度の知識については、どの弁護士も持ち合わせているといえます。
しかし、相続についてはそもそも特殊な分野です。
また、発生する件数もそこまで多いわけではありません。
近年相続税の基礎控除が見直されて、相続税の課税対象となる人が大幅に増えました。
それでも、国税庁の発表するデータによれば、平成28年中に亡くなった131万人のうち、相続税が発生した人の数は10万6千人であり全体の約8%です。
その中には、比較的小規模の簡単な内容の相続も多く含まれています。
このように考えると、金額が大きい案件で、わざわざ弁護士に依頼する相続の件数はいったい何件あるのでしょうか。
この様な少ない件数を、相続を専門としていない弁護士も含め弁護士業界全体で契約していることになります。
相続の案件については、経験が非常に重要です。
必然的に、本当に相続専門を謳い多く数をこなしている弁護士のもとに多くのノウハウが集積されています。
このように相続に経験やノウハウを持っている弁護士の探し方を具体的に見てきましょう。
それでは、相続に強い弁護士は具体的にどのような弁護士か見ていきましょう。
3-1. 相続案件の取り扱い件数が多い
遺産相続に強い弁護士を具体的に表現すると、まずは相続を取り扱った経験が多いということでしょう。
相続は様々なパターンがあります。
家族関係や、当事者の考え方によって、ベストな選択肢が異なります。
法律には書いていないし、本にも書いていないというところは、実務を通して経験で学んでいくことになります。
実務経験が長く、相続案件の取り扱いも多い弁護士は、トラブルに対しても柔軟に対応することができますし、仕事が確実です。
遺産相続への強さは、まずは取り扱い件数で考えてみてください。
3-2. 相続関係の法律と判例に詳しい
次に、相続関係の法律と判例に詳しいということです。
相続法は弁護士であればだれでも知っていると思われますが、実際にその法律を使ってどのように問題を解決するのかというところは、相続に関心がある弁護士のほうが詳しいです。
裁判所の判例をよく勉強していると、「このパターンの相続で起こりやすいトラブルはこれで、そのためにこの対策をしておこう」、などの行動がとりやすくなります。
紛争を予防するため、紛争になってしまっても早期に解決を図るため、判例をよく研究している弁護士に依頼しましょう。
3-3. 他士業とも連携している
前段でもご紹介しましたが、法律関係の専門職は弁護士だけではありません。
司法書士や行政書士などの書類作成代理業務を行うものもいます。
さらに、相続といえば相続税を抜きにして語ることはできません。
相続税の計算は税理士が行います。
弁護士は登録しなくても税理士業務をすることができますが、弁護士の本来の職務として訴訟がメインにあるので、税金の計算は税理士が行うことが多いです。
他の士業と連携している場合、自分で他の士業を探しに行かなくてもいいので依頼人としては楽ですし、安心です。
他の士業と連携している弁護士であれば、弁護士業務の他の業務が出てきた場合は、他の士業を紹介してくれます。
4. 相続に強い弁護士の探し方
4-1. 相続に強い弁護士の探し方
◼︎インターネットを利用する方法
今の時代は、どの弁護士事務所もホームページを保有しています。
まずは、気軽にインターネット上で弁護士事務所をさがしてみるのも良いかもしれません。
弁護士に面談や電話連絡をするのは少し抵抗がありますが、インターネットで検索するだけであれば気兼ねなく行うことができます。
複数の弁護士事務所を見比べて、よさそうな事務所を探してみるとよいでしょう。
相談する際の利便性で検討するのも一つの手かも知れません。
自分の最寄り駅と弁護士のキーワードを入力して検索すれば簡単に複数の事務所を見つけることができます。
弁護士事務所をホームページ上で比較する際には、次のところに注目して下さい。
◼︎相続相談に関する項目があるか
相続の案件は非常に特殊です。
金額も大きくなる場合が多く、この分野の仕事に取り組みたいものの、経験がなく手をこまねいている事務所も多くあるのも現実です。
もしも、相続の取り扱いに自信があるような場合には、ホームページ上に相続に関する内容を掲載するなどのアピールがあるはずです。
相続に関する記載がない場合には、積極的に募集するほどのノウハウがないものとして見て問題ありません。
◼︎相続に関する案件の実績が記載されているか
相続については、他の案件と同様に、取り組んだ案件数がモノを言います。
数々の相続の場面に立ち会えばトラブルも多く経験し、それを回避するノウハウも蓄積されています。
もともと、業界全体で取り扱いの件数の少ない分野の案件ですので、具体的な案件数を掲載している場合には、得意な弁護士とみていいでしょう。
