人材サービス大手パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」が発表した2024年12月の「転職求人倍率」は、前月から0.33ポイント上昇し3.15倍となった。(文:日本人材ニュース編集部

2024年12月の転職求人倍率3.15倍、技術系アウトソーシング企業の求人増

求人数は前月比99.5%と微減したものの、前年同月比では105.9%と増加傾向を維持している。一方、転職希望者数は前月比89.0%、前年同月比108.4%となった。

年末は転職希望者数が減少する傾向があり、今回も同様となっている。求人数に比べて転職希望者数の減少が大きく、求人倍率は上昇した。

業種別に見ると、転職求人倍率は前月差では12業種(「その他」は除外)すべてで上昇した。

求人倍率が最も高かったのは「コンサルティング」の10.53倍。コンサルティング会社の採用事情に詳しいunlock.lyの武田颯太COOは、「人材が他社との差別化に直結します。そのため、コンサルティングファームにとって採用・育成は経営の最重要事項」と話す。

また、「特定の業界や領域での実務経験を活かし、より多角的なスキルや視点を身に付け活躍したいという求職者が、若年層・ミドル層問わず増えています」と説明し、コンサルティング会社を転職先に考える人の層も広がっていることがうかがえる。

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「人材サービス」の求人倍率は、パーソルキャリアが2019年1月から現在の定義で算出を開始して以来、初めて10倍を超えた。

「人材サービス」は、全業種の中で求人数の増加率が最も大きい。求人数が増加している理由について、桜井貴史doda編集長は、「依然として高いIT・DX人材の需要から、特に技術系アウトソーシング企業で求人数が増加しました。自動車や半導体分野でのエンジニアや、アプリエンジニア等で求人数が伸長」と説明している。

業種別

業種 転職求人倍率 求人数前月比(%) 転職希望者数前月比(%)
全体 3.15 99.5 89.0
IT・通信 8.33 100.4 89.8
メディア 4.51 98.5 89.6
金融 3.31 99.7 89.3
メディカル 1.26 99.9 88.1
メーカー 3.83 100.0 90.5
商社 2.03 99.5 88.6
小売・流通 0.82 100.4 89.2
レジャー・外食 0.96 100.4 89.2
エネルギー 3.16 99.3 86.8
建設・不動産 6.25 95.9 88.6
コンサルティング 10.53 98.4 90.9
人材サービス 10.36 102.3 86.1
その他 0.34 100.4 88.5

職種別の転職求人倍率は、前月差では11職種(「その他」は除外)すべてで上昇した。「エンジニア(IT・通信)」は前月から1.30ポイント上昇して14.15倍となり、引き続き突出した高さとなっている。

求人数の増加率が大きかったのは「専門職(化学・食品)」(前月比102.1%)、次いで「販売・サービス」(前月比101.1%)だった。

職種別

業種 転職求人倍率 求人数前月比(%) 転職希望者数前月比(%)
全体 3.15 99.5 89.0
営業 3.53 98.9 89.2
企画・管理 4.11 99.8 89.6
エンジニア(IT・通信) 14.15 100.0 90.8
エンジニア(機械・電気) 7.23 101.0 89.6
専門職(メディカル) 0.86 98.6 89.7
専門職(化学・食品) 1.99 102.1 89.6
専門職(建設・不動産) 6.61 97.6 88.8
専門職(コンサル・金融) 7.24 101.1 90.8
クリエイター 1.38 97.2 89.6
販売・サービス 0.86 101.1 89.6
事務・アシスタント 0.57 94.5 87.0
その他 0.06 103.6 86.5

1月以降の見通しについて、桜井貴史doda編集長は「1月の求人数は、12月に引き続き来期の体制を見据えた増員募集を行う企業が多いことから、企業の採用意欲は高い水準となり、横ばいが想定されます。一方、転職希望者数は、例年4月入社を目指し1月ごろから転職活動を始める人が増える傾向にあるため、増加が見込まれます。求人数は横ばいで、転職希望者数は増加する傾向から、転職求人倍率は下降する見込みです」と解説している。

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