人材サービス大手マイナビは、運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」に掲載された求人の「平均初年度年収」が2024年は過去最高になったと発表した。(文:日本人材ニュース編集部

転職時の平均初年度年収が過去最高、11万4000円増

マイナビの「正社員の平均初年度年収推移レポート」「正社員求人件数・応募数推移レポート」の2024年の総評によると、正社員の平均初年度年収は468万円(前年比11万4000円)となり、調査開始(2018年)以降で最高額となった。

2022年は454万2000円(前年比1万円増)、2023年は456万6000円(前年比2万4000円増)に比べて、2024年は大幅な増額となっている。

未経験者求人は434万1000円(前年比7万3000円増)、経験者求人は534万4000円(前年比16万1000円増)だった。

初年度年収が高い5業種

業種 2024年平均初年度年収(前年比)
IT・通信・インターネット 544.5万円(26.1万円増)
金融・保険 539.2万円(23.1万円増)
コンサルティング 511.9万円(10.4万円増)
不動産・建設・設備 500.7万円(8.9万円増)
メーカー 461.2万円(7.0万円増)

初年度年収が高い5職種

職種 2024年平均初年度年収(前年比)
ITエンジニア 570.6万円(16.6万円増)
コンサルタント・金融・不動産専門職 563.6万円(10.4万円増)
建築・土木 516.9万円(8.5万円増)
WEB・インターネット・ゲーム 514.3万円(11.6万円増)
企画・経営 511.0万円(13.8万円増)

2024年春闘での賃上げは33年ぶりの高い水準となり、初任給アップも連日のように企業から発表されている。人材確保のために賃上げや待遇の改善施策を各社は強化しており、中途採用時に提示される年収も上昇していることがうかがえる。

転職決定者の35.8%は「賃金が1割以上増加」
「年収アップ転職」をかなえた人の平均年齢32.7歳

「マイナビ転職」に掲載された求人件数はコロナ前の2019年平均比174.6%で、前年より27.2ポイント増加した。3カ月ごとの推移では、年間を通じて求人件数は継続的に増加し、2024年10-12月平均は2019年平均比207.2%と大幅増となった。

前年に比べて求人数が増加した業種は「コンサルティング」(127.7%)、「運輸・交通・物流・倉庫」(125.5%)、「金融・保険」(124.5%)、職種は「電気・電子・機械・半導体」(133.8%)、「ITエンジニア」(128.8%)、「公共サービス」(125.2%)が上位に入った。

企業の人材採用を支援する主要コンサルティング会社に聞いた日本人材ニュースのアンケート調査でも、「AI、EV関連、半導体、コンサルティングなどの経験者」(キャリア・デベロプメント・アソシエイツ田辺晃社長)、「コンサルティングファームやSIer、外資系ITベンダーが採用を強化」(THRILLクリスチャンセン洋助CEO)、「AIや自動化技術を現場に取り入れるエンジニア」(キャリアビリティ雨宮佑揮社長)など、コンサルタントやエンジニアに対するニーズが挙がっている。

高度専門人材は争奪戦 採用力格差がさらに拡大【主要人材コンサルティング会社アンケート「2025年 人材需要と採用の課題」】

2025年の人材ニーズについて、マイナビで調査を担当しているマイナビキャリアリサーチラボの嘉嶋麻友美研究員は、「特にIT業界では、企業の老朽化、複雑化したブラックボックス的なシステム(=レガシーシステム)を2025年までに刷新し、経済産業省が危惧する『2025年の崖』の回避が急がれており、刷新の中核を担うITエンジニアの需要拡大と待遇引き上げがみられました。引き続き、ITエンジニアのニーズは高い状態を維持するすると予測されます」と分析している。

「正社員の平均初年度年収推移レポート」「正社員の求人件数・応募数推移レポート」の詳細はこちら
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250128_91375/

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