ホームページで人を増やし、ホームページで仕事を増やして成長する流れへ 現場管理者にシステムでの見積・原価計算を任せ、やる気と見える化で、全員が支える経営へ 両毛設備機工(群馬県)

目次

  1. 採用拡大を目指してホームページを開設し、体験感覚と細かい仕事の紹介で会社を知ってもらう
  2. Instagramで普段の仕事の内容・普段の従業員の様子の切り取りで、普段着の会社を発信
  3. ホームページでは施工事例を数多く発信 どのような仕事ができるかをわかってもらい受注につなげる
  4. 全員参加の経営 担当従業員がシステムを活用して、見積・原価計算を行い損益管理を行う やる気向上と情報の透明さで収益が向上
  5. 従業員に経営者マインドを持たせることで次の世代へと会社がつながるように布石を打つ スケジュール管理から労務管理、原価管理までをトータルで行えるシステム構築へ
  6. 社長考案で企業キャラクター「マニー」を作ってイメージアップをねらう
中小企業応援サイト 編集部
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榛名山や赤城山を近くに望む群馬県高崎市剣崎町に本社を構える両毛設備機工株式会社は、空調設備や電気設備といった設備関係の工事を請け負っている会社だ。建設業は、きつく厳しい仕事といったイメージがあって、人が集まりにくい業界だが、両毛設備機工ではホームページで仕事の内容をわかりやすく伝え、実際に楽しく働く従業員の情報を発信し、人材の確保に成功している。(トップ画像:両毛設備機工のホームページトップ)

次々と切り替わるトップ画像が、設備工事の現場で作業をする従業員の姿を映し出す。そこに添えられた「空間設備のプロとして地域の暮らしを守りたい。」という言葉が、従業員には大勢の人たちの暮らしを支えているプロなのだという意識を持たせ、地域や取引先には安心して仕事を任せられる会社だといった印象を提供している。

「冷暖房空調設備工事」「給排水衛生設備工事」「電気設備工事」といった同社で手がける工事の画像をクリックすると、それぞれの施工事例のページへと飛べる。そこでは、実際に手がけた工事の実績を紹介して、数々の仕事を受注している会社であることを伝えている。小学校からゴルフ場、そして飲食店まで幅広く手がけた同社の施工事例を見て、実際に応募し採用されたケースもある。

採用拡大を目指してホームページを開設し、体験感覚と細かい仕事の紹介で会社を知ってもらう

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両毛設備機工の採用ページ

実は同社では、ホームページを2020年まで持っていなかった。商工会などが作るサイトに加盟企業として情報が掲載されることもなかった。取引先とのつながりから仕事が途絶えることはなく、経営的には順調だったが、「新しい人を採用したい時に、会社について知ってもらえておらず、人が集まりにくいといったことがありました」と、本田誠代表取締役は振り返る。「仕事があっても、人がいなければ受けられません。求人のためにホームページが必要だと考えました」(本田社長)

意識したのは、「会社のことをなるべくわかりやすく紹介して、良いイメージを持ってもらうことです」(本田社長)。デザインも、細かな施工事例の紹介も、そうした面では大いに効果を発揮している。加えて、「ずっと同じ情報が掲載されて動きがないホームページでは、会社に魅力を感じてもらえません」(本田社長)と、こまめな情報発信を心がけるようにした。

Instagramで普段の仕事の内容・普段の従業員の様子の切り取りで、普段着の会社を発信

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様々な情報を発信する両毛設備機工のInstagramの三つの事例

ホームページでは常に最新の施工事例をニュースとして発信し、Instagramのアカウントも作って工事写真から社員旅行の様子、事務所内にあるアクアリウム(水槽)の画像まで様々な情報を発信して、会社への興味を持ってもらうことに努めている。特段にSEO(サーチエンジン最適化)対策を行っていないにもかかわらず、「『高崎』『空調設備工事』で検索すると、社名が上の方に出るようになりました」(本田社長)というから、こまめな更新により閲覧者が増える効果があったといえそうだ。

気をつけていることもある。「当社の取引先には、専任のSNS要員を置いて毎日のように新しい情報を発信しているところもあって、見習いたいと思っています。ただ、あまりに頻度が多すぎても、業務とは関係のない情報でも発信してしまおうということになって、焦点がブレてしまいます」(本田社長)。適度な頻度で適切な情報を発信していくことで、魅力のある会社だというイメージを作り上げていこうとしている。

ホームページの開設で狙いとした採用については、確実に効果をあげているようだ。最近も、ホテル勤務をしている人が応募をしてきて、採用を決めたという。高校を回って会社説明を行った際も、名のある大企業を蹴ってでも来てくれそうな生徒がいるなど、それなりの手応えを得られるようになった。「ホームページがあれば、会社の名前で検索してどのような会社かを知ることができますから」(本田社長)

