
2月28日、政府は国際協力機構(JICA)法の改正案を国会に提出した。改正の骨子は民間資金動員の促進、国内外のパートナーとの連携強化、JICA自身の資金調達の柔軟性向上の3点。とりわけ、途上国企業の事業リスクの引き受けや債券の取得など、現地の事業に対してJICAが一定の信用を供与することで民間からの融資や投資を促すことがポイントである。
“最後のフロンティア”と呼ばれるアフリカの潜在的な成長力に異論はないだろう。国連経済社会局は2025年のアフリカの経済成長率を3.7%と予想する。世界全体が2.8%、日本が1.0%であることを鑑みると確かに高い。しかし、思ったより高くないと感じた方も少なくないのでは? 実際、世界の対外直接投資残高39兆8529億ドルに占めるアフリカ投資の残高は1兆363億ドル、2.6%程度に過ぎない(2022年、UNCTED)。干ばつ、汚職、貧困、治安、過激主義などアフリカ固有のリスクが投資を躊躇させる。
とは言え、資源分野への投資は活発だ。先月、石破首相はザンビア共和国大統領を実務訪問賓客として招き、鉱物資源分野における投資促進に関する協定に署名した。リチウム、コバルト、マンガン、プラチナ、クロム、ダイヤモンドなど、アフリカは鉱物資源の世界の供給地だ。日本企業も総合商社を筆頭に資源ビジネスを展開してきた。しかし、言うまでもなくアフリカ産資源の需要地はアフリカではない。資源はアフリカにとってあくまでも“外需“である。
2050年、アフリカの人口は25億人を突破、世界の4人に1人がアフリカ人となる。そう、“最後のフロンティア“は内需のポテンシャルにある。人々の生活に関わる領域こそが成長分野ということだ。今週、当社は日本フィランソロピー協会※1とビジネスセミナー「日系企業が切り拓く社会貢献とアフリカビジネスの新地平」を共催した。トイレ、水、通信、防疫、生理の貧困、教育、、、解決すべき課題は明白だ。そこに暮らす人々と成果を共有すること、ここが未来に向けての土台となる。8月には横浜で第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が開催される。民間企業への公的支援も拡充されつつある。資源関連だけではない。アフリカはあらゆる業種・業態にとって可能性の宝庫である。当社もアフリカ進出支援事業※2を強化する。お気軽にご相談いただきたく思う。
※1 公益社団法人日本フィランソロピー協会 https://www.philanthropy.or.jp/
※2 当社 海外進出支援サービスのご案内 https://www.yano.co.jp/consulting/kaigai.html
今週の“ひらめき”視点 3.2 – 3.6
代表取締役社長 水越 孝