
食品の安全性を確保するための取り組みとしては、すべての事業者が「原料や製品(食品)に対する検査の実施」と回答
~外食産業の回復に伴い、食品検査・分析サービスでは機能性成分分析や異物混入検査が伸長~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2024年度の食品検査・分析サービス、食品検査キットの市場を調査し、国内主要プレーヤーの動向とともに、食品関連事業者の取組実態や課題を明らかにした。
ここでは、食品・飲料製造業者や農産・水産・畜産加工業者、外食・中食(惣菜)・給食業者等を対象に実施した食品の安全性を確保するための取り組みに関するアンケート調査結果について、公表する。
食品(原料を含む)の安全性を確保するために実施している取り組み

1.調査結果概要
本調査では、2024年9月に食品検査・分析サービス、食品検査キットのユーザーである食品関連事業者を対象とし、食品の安全性確保の取り組みや、各種食品検査の実施状況、外部機関への委託状況、食品簡易検査キットの利用状況、課題・要望についてアンケート調査を実施し、国内の主要な食品・飲料製造業者、農産・水産・畜産加工業者、外食・中食(惣菜)・給食業者等100社・団体から回答を得た。
食品の安全性を確保するための取り組みとしては、すべての事業者が「原料や製品(食品)に対する検査の実施」(100.0%)を挙げた。また、「原料産地・仕入の特定、契約化/自社農場等による内製化」(90.0%)や「食品工場、流通・販売拠点における衛生管理と従業員に対する衛生教育の徹底」(84.0%)、「使用する化学薬品(農薬、肥料、添加物等)の把握と明確化」(81.0%)についても80%を超える高い実施率となっている。本アンケートでは、HACCPの制度化に伴い、食品事業者がHACCPに沿った衛生管理に取り組み、食品安全マネジメントシステムによる仕組み作りと各種検査を徹底していることを裏付ける調査結果となった。
2.注目トピック
食品検査・分析サービス、食品検査キットの現況
食品検査・分析サービスについては、コロナ禍を契機として始まったオンライン形式のビジネスが定着し、業務のデジタル化も進展している。また、コロナ禍の一時的な落ち込みからは回復している。
食品メーカーの製品開発が活発化していることもあって、機能性成分分析の需要が好調を維持しているほか、外食産業の回復とともに取引先からの要求やクレーム対応が増え、異物混入検査も増加傾向となっている。また、微生物や食物アレルゲンなどの基本的な検査需要は比較的安定しており、中小企業を中心とした食品安全規格の認証取得支援事業も堅調である。
食品検査キットについては、検査対象によりそれぞれ市場特性が異なるものの、いずれもこれまで伸長を続けてきた。食品検査キットの需要が拡大する背景には、主たるユーザーである食品関連事業者の人手不足が深刻化し、知見やノウハウがある検査員の確保が難しい事情がある。HACCPの制度化をきっかけとして、衛生管理やそれに付随する検査に本格的に取り組み始めた中小企業も多く、迅速・簡便をモットーとする検査キットが注目されている。
調査要綱
1.調査期間: 2024年8月~12月 2.調査対象: 食品検査・分析サービス事業者、食品検査キットメーカー、食品検査・分析受託サービス・キットユーザー企業、HACCP運用・管理アプリ提供事業者 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話による法人アンケート調査、な らびに文献調査併用 |
<食品検査・分析サービス、食品検査キットとは> 食品検査・分析サービスとは、検査機関が提供する、食品を対象とした各種検査・分析サービスである。検査機関の中でも政府の代行機関として、業務規程の認可を受けた製品検査を行うことができる検査機関を登録検査機関と呼ぶ。 2003年の食品衛生法の改正に伴い、民間法人も登録できるようになったことから、登録検査機関で行うことができる食品等の検査が拡充された。食品衛生法上の登録検査機関(厚生労働省)のほか、健康増進法に基づく登録試験機関(消費者庁)や農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律に基づく登録認定機関(農林水産省)などがある。 食品検査キットとは、食品に含まれる微生物(各種細菌等)やアレルゲンなどを迅速・簡易的に検査するキットである。本調査では、微生物、カビ毒、食物アレルゲン、残留抗菌性物質(ミルク用)、ヒスタミン、ATP(アデノシン三リン酸)を対象とした検査キットを取り上げている。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 各種食品検査・分析サービス、検査キット[微生物、カビ毒、食物アレルゲン、残留抗菌性物質(ミルク用)、ヒスタミン、ATPを対象とする] |
出典資料について
資料名 | 2025年版 食品分析サービス・検査キットの市場実態と将来展望 ~食の安全・安心を担保するサニテーション関連市場に注目~ |
発刊日 | 2025年01月29日 |
体裁 | A4 439ページ |
価格(税込) | 440,000円 (本体価格 400,000円) |
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