岡本硝子、放熱素材スタートアップのU-MAPと資本業務提携

岡本硝子株式会社(7746)と株式会社U-MAP(愛知県名古屋市)は、AlN(窒化アルミニウム)セラミックス基板の量産体制を確立した上で、資本業務提携を締結した。

これにより、4.5インチサイズのAlN基板を月産3万枚規模で生産可能とする体制を整え、流動品の販売を開始したことを発表した。

岡本硝子は、特殊ガラス製造の分野を追求し、プロジェクター用マルチレンズ、同反射鏡、歯科用デンタルミラーの3つの世界シェアNo.1製品を提供している。

U-MAPは、名古屋大学発の素材系スタートアップ企業。独自の繊維状窒化アルミニウム単結晶や放熱素材の開発を通じて、エレクトロニクスやハイテク産業向けに優れた放熱性能を提供している。

協業によるAlNセラミックス基板の量産販売

両社は、U-MAP社の独自技術「Thermalnite®」を用いた次世代エレクトロニクス向けAlN基板の開発を進めてきた。

岡本硝子の高度なセラミックス製造技術とU-MAPの革新的な放熱素材技術を融合させ、金属アルミニウムと同等の高い熱伝導率を実現した電気絶縁性のAlN基板の量産に成功。これにより、LEDやLD(レーザーダイオード)などの光学分野、またパワーエレクトロニクス分野における熱課題の解決が期待される。

さらに、生成AIの普及に伴うデータ処理量の増加により、データセンター内部の高速通信環境における熱対策の重要性が増している現状に鑑み、本AlN基板は優れた熱伝導性と電気絶縁性を備え、データセンター内光通信LDの熱管理ソリューションとしても最適である。

両社は今後、製品ラインナップの拡充を図り、データセンター市場向け製品の供給体制を強化していく。

本事業の背景

本事業は、関東経済産業局及びリバネス社が主導する「中堅・中小企業とスタートアップの連携による価値創造チャレンジ事業」でのマッチングをきっかけにスタート。2022年には「成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)」に採択され、性能強化や生産技術の開発を推進した。これらの支援を受け、わずか3年で開発からAlNセラミックス基板の量産化を達成した。

U-MAP独自素材「Thermalnite®️」を用いた次世代AlN基板の開発

現在、両社は従来のAlN基板の機械強度を2倍近く向上させた次世代高強度AlN基板の量産化を目指している。この新製品は、5G・6G通信モジュールや再生可能エネルギー分野で注目されるSiC/GaNを活用した次世代パワーデバイスの熱課題解決に寄与することが期待されている。

すでに4.5インチサイズのサンプルは国内外のエレクトロニクス企業に提供中で、今回構築された量産及び品質保証体制を基盤に、次世代高強度AlN基板の本格的な市場投入を計画している。
(提供:日本M&Aセンター

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