◼︎弁護士費用の規定があるか
相続の案件については、非常に個別の問題が多くケースバイケースといえます。それでも、目安をキチンと示している弁護士事務所の方が安心できます。
インターネット上には、弁護士紹介サービスというものも存在します。
例えば、「法テラス」や「弁護士ドットコム」といった紹介サイトです。
法テラスは法務省の管轄になり、公的な機関ですので、安心して依頼することができます。
弁護士ドットコムについても、上場企業が運営するものになるので、利用してみるとよいかもしれません。
いずれにせよ、沢山の弁護士に関する情報の中から自分に合った弁護士を検索する必要があります。
相続に関するキーワードを用いて慎重に検索する必要があります。
◼︎知り合いの弁護士や税理士に紹介してもらう方法
知り合いに弁護士がいるような場合には、紹介してもらう方法も良いかもしれません。
相続の依頼については、依頼者側の立場からすると内容が複雑なため、相場が適切なのか、提案を受けた内容がベストなものなのか正直なところ判断がつきません。
結局、依頼した弁護士を信じるしかない部分もあります。
この様なときに、もともとの知り合いを通じて紹介された弁護士であれば安心できます。
相続が発生した場合、また相続税対策を行う場合は税理士に相談することになります。
税理士はいろいろな手法を用いて依頼人の相続税の圧縮を試みます。
中には複雑なスキームもあり、法的に問題がないかどうかのチェックを弁護士に依頼する場合もあります。
相続に対して前提知識のない一般の人が相談する内容に比較して複雑高度な内容になることは容易に想像がつきます。
この様な専門家が、日頃より信頼して相談している弁護士であれば相続に強い弁護士と言っても全く問題ないでしょう。
5. 相性の良い弁護士を選ぶポイント
5-1. 委任関係は信頼関係
相続に強い弁護士についてご紹介しましたが、相続に強いだけで人当りがいまいちよくない弁護士だったら困るのではないでしょうか。
基本的に、弁護士と依頼人との関係は信頼関係をもとに成り立っています。
相手を信頼できなくなったら、契約を解除するということが原則です。
依頼人は弁護士に相続に関するいろいろな業務を依頼し、委任する側とされる側になるのですが、委任という契約関係の根本は信頼です。
依頼人が弁護士を信頼できなくなっても、弁護士が依頼人を信じられなくなってもいけません。
特に、相続は個人的な事情をいろいろと知られてしまうのでなおさら信頼できる相手を選ぶ必要があります。
相続に強い弁護士であったとしても、人間的に信頼でなさそうな人であれば、依頼すべきではありません。
時間はかかってしまいますが、実際に弁護士と会ってみて、人間的に信頼できる人を選んでください。
相続をお願いする弁護士を選ぶ基準は、まずは相続に強い弁護士であること、さらに自分との相性が良い信頼できる弁護士であることです。
5-2. 依頼人の話をよく聞いてくれる
話をよく聞いてくれる弁護士を選びましょう。
話をよく聞くことで、弁護士側もメリットがあります。
というのは、依頼人はすべてのことを一気に話すのではなく、あるていど後出しになってしまうこともあります。
例えば、予想していなかった借金が出てきてしまったとか、知らない人が子どもを名乗って出てきたなどのことも、逐一相談してもらうことで弁護士としては次の手を打つことが可能です。
話をよく聞いてもらえないというのは、依頼者としても悲しいことですが、弁護士にとっても本来はよくないことなのです。
何か不安があったらすぐに話ができる、また、話を聞いてもらえると思える弁護士を選んでください。
特に何を言われたわけではないが、なんだか話しにくい、という弁護士は選ばないほうが良いかもしれません。
5-3. フットワークが軽い
前述のとおり、相続に関する手続きには期限があります。
放棄するにしても、限定承認または承認するにしても、3か月以内(書類作成時間を含めると本当はもう少し短い)に決定しなければなりません。
もたもたしていると申述期限に間に合わなくなります。
仕事が早そうな弁護士を選びましょう。
5-4. 問い合わせにはきちんと答えてくれる
弁護士との関係のベースは信頼関係だとご紹介しました。
信頼関係は、コミュニケーションによって築かれます。
問い合わせにきちんと対応してくれる弁護士を選ぶことで、依頼する側としても安心できます。
5-5. それぞれの優先度合い
様々な考え方はありますが、結局のところ弁護士と依頼者である自分との間に信頼関係が築けそうかというところを最も重視して選ぶべきです。
家から遠い・近いという距離の問題や、実務年数などいろいろな考慮すべき要素はありますが、自分のために頑張ってくれそうだと思える弁護士を選択すべきではないでしょうか。
