矢野経済研究所
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2023年度の占いサービスの市場規模は997億円、スピリチュアル関連ビジネス市場規模は4兆2,418億円

~女性をコアターゲットに多くのセグメントで成長基調~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、占い・スピリチュアル関連ビジネス市場について調査を実施し、市場構造、サービスの動向、参入事業者の動向、将来展望を明らかにした。

占いサービス市場の主要分野別概況

市場 市場概況 2023年度市場規模(億円) 成長性
(2022~2023年度)
対点い市場※1 市場は拡大傾向ではあるものの、コロナ前の水準まで回復せず。街に人流が戻ったことは、対面占いの市場には好材料となったが、女性のレジャーの支出先が買い物(特にファッション、化粧品・美容関係)、 外食、旅行等に分散され、かつ、昨今の物価高で、レジャー支出のジャンルを絞る傾向が強まったことが伸び悩みの要因。繁華街にある占い店舗は堅調。 287 ↗︎
電話占い市場※1 「事業型」の事業者が2020年度以降、ヘビーユーザーのリピート率、客単価の減少のために売り上げが伸び悩む一方で、「情報・メディア型」の事業者では、客単価は伸び悩んでいるものの、集客の絶対数の増 加による売上拡大の傾向が見られ、2020年度のコロナ特需以降、微減傾向が続いていた市場規模は、結果として2023年度には、拡大基調に転じる結果となった。 216 ↗︎
メール・チャット占い市場※1 「メール占い」は、古くからある業態であるが、市場規模はかなり小さい。「チャット占い」は、ここ数年で形成されつつある市場。無料アプリをダウンロードさせるケースもあるが、そこから有料課金サービスに移行する人の比率は極めて少なく、多くの事業者にとっては、事業の柱になる程の規模になっていない。 18 ↗︎
占いスキルマッチング
(オンラインサロン)市場※2
占いは、数あるエンターテインメントの分野でも、「スキルマッチング」「オンラインサロン」での取扱高の伸びが大きく、2024年度においてもその成長が続いている状況である。 65 ↗︎
Web占い(アプリ・SNS)市場※1 「占いアプリ」「占いサービス」のサイトは、市場に氾濫しており、無料のものが多く占める中、課金されるものでも数百円程度の課金サービスが多く、当該サービスによる未端の売上(BtoCによる売上)は小さい状況にある。市場規模は微増。 39
Web占いメディアサービス市場※3 青報番組、各種女性向けの雑誌でも占い特集は、コロナ禍の終息後も安定的に制作、提供されており、「占いメディアサービス」は、益々、上向きに推移している状況である。 372 ↗︎
占いサービス市場 合計(主要6市場の合算値) 997
※1.末端消費額ベース

※2.未端取扱高ベース

※3.雑誌・書籍の末端販売額および広告費用の積算

矢野経済研究所調べ

スピリチュアル関連ビジネス市場の主要分野別概況

市場 市場概況 2023年度市場規模(億円) 成長性
(2022~2023年度)
宗教・自己啓発開連書籍/雜誌市場※4 当該分野の書籍、雑誌に限らず、いわゆる書籍や雑誌といった出版物の市場は、Webメディアの興隆によって年々衰退しており、宗教・自己啓発関連の書籍・雑誌も、そのトレンドから逃れられず、全体とし ては減少傾向となっている。 341 ↘︎
宗教市場※5 2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことで、年度中には、各種宗教行事(冠婚葬祭、なり、法事、供養、初詣等)が復活し、観光地にある寺社では、積極的な訪問客の受け入れも手開していったことで、お布施、拝観料、養銭等の事業収入が前年よりも大きく増えたことが、市場拡大の主たる要因となった。 20,767 ↗︎
パワーストーン市場※6 コロナ禍がある程度落ち着いたことで、百貨店、宝飾専門店、エステサロン、アロマ店、美容院、サウナ・リラクゼーション施設、占いサービス施設、宗教施設等への人流が増えたことにより、パワーストーンの販売が底上げされたものの、円安、物価高の影響が購買を抑制し、伸び率はそれ程大きくはなかった。 513 ↗︎
ヨガ市場※6 新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことで、密になる場所でのレジャーを自するムードが解け、顧客が相当に戻ってきたことと、自明けの美容、シェイプアップの需要が拡大したことで、参入事業者の多くが、前年対比で大きく売上を伸ばした。しかし、コロナ前の水準まで戻してはいない。 709 ↗︎
自己啓発/マインドセット教育(研修)市場※7 優秀な若手社員を積極的に採用することが困難になっている企業にとっては、社員を「採用」するから「教育」して育てる方向に構造転換しており、従業員教育全体の需要が増えたことで、研修事業者が提供する「教育(研修)」の手法も多様化しており、マインドに働きかけるメソッドを用いた研修の需要も底上げされてきていることが、市場規棋拡大の背景となっている。 678 ↗︎
ヒーリング市場※6 2023年5月に新型コロナウイルスの感染定法上の位置づけが5類に移行したことで、密になる場所でのレジャーを自粛するムードが解け、顧客が相当に戻ってきたことと、コロナ禍中に傷んだ肩、クビ、腰、足のリハビリ需要の増加、外出機会が増えたことによる女性の美容意識拡大等が、市場拡大を後押しした。 11,010 ↗︎
宝くじ市場※6 市場規模は拡大傾向が続いているものと予測されるが、コロナ禍が空けてレジャーへの関心が多方面に分散しやすいことと、円安・物価高による可処分所得の減少が、市場拡大を抑制した。 8,400 ↗︎
スピリチュアル関連ビジネス市場 合計(主要7市場の合算値) 42,418
※4.発行全額ベース

