パーソナルヘルスケアサービス市場に関する調査を実施（2024年）

(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

パーソナルヘルスケアサービスはヘルスケア領域からメディカル領域まで

スマートフォンの利用を軸にしたシームレスなサービス展開が進む

株式会社矢野経済研究所（代表取締役社長：水越孝）は、国内のパーソナルヘルスケアサービス市場を調査し、サービス分野別の動向、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

1.市場概況

パーソナルヘルスケアサービスには、個人の健康習慣づくりを支援する様々なサービスが存在する。スマートフォンやウェアラブルデバイスの普及により、各種のバイタルデータや運動、食事、睡眠、服薬、月経周期などのデータ収集・管理が容易となり、スマートフォンアプリやクラウドサービス等を活用した各種のサービスが上市されている。

疾患管理・予防アプリではさまざまな形でアプリの展開（マネタイズ）がなされており、「BtoC」ではフリーミアム（基本的な機能は無料、より高度な機能は有料で提供するサービス）展開が多いが、有料会員、アプリ購入時課金、ユーザー向け課金無しの場合もある。その他、サービス展開企業から医療機関を通じて展開する「BtoMtoP」、自治体を通じた展開の「BtoGtoC」、ヘルスケア関連企業を通じた展開の「BtoBtoC」、勤務先の企業や健康保険組合を通じた展開の「BtoBtoE」などが挙げられる。
多くの疾患管理・予防アプリは「BtoC」でのマネタイズはしていない、あるいは「BtoC」が売上の一部を構成するに過ぎず、マネタイズの中心は「BtoC」以外の各種形式となっている。

2.注目トピック

個人向けPHRサービスのカバー範囲は他社連携などからさらに拡大

歩数や睡眠などの健康情報を自動収集・管理する機能に限定した簡易PHRサービスは基本無料であり、細分化した個人の要望に応じたプログラムの提供などは有料サービスとして提供される、というサービスフォーマット（フリーミアム）は今後も継続することが推察される。
また、API連携等を通じた企業・サービス連携が加速しており、PHRサービスのカバー範囲は、今後、更に拡大していくと考える。近年は、スポーツクラブ（ジム）や調剤薬局などの店舗との組み合わせ活用で、利用者個人の健康増進だけでなく来店促進や顧客サービスの効率化・改善が取り組まれている。
さらに、管理栄養士が在籍する調剤薬局などを中心に、食事関連のPHRサービスを導入する動きが見受けられており、今後も拡大していくことが推察される。調剤薬局によっては特定保健指導を実施する施設もあり、そのような施設では食事管理アプリを導入し、栄養指導業務を行うように業務体制を整える傾向が見受けられる。

3.将来展望

パーソナルヘルスケアサービス市場は、健康情報管理サービス市場、疾患管理・予防アプリ市場、フェムテック市場、その他ヘルスケアサービス市場の4分野に大別される。

いずれのサービスにおいても、個人向けの課金（「BtoC」）は割合として小さく、企業向けや医療機関向け、自治体向けのマネタイズが進められてきた。
さらに、大学・研究機関との臨床研究を行い、医療機器承認を得て保険適用されるDTx（治療用アプリ）化を進め、中長期的に新たなマネタイズを目指すサービスも増加している。高齢化社会の進展を背景に予防医療への関心が高まっており、多くのパーソナルヘルスケアサービス参入企業は、事業の拡大基調を見込んでいる。

調査要綱

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