2023年度の国内靴・履物小売市場規模は前年度⽐109.5%の1兆2,265億円と推計
~新型コロナウイルスの5類移行に伴い、靴専門店や百貨店などへの客⾜が回復、加えてインバウンド需要も増加~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の靴・履物小売市場を調査し、商品アイテム別や主要販売チャネル別、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。
靴・履物市場規模推移・予測(小売金額ベース)
靴・履物のアイテム別市場規模推移(小売金額ベース)
1.市場概況
2023年度の国内靴・履物市場規模を⼩売金額ベースで前年度⽐109.5%の1兆2,265億円と推計した。
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移⾏し、⼈々の⽣活はコロナ禍前の⽇常に概ね戻り、専⾨店や百貨店などへの客⾜が回復した。加えて、インバウンド(訪日外国人客)需要の増加もあり、コロナ禍前の2019年度市場規模には⾄らないものの、前年度比9.5%増とプラスに推移した。
アイテム別に市場をみると、ビジネスシーンをはじめとしたファッションのカジュアル化により、スポーツシューズ(スニーカーを含む)の市場構成⽐は57.7%と拡⼤、紳⼠靴・婦⼈靴ではスニーカーライクな商品や機能性商品、⼦供靴では「⾜育」を取り⼊れた商品が好調に推移した。
2.注目トピック
靴・履物業界参⼊企業の環境に関する取り組み~環境配慮型素材の採用が目立つ~
現在、国内の靴・履物業界内では、有力企業を中心にCO2排出量の削減目標の達成に向けた取り組みが進められている。
また、削減目標などを掲げていない企業においても、ペットボトル由来の再生材や、LWG認証レザー(皮革産業の環境保護を目的とした国際認証団体レザーワーキンググループが認証した製革業者が生産している革)といった環境配慮型素材を使用した製品開発などが行われている。
環境配慮型素材の使用以外には、靴のリサイクルや、下取りした靴の途上国への寄付、リセールビジネスの強化、在庫適正化などによる靴の廃棄量削減のほか、社内の消費電力削減、ソーラーパネルの設置などによる化石燃料の使用量削減の取り組みなどが挙げられる。
3.将来展望
2024年度の国内靴・履物小売市場規模を前年度⽐100.7%の1兆2,354億円と予測する。
引き続き、ファッションのカジュアル化などによって、⾰製の紳⼠靴・婦⼈靴の需要の減少は続く見込みである。加えて、2022年頃から円安が進んでおり、現時点で靴・履物商品の値上げを実施もしくは検討している企業は多く、値上げにより⼦供靴を中⼼に靴・履物の買い控えが進むと予測する。一方で、⼩売価格の上昇による売上⾼の増加も期待できるほか、スポーツシューズをはじめとした機能性シューズや、スニーカーライクな紳⼠靴・婦⼈靴が引き続き好調に推移していくなどのプラス要素も考えられることから、2024年度の市場は前年度からの微増を⾒込む。
調査要綱
1.調査期間: 2024年7月~9月 2.調査対象: 日本国内の靴・履物、及び、靴資材など靴業界に携わるメーカー、卸、小売業、ならびに周辺関連業者、輸出入業者等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用 |
<靴・履物小売市場とは> 本調査における靴・履物小売市場とは、紳士靴・婦人靴・子供靴・並びにスニーカーも含む全てのスポーツ用シューズに加え、その他の履物類(長靴や作業靴等)も含めた全ての靴・履物類を対象として、算出している。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 紳士靴、婦人靴、子供靴、スポーツシューズ(スニーカーを含む)、その他の靴・履物類(長靴、作業靴等) |
出典資料について
資料名 | 2025年版 靴・履物産業年鑑 |
発刊日 | 2024年09月27日 |
体裁 | A4 394ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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