※5.宗教法人の収入額ベース

※6.末端消費額ベース

※7.法人からのサービス対価額ベース

矢野経済研究所調べ

1.市場概況

本調査における占いサービスに関連した市場規模の合計(主要6市場の合算値)は、2023年度で997億円と推計した。占いサービス市場の主要6市場のうち、5市場が成長している。「対面占い」「電話占い」「メール・チャット占い」「占いスキルマッチング(オンラインサロン)」「Web占いメディアサービス」は成長基調、「Web占い(アプリ・SNS)」は横ばい基調となっている。

本調査におけるスピリチュアルに関連した市場規模の合計(主要7市場の合算値)は、2023年度で4兆2,418億円と推計した。主要7市場のうち、6市場が成長している。「宗教」「パワーストーン」「ヨガ」「自己啓発・マインドセット教育(研修)」「ヒーリング」「宝くじ」は成長基調、「宗教・自己啓発関連書籍/雑誌」は下降基調となっている。

2.注目トピック

女性向けマーケティングツールとして強力な「占い」

2024年7月現在、占いサービスの利用客の中心層は、30~50代の女性である。占いの手段によって、男女比、年齢層が変わるが、概ね女性顧客が90%、30~50代の年齢層が80%を占めている。また、占いサービスの利用目的の85%が「恋愛・男女関係」についてである。

​このような背景から占いは、女性向けの各種サービス(情報サービス、健康・美容、各種販売)の広告、集客ツールとして強力であり、女性の会員が多いSNSやECサイト、女性雑誌、百貨店などの商業施設、朝の情報番組などに多用され、人気を博しており、日本国内において、占いサービスの経済効果は極めて大きい状況となっている。

3.将来展望

当面、日本においては、経済の衰退、未婚率の上昇、自然災害の多発等、人々を不安にさせる事象が増えることはあるものの、減ることは無いものと見られ、悩みを解決する手段としての、占いサービスやスピリチュアル関連サービス、商品の需要は底堅いものと考える。
今後は、スキルマッチングプラットフォームに個人の占いスキルを登録して、利用者がマッチングされる仕組みが進展したり、生成AIが的中率の高い占いを実践するといったサービスが創出され、既存の占いサービスの顧客を奪っていくことも大いにあり得るとみる。

調査要綱

1.調査期間: 2024年7月~9月
2.調査対象: 占いサービス(対面、電話、メール・チャット、占いスキルマッチング、Web、メディアサービス)、スピリチュアル関連ビジネス(宗教・自己啓発関連書籍、宗教、パワーストーン、ヨガ、自己啓発・マインドセット教育(研修)、ヒーリング、宝くじ)関連事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、公開情報および文献調査併用
<占いサービス市場とは>
本調査における占いサービス市場とはエンターテインメントとして提供される、「人の運勢、物事の吉凶、将来の成り行きを判断・予言する」ことにより、顧客から対価を得るサービスで構成される市場とする。対象分野は「対面占い」「電話占い」「メール・チャット占い」「占いスキルマッチング(オンラインサロン)」「Web占い(アプリ・SNS)」「Web占いメディアサービス」の主要6市場とする。

なお、宗教法人、宗教団体、宗教関係者が主体となって行う宗教的儀式として行われるものは含まない。また、反社会的勢力、カルト集団による違法行為、詐取、洗脳行為の類として行われるものも含まない。法人によって継続的に運営されているサービスのみを市場規模に含むものとする。個人が対価を得ているものは含まない。

<スピリチュアル関連ビジネス市場とは>
本調査におけるスピリチュアル関連ビジネス市場とは人間の精神に何らかの効用をもたらすサービス、商品による市場とする。その中で特に代表的、象徴的な分野として、「宗教・自己啓発関連書籍/雑誌」「宗教」「パワーストーン」「ヨガ」「自己啓発・マインドセット教育(研修)」「ヒーリング」「宝くじ」の主要7市場を対象とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
占いサービス(対面、電話、メール・チャット、占いスキルマッチング、Web、メディアサービス)、スピリチュアルに関連した各種サービス、商品

出典資料について

資料名2024 占い・スピリチュアル関連ビジネス市場 徹底研究
発刊日2024年09月30日
体裁A4 202ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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