6. 弁護士費用の相場
6-1. 初回の相談料
相談料・・・無料~30分5000円程度
最後に、遺産相続業務の費用相場をご紹介します。
相談料は弁護士と会って話すだけでかかるお金です。
もったいないと思う人も多いと思われますが、弁護士は面談の間他の業務を中断して応対しているので、どうしてもかかってくる料金と考えられます。
相談料を取るから悪い事務所、相談料が無料だから良い事務所だというのは間違いです。
相談料を払って相談してみて、実際にどのような対応をするのか様子を観察してみるといいでしょう。
また、相談料がかかってしまうことなので、話は必要なことをコンパクトに伝える必要があります。
事前に財産や相続人の関係などをまとめたものがあれば、持参して説明するといいでしょう。
6-2. 遺言書の作成料金
遺言書の作成・・・10万~20万円程度
遺言は、法律に決められた形式に基づき、作成しなければなりません。
また公証人に認証してもらうとなると、公証役場に行く必要もあります(公証人が出張してくれることもあります)。
弁護士は、残したい遺言についての相談・書面の作成だけではなく、公証役場とのやりとりもしてくれます。
6-3. 家庭裁判所への申述
相続放棄・限定承認の申述・・・10万~20万円
相続の放棄、限定承認は家庭裁判所で申述という手続きを行う必要があります。
申述は裁判とは違うのですが、なぜ相続を放棄するのか、どれくらいの負債があるのかといったことを書類に細かく書かなければなりません。
弁護士には家庭裁判所への申述書類の作成と申述の代理を依頼することができます。
6-4. 訴訟・遺留分侵害請求
訴訟になった場合・・・着手金として10万~30万円程度+報酬金として取得金額の5~15%
遺留分侵害請求は、請求するだけであれば内容証明郵便で足ります。
内容証明郵便で請求して、相手が応じてくれれば、報酬はもっと少なくて済むでしょう。
その場合は、内容証明郵便作成についての料金がかかります。
訴訟になってしまった場合は着手金と、成功報酬がかかります。
また、報酬については取り戻すことのできた経済的利益の金額によって、パーセンテージが変わります。
6-5. 日当
交渉の代理など・・・1日3~10万円(距離・時間による)
交渉の代理などをしてもらう場合にかかるお金です。
近距離で拘束時間が短い場合で3万~5万円程度、拘束時間が長く、移動距離も長い場合は10万円程度することがあります。
交通費はまた別途かかることが多いです。
6-6. 遺産分割・遺産相続争い
弁護士費用の相場は、旧来規定されていた報酬規定の6割から7割程度と言われています。
依頼者が得る経済的利益の額に応じて変動します。
報酬規定(旧弁護士規定)
経済的利益 | 着手金 | 報酬金 |
300万以下の部分 | 8% | 16% |
300万~3,000万円以下の部分 | 5%+9万円 | 10%+18万円 |
3,000万~3億円以下の部分 | 3%+69万円 | 6%+138万円 |
3億円超の部分 | 2%+369万円 | 4%+738万円 |
また、弁護士費用については、どこまでの内容を依頼するのかによっても異なります。
上記で紹介した弁護士業務の範囲外の内容をお願いする場合には一括して依頼できるメリットがあります。
ただし、結局は提携する外部専門家に外注されることを考えると、例えば相続登記や遺言書作成など他の専門家においても対応できる場合に、内容によっては自分で個別に依頼先を探した方が結果として費用が安く済む可能性もあります。
まとめ
今回は、遺産相続を弁護士に依頼する場合の選び方や報酬について紹介しました。
弁護士の事務所やサイトには、刑事弁護と民事訴訟と遺産相続が全部一緒に書いてあるかもしれませんが、事務所によって専門分野は異なりますので、まずは話をきいてみるといいでしょう。
相続案件の依頼先を決める際には以下の質問をしてみて下さい。
いつ開業したのか
実務経験はどれくらいあるのか
普段は民事事件が多いのか、刑事事件が多いのか
相続案件はこれまでにどれくらい対応してきたのか
どのような相続案件を扱ってきたのか
だいたいどれくらいの価格で対応してもらえるのか
以上のような質問をしてみてください。
弁護士ということで、敷居が高く感じられるかもしれませんが、基本的に弁護士は依頼人の代理人であり最大の味方ですので、安心して電話をしてみてください。 電話が苦手な人は、メールでもよいでしょう。
多くの人にとって、遺産相続は人生で何度も頻繁に経験するというものではありません。
だからこそ、弁護士ならばどの弁護士でも良いというのではなく、気持ちよく依頼でき、信頼できる弁護士を選んでください。
(提供:相続サポートセンター)