ホームページでは施工事例を数多く発信 どのような仕事ができるかをわかってもらい受注につなげる

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ホームページ内に並ぶ施工事例の中からの3事例

普段の業務でも、新しい取引先の開拓につながる効果が出ているという。「完全にホームページ経由で仕事が来ることもあります」(本田社長)。最近も、高崎市内で開業を目指す店舗や工場等から複数の見積依頼が舞い込んだとのこと。施工事例で紹介されているさまざまな業種でのていねいな仕事ぶりに、頼んでみたいと考えたのかもしれない。ホームページで人手を増やし、ホームページで仕事を増やして成長していく流れができたといえそうだ。

全員参加の経営 担当従業員がシステムを活用して、見積・原価計算を行い損益管理を行う やる気向上と情報の透明さで収益が向上

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両毛設備機工の本田誠社長

ICTを活用した業務の効率化にも取り組んでいる。工事や建設、土木といった業種では、それほど規模の大きくない会社の場合、現場には作業に徹してもらい、手間のかかる見積や原価管理などは代表者や事務の担当者が行うところが少なくない。これを同社では、「現場を管理する従業員一人ひとりが、工事の見積から施工の管理から実際の施工まで広く行えるようにしています」(本田社長)という。

工事を請け負った従業員が、パソコン上の原価管理システムで見積も行って全体のプロジェクトを進めていく。そのために、誰もがパソコンを使ってシステムを操作できるだけのスキルを身につけるようにしている。狙いとしているのは、スピーディーで効率的な経営の実現であり、従業員一人ひとりの成長だ。「営業と技術が別にいて、それぞれに確認を取っているようでは、なかなか話が進みません。お金の話も技術的な話も一人でできるようにすることで、仕事の流れもスムーズになります」(本田社長)

そして、「従業員に経営者としての感覚が生まれます」(本田社長)。原価管理を行い、売上伝票を書いて請求書発行までを行う中で、担当する仕事に関する損益などへの感覚が身についていく。「建設業で社長が適当に見積を行い、どんぶり勘定で経営していては、絶対に利益を出すことはできません」(本田社長)。現場に責任を与え、一人ひとりの成長を促すことで、より透明で利益も生まれる経営体制を作り上げた。

従業員に経営者マインドを持たせることで次の世代へと会社がつながるように布石を打つ スケジュール管理から労務管理、原価管理までをトータルで行えるシステム構築へ

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木の雰囲気をベースに整理されたオフィス

会社が長く続いていくためにも、経営がわかる後継者を育てていく必要がある。社長自身は56歳とまだ若いが、将来のことを考えて、今から着々と布石を打っている。現場の方でも、新しい人を育てるために動いており、システムの扱い方も含めて、先輩が後輩をサポートしている。実際の作業にあたっても、従業員が現場で自主的に判断して必要な人数を割り振っているというから頼もしい。「現場はもう任せきりで自分の仕事に取り組めます」(本田社長)

従業員のコミュニケーションについては、スマートフォンを支給し、LINE WORKSを利用して業務的なやりとりを行えるようにしている。日々の予定管理は別のシステムで行っており、誰がどこの現場に行っているかがわかるようになっている。ただ、「希望としては、スケジュール管理から労務管理から原価管理までをトータルで行えるようなシステムがあれば、労務費も含めて把握できるようになるので、もっと便利になると考えています」(本田社長)。既存のシステムを作り込んで対応するか、それぞれの機能を持ったパッケージを連係して使えるようにするか、検討していく方針だ。

同社では2019年頃に本社を大幅に改装して、木材を多く使った心地よいオフィス空間を作り上げた。会議室には大型の液晶ディスプレイを設置し、外部講師にセミナーを開いてもらったり、集まって会議を行えるようにした。現場で働く従業員が、見積などのパソコン作業を行う部屋も整備して、戻ってきて効率良く作業できるようにした。事務を行うスタッフも、アクアリウムがあって居心地のよい空間で日々の仕事に取り組めるようになった。今は、社長を含む3人のスタッフが、健康増進に役立つというバランスボールの上に座り、楽しみながら日々の仕事に向き合っている。

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両毛設備機工のオフィスでは従業員も社長もバランスボールに座って仕事をしている

社長考案で企業キャラクター「マニー」を作ってイメージアップをねらう

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本田誠社長が描いたイメージキャラクター「マニー」

「イメージキャラクターも作りました」(本田社長)。緑色のペンギンのような姿をした「マニー」というキャラクターで、眉毛が青色と赤色になっている。モチーフとなったのが、エアコンの整備に欠かせない「ゲージマニホールド」という装置で、名前もここからとられている。しっかりと商標登録を行い、ホームページにも登場させて、親しみやすく働きやすい会社といったイメージをより強くアピールしていく考えだ。

ホームページで人を増やし、ホームページで仕事を増やして成長する流れへ 現場管理者にシステムでの見積・原価計算を任せ、やる気と見える化で、全員が支える経営へ 両毛設備機工(群馬県)
両毛設備機工の本社屋

企業概要

会社名両毛設備機工株式会社
本社群馬県高崎市剣崎町1216番地
HPhttps://www.rsk-net.co.jp/
電話027-343-8143
設立1997年4月1日
従業員数12人
事業内容 冷暖房空調設備工事設計施工、給排水衛生設備工事設計施工、電気設備工事設計施工