「働きがいのある会社」に関する調査・分析を行うGreat Place To Work(R) Institute Japanの調べによると、必要最低限の業務をこなす働き方を意味する「静かな退職」を実践している人の半数以上が、将来の収入に不安を感じていないことが分かった。

「静かな退職」実践者の半数以上は将来の収入に不安なし

企業に勤める20~59歳の男女1万3824人を対象に実施した2024年12月の調査によると、「静かな退職」を「見た、聞いたことがあり意味まで知っている」人は10.7%、「見た、聞いたことはあるが意味はよく知らない」人は17.8%、「見た、聞いたことはない、分からない」人は71.5%となっている。

「静かな退職」実践者の割合は2.8%で、2024年1月調査の2.4%から微増だった。

「静かな退職」実践者に対して、将来に不安を感じることがあるか聞いたところ、最も多かった「収入が増えないかもしれない」でも41.2%に留まり、半数以下となっている。次いで多いのは「仕事のスキルが上がらないかもしれない」で33.0%。

<収入に不満を持つ人は少なくない>

理想年収550万円、現実は400万円。現在の年収に満足していない人が約半数
転職活動者の仕事の不満は「収入面」、転職後の年収上昇も重要視

「職場で孤立してしまうかもしれない」はわずか5.4%で、調査を行ったGPTW Japan代表の荒川陽子氏は「今回の調査から『静かな退職』実践者は職場内での孤立も厭わず、『自分は自分』という姿勢であることが分かりました」とコメントしている。

また、「静かな退職」実践者の4割以上が「職場への影響はない」と回答している。

一方、経営・役員、部下あり管理職に対して、部下に「静かな退職」を実践している人がいると職場にどのような影響があるかを聞いたところ、「職場への影響はない」と回答した人は11.9%だった。

<上司と部下のすれ違いに関する最近の調査>

部下を信頼している上司は半数に満たず
4割超の従業員は、上司面談で本音を話していない

荒川氏は「少数の『静かな退職』がきっかけとなり、『現在静かな退職をしていない人』や『今後活躍を期待する中間管理職』にも悪影響を及ぼす……このような負の連鎖を生まないためにも、まずは経営者が『静かな退職』への感度を高めることが重要です」と企業に助言している。

「静かな退職」に関する調査の詳細はこちら
https://hatarakigai.info/library/report/20250304_3849.html#anc-02

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