サステナブルなチョコレートを日本でも。オランダ発『Chocolate Oranda』の挑戦
高品質なサステナブルチョコレート『Chocolate Oranda』を展開する望月幸美(もちづきさちみ)さん。グローバル企業での経験やオランダでの暮らしを活かし、ヨーロッパの高品質カカオを日本に届けています。美味しさだけでなく、サステナブルな理念を大切にした挑戦を続ける望月さんに、チョコレートに懸ける思いを伺いました。

オランダで出会った驚くほど美味しいチョコレート

サステナブルなチョコレートを日本でも。オランダ発『Chocolate Oranda』の挑戦

私は『Yui International』という屋号で、サステナブルな商材を日本に紹介する活動をしています。ヨーロッパ企業が抱える言語や文化の壁を越え、持続可能な製品を広めるサポートをすることが目的です。

私はグローバル企業での勤務経験が豊富で、オランダ大使館で働いていたとき、オランダが日本に興味を持ちながらも進出が難しいと感じている国だと知りました。その後、オランダ人の夫と出会い、日本に進出したい企業をサポートする仕事をすることになったのです。

そんな中、オランダ滞在中に出会ったのが『Heinde&Verre(ハインデ&ヴェレ)』のチョコレートです。一口食べた瞬間、その美味しさに驚きました。オランダの厳しい気候や文化の中で育まれたこのブランドは、カカオの品質に徹底的にこだわり、他にはない個性を持っています。

その後、「つくっている人に会ってみたい」と思い、ロッテルダムの工場へ行きました。そこで出会ったのは、親日家であり、日本のお菓子に詳しい熱心なスタッフたちです。彼らのカカオやチョコレートに対する情熱に触れ、「やってみよう」という気持ちが一気に高まりました。

Heinde&Verreの名前は日本では馴染みが薄いため、『Chocolate Oranda』という新しいブランド名を付けて展開しました。アメリカやヨーロッパでの輸出実績があったため、輸送や梱包に関する不安は少なく、日本への輸入手続きも何とかなるだろうと信じて進めました。

高品質カカオが生む『Chocolate Oranda』の魅力

サステナブルなチョコレートを日本でも。オランダ発『Chocolate Oranda』の挑戦

Chocolate Orandaは、希少な高品質カカオを使用し、その産地の個性を最大限に引き出した特別な味わいが特徴です。世界で収穫されるカカオのうちわずか5〜15%とされる希少なファインフレーバーカカオを使用しています。このカカオは、産地や品種ごとに味わいが異なり、まるでワインやコーヒーのように風土が反映されるのが特徴です。

たとえば、パッションフルーツのような後味がするものや、ベリー、レモンのニュアンスが感じられるもの、ヨーグルトのような酸味があるものなど、10種類のチョコレートバーがラインナップされています。これらは混ざりものや余計な添加物を一切加えず、カカオそのものの味を楽しむことができます。

パッケージにもこだわり、プラスチックを使わないサステナブルなデザインを採用しています。さらに、製菓用チョコレートも展開し、職人が高品質な素材で独自のスイーツを作れるよう支援しています。

近年、食品や食材の産地や生産者にこだわる人が増えるなか、チョコレートではそういった情報がまだ浸透していないと感じています。Chocolate Orandaは、産地やカカオの個性を求める人々のニーズに応え、新しい価値を提供しています。

高品質のチョコレートを多くの人に知ってもらいたい

サステナブルなチョコレートを日本でも。オランダ発『Chocolate Oranda』の挑戦

Chocolate Orandaの輸入を進めるなかで、多くの企業が「Bean to Bar(ビーントゥバー)」スタイルを採用している現状に気づきました。Bean to Barは、カカオ豆の選定からチョコレート製造までを一貫して行う手法で、この業界に新たに参入することの難しさを実感しました。

Bean to Barが、必ずしも「良いチョコレート」を意味するわけではありません。ただ、美味しいチョコレートを追求する過程で、この手法が最適だと考える企業が多いのだと思います。

今年はビジネスとして初めて12月のチョコレート需要期をスタートから迎えました。営業担当が私一人という状況で奮闘しましたが、購入してくださったお客様にはぜひリピーターになっていただきたいと願っています。

特に、手作りで生産量に限りがある製菓用のクーベルチュールチョコレートは、本当にその価値を理解し、大切に使ってくださる方に届けたいと考えています。一方で、個人向けのチョコレートバーについては、特別な日に「たまにはこういう高品質なチョコを食べたい」と思ってくださる方がもっと増えるよう、積極的に広めていきたいと思っています。

現在のビジネスモデルではまだ難しい部分もありますが、将来的には『チョコレートキングダム』をつくりたいという夢があります。そのために、マルシェなどさまざまなイベントに積極的に参加し、まずは知っていただく機会を増やしていきたいと考えています。