中村医師
(画像=中村医師)

ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアムは11月27日、都内でメディア勉強会を開催した。「今年の冬こそ知りたい!ヘルシーオイルの可能性」と題し、MCT(中鎖脂肪酸)とアマニ油やえごま油に含まれるオメガ3の摂取を今年の冬に推奨する理由や健康価値について、医師と日清オイリオグループ基礎研究所第1課の渡邉愼二氏が講演した。

虎ノ門中村クリニックの中村康宏院長は、「身体活動の強さを示す指標『METs(メッツ)』から見たMCTの新たな価値とは」と題して講演し、MCTを継続的に摂り続けることで、日常生活の活動で効率的に脂肪燃焼できることを解説した。

中村院長は「メッツ」について、安静時を1とした時に、身体活動の強度を示す指標と説明した。「メッツ×時間(h)×体重(kg)=エネルギー消費量」となる。例えば体重60kgの人を想定し、15分のジョギングと30分の徒歩通勤を比べると、それぞれメッツは7.0と4.0とジョギングの方が高いが、最終的なエネルギー消費量は105kcalと120kcalで、時間をかけた徒歩通勤の方が大きくなる。「日々の生活の中で脂肪燃焼のチャンスはある」とした。その上で、「MCTを日常的に摂ると、さらに消費エネルギーを高められる」と強調した。人間には糖と脂質の2つの燃焼回路があるが、すぐエネルギーになる糖燃焼回路を多く使うため、通常は脂肪からエネルギーを生み出すことは少ない。ケトン体を増やすことで脂肪燃焼回路が働きやすくなるという。「MCTの摂取でケトン体が増加し、エネルギーの消費はさらに活性化される」と説明した。

寒いと体温維持のために基礎代謝が上がりやすいことから、「冬は脂肪燃焼のボーナスタイム」だという。基礎代謝が上がっている時にケトン体を増やすことが有効だとし、「年末の大掃除は脂肪燃焼のチャンス」と提案した。最近は、MCT入りのチョコレートやヨーグルトなどの加工食品も増えており、継続的にMCTを取り入れる環境が整っていることも紹介した。

〈臨床試験でMCTを日常的な摂取で脂肪代謝がアップ、今年の冬は注意、オメガ3提案〉
ゲスト講演を行った日清オイリオグループの渡邉氏は、MCTの歴史と「BMIが高めの方の日常活動時の脂肪燃焼を高める」エビデンスを紹介した。元々、MCTが含まれるパーム油の固まらない部分は廃棄されていたが、1950年代に有効利用の研究を開始し、55年にMCTの安全性評価の際に痩せる現象を発見した。90年代中盤までは医薬品として流通し、90年以降は食品への応用展開を進めた。2000年頃に調理用油脂として使える技術革新により、特定保健用食品の「日清ヘルシーリセッタ」を発売している。さらに高齢者向けの介護用のエネルギー補給商品の開発も始まり、「幅広い世代に向けて応用研究してきた」と振り返る。

次に、現代の日本ではカロリー摂取は1970年に比べて減少傾向にあるが、特に男性に肥満者が増えていることを示した。その大きな要因として、NEAT(ニート、非運動性熱産生)が低下していることや不規則な食事を挙げる。しかし、厚労省の調査結果では20歳以上の男性は食生活習慣改善の意識は低く、「ニートに着目した方が痩せやすい」と説明した。

同社は食生活にMCTを取り入れると肥満解消を促進できるかについて研究を行い、脂肪燃焼を高めるエビデンス取得のための臨床試験の結果、「MCTを日常的に摂取すると脂肪代謝がアップすることが分かった」と説明した。工藤内科の工藤孝文院長は、「今年の冬こそオメガ3!からだの『めぐり』を整えて冬の健康課題を解決」と題して講演した。オメガ3を摂取することで、脂質からできている細胞膜の柔軟性を上げることができ、栄養や水分を取り込みやすくなり、老廃物を出しやすくなるという。また、血液中の酸素を運ぶ赤血球も細胞なので軟らかくなり、血流が良くなると解説した。寒いと血管が収縮するため、冬は心筋梗塞による死亡者が多く、暖冬だった昨年と違って、今年は注意が必要と呼びかけた。オメガ3には血管の炎症を抑える効果があることなどを紹介し、「ぜひオメガ3を摂ってほしい」と提案した。

〈大豆油糧日報2024年11月29日付〉