

こんにちは!ライターのゆららです。
さっそくですが、みなさんは鳥人間コンテストをご存じですか?
番組を見たことがある方もいれば、「聞いたことはあるけど詳しくは知らない」「まったく知らない」という方もいるでしょう。
改めて説明すると、鳥人間コンテストとは「空を飛びたい」という人類の夢をかなえるべく、毎年夏に、琵琶湖で開催されている大会です。
機械的な動力を一切使わず、人力のみで飛ぶ飛行機を自作し、その飛行距離を競います。
大学チームの参加が目立ちますが、社会人や、まれに高校生が参加することも。
テレビで放映されることもあり、各チームの熱い人間ドラマは毎年多くの人を感動させます。…が、本記事では48年の歴史を持つこの大会の「ルールの変遷」に注目!
実はこのルールの変化にも、鳥人間コンテストのユニークな魅力がつまっているんです。
琵琶湖を舞台に繰り広げられた記録とルールの戦いを、ぜひお楽しみください。
鳥人間コンテストの誕生 ―はじめは”ルールなし”だった?!
鳥人間コンテストが始まったのは1977年。
『びっくり日本新記録』という番組内の1競技として誕生しました。イギリスの番組をモデルとし、当初の目標はその世界記録を更新することだったようです。
ちなみに第1回の優勝記録は82.44m。48mだった当時の世界記録をあっさり更新しています。
当初のキャッチコピーは「飛べ!栄光の大空へ」。
「鳥のように自由に空を飛びたい」という素直なコンセプトをもとに、ルールはほとんど設定されていなかったとか。
その結果、鳥の格好をして琵琶湖にダイブするだけの参加者もいたそうです。
現在と同様に真剣勝負の側面もありつつ、おふざけ要素もある自由な大会だったんですね!
「鳥」というより「飛行機」? ―人力プロペラ機の登場
転機となったのは1985年。
1983年に登場した「人力プロペラ機」によって、前年の記録が一気に約130m更新され、290mに到達しました。
1977年までの世界記録が48mだったことを思えば、まさに規格外の進化です。
人力プロペラ機とは? |
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人力プロペラ機は、自転車のようにペダルをこいでプロペラを回し、その推進力で飛行します。当時主流だったハングライダーは助走と風を頼りに飛んでいたので、プロペラの推進力はまさに桁違い。思わず「それありなん?!」と言いたくなるほど別物だったのです。
見た目も、ハングライダーが生身の人間が羽をつけているイメージなのに対し、人力プロペラ機は飛行機に近い形状をしています。機能も外見も、まるで人が槍で戦っているところに戦車が登場したようなインパクトの強さがありました。
現在と同じ2部門制に |
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これをきっかけに、助走を利用して飛行する「滑空機部門」と、「人力プロペラ機部門」に分けられるようになります。
参加者の大胆な挑戦が、ルールを変えさせたんですね!
その後も記録は伸び続け、1992年にはついに1kmを突破。驚異の2km195mという大記録が生まれました。
キロ単位の争い、折り返しルールが決定
こうしてプロペラの推進力を得た鳥人間は、1996年、ついに琵琶湖の対岸に到達。 広大な琵琶湖をも横断してしまったのです。
そのため、距離が足りなくなったルートは斜めに変更されましたが、そこからさらに記録は更新され、スタート地点から34km先の琵琶湖大橋まで到達します。
「これ以上は会場的に無理では…?」と限界が見えたところで導入されたのが、折り返しルール。これによってコースは全長40㎞になり、さらに旋回する必要が生じたため完走できる可能性は、かなり低くなりました。
またもや「記録がルールを変える」展開ですね。
さらに伸びた折り返しルート |
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折り返し導入後も記録は大幅に更新され続け、現在のコースはスタート地点から沖島・竹生島をそれぞれ往復する全長70kmのルートに。
そして、現在の歴代最高記録はなんと、69.682km!
2023年、「BIRDMAN HOUSE 伊賀」というチームが達成した記録で、なんと約2時間半もペダルを漕ぎ続けたそうです。
空に挑む人類の底力、恐るべし…。これからもルール変更は続きそうですね。
おわりに ―鳥人間コンテストを見に行こう!
鳥人間コンテストの歴史を振り返ると、「記録がルールを変える」大会であることがよくわかります。
「人の力で空を飛ぶ」というわくわくするコンセプトのもと、参加者の挑戦が運営のルールを塗り替えていく。まさに型破りな大会ですね。
そんな圧巻の鳥人間コンテストは、実際に観戦することもできます!
2025年鳥人間コンテスト |
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場所:琵琶湖東岸 (滋賀県彦根市松原湖岸)
日程:未定(例年7月末の土日、2日間に分けて開催)
アクセス:JR彦根駅より無料シャトルバス運行
予約:不要
公式サイト:https://www.ytv.co.jp/birdman/
予約・観覧料は不要なので、気楽に見に行くことができます。
日程はまだ発表されていないため、公式サイトを随時チェックしてみてください。
記録とルールのせめぎ合いが生み出すドラマこそ、鳥人間コンテストの醍醐味。
今年の大会では、どんな新たな伝説が生まれるのか、見逃せません!
参考
鳥人間コンテスト 公式サイト
https://www.ytv.co.jp/birdman/
鳥人間コンテスト 公式YouTube
http://www.youtube.com/@ytvbirdman
「琵琶湖の風で舞う『鳥人間』、46回目の飛び立ち 海外視聴も急増中」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASS8X1Q9GS8XUCVL00HM.html?_requesturl=articles%2FASS8X1Q9GS8XUCVL00HM.html
「次は世界へ舞いあがれ!新記録69.682km飛んだ『鳥人間』たち」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASRB46W8JR9VONFB003.html?iref=pc_ss_date_article
「プラットホームに鶴?朝ドラで話題『鳥人間コンテスト』進化の歴史」(朝日新聞)
https://digital.asahi.com/articles/ASQBV41D7QBPPCVL007.html?iref=pc_ss_date_article
「『鳥人間コンテスト』会場でわかった4つのこと」(しがトコ編集部)
https://shigatoco.com/toco/toriningen/
大阪工業大学人力飛行機プロジェクト 公式サイト
http://soaroit.jp/birdman/
WASA鳥人間Project 公式サイト
https://wasa-birdman.com/