製粉協会新会長・塚越英行昭和産業社長
(画像=製粉協会新会長・塚越英行昭和産業社長)

製粉協会は8月22日、会場・Web併用で第78回定時総会を開催し、全議案を承認。任期満了に伴う役員改選で、新会長に昭和産業(株)の塚越英行社長を選任した。

総会後の懇親会で塚越会長は、宮原朋宏前会長(日東富士製粉(株)社長)へ「多くの課題があった1年間、製粉協会を力強く牽引していただき、心から感謝申し上げる」と謝辞を送った。そして、「課題はまだまだたくさんあると認識している。皆様と手を携えて、情報発信を積極的にしながら、持続可能なサプライチェーンの構築を目指していきたい」とし、実現に向けた4つの取り組みを示した。

1.食料安全保障の確保

食料・農業・農村基本法の改正で、基本理念に食料安全保障の確保が明確に位置づけられることとなった。今年度中には新しい基本計画が策定される見通しと伺っており、具体的な施策の実現に向けた様々な取り組みが加速されることが予想される。この動きに製粉業界も適時適切に対応していきたい。

2.国産小麦の振興

食料安全保障の確保の動きに合わせて、基本計画に新たな国産小麦の生産努力目標が設定される。更なる生産拡大の取り組みが予想され、我々も生産サイドとの連携をより強化する必要がある。

3.気候変動・地政学リスクへの対応

穀物の需要や相場へ気候変動や地政学リスクが大きな影響を及ぼすようになっている。この先も非常に見通しが立てづらいなか、国内外の関係者と協力し、安定的な制度運用のもと、必要量の良質な輸入小麦を安定的に確保していく。

4.小麦粉の需要拡大

インバウンド需要などもあり、国内の小麦粉の需要は、大幅に落ち込んだコロナ禍の状況から回復の兆しが見えている。この機を逃すことなく、消費者のニーズや生活様式の変化を的確に捉えて、小麦粉の需要の確保・拡大に繋げていきたい。

来賓を代表して挨拶した農林水産省の松尾浩則農産局長は、「四半世紀ぶりに食料・農業・農村基本法を改正させていただいた。この間、食料安全保障が私たちにとって身近で、大きな問題になった。私は25年前の基本法制定時に担当官として携わっており、その時には基本法に『食料の安定供給』が明記された。その際、食料安全保障を確保することがここまで厳しくなっていくとは、思い至らなかった。今回、私たちは食料安全保障をしっかりと位置づけ、それに向かって施策を進めていく。製粉関係の皆様からも実態の話を聞き、色々と勉強させていただきながら、食料安全保障を踏まえた食料の安定供給を具体的なものにしていきたい」などとした。

〈米麦日報2024年8月23日付〉