パソコン
(画像=PIXTA)
関 伸也
関 伸也(せき・しんや)
1987年9月9日生まれ、広島県尾道市出身。税理士(簿記論、財務諸表論、法人税法、所得税法、相続税法に合格)。東京税理士会、登録番号140716。法人から個人へまたがり発生する税務問題にオールラウンドに対応しており、創業時からお手伝いをすることにより、共に成長することをミッションとしている。好きな小説家は吉川英治、司馬遼太郎であり、株式投資を通じて気になる上場企業をベンチマークしている。

ビジネスでは不可欠なパソコンだが、固定資産に当たるパソコンは耐用年数の設定によって費用化の方法が異なる。ここでは、パソコンなど耐用年数に法定上の定めがあるような固定資産の減価償却方法について、特例措置などの情報も含めて簡単な事例を通して紹介する。

目次

  1. パソコンの耐用年数
    1. パソコンの取得価額の計算方法
    2. パソコンの法耐用年数
    3. パソコンの減価償却方法
  2. 固定資産の早期償却制度
    1. パソコンの耐用年数に関わらず早期焼却できる少額減価償却資産
    2. 中小企業者等の少額減価償却資産
    3. 一括償却資産の損金算入
  3. パソコンの償却の事例
  4. パソコンは耐用年数に注意が必要

パソコンの耐用年数

消耗品費、事務用品費などの一時に経費となる固定費とは違い、資産であるパソコンを購入するとどのように費用としていくかを説明する。また、ここでは、原則的な固定資産の取得価額、償却年数である耐用年数と費用化する普通償却について述べる。

パソコンの取得価額の計算方法

パソコンを耐用年数に応じて費用としていく場合に、いくらの金額を耐用年数に応じて減価償却費用としていくかが大切になる。その費用化する上で大切な要素である取得価額について説明する。

パソコンを購入すると原則として、その取得に要した価額を減価償却資産として器具備品の取得価額とする。また、そのパソコンの購入に付随して支払った購入手数料、設定費用などの事業に供するために直接要した付随費用についても取得価額に含まれる。

詳しい付随費用については国税庁の「減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用」を参照するとよい。

株式会社がパソコンを購入すると、業務用に個人が使用するパソコンと、それらを管理するサーバーに使用されるパソコンといったように、用途が分かれていると想定する。それぞれの場合の取得価額については、別々の減価償却資産として資産計上をする。

〇ポイント
・取得価額 = 購入対価 + 付随費用

パソコンの法耐用年数

減価償却資産であるパソコンの費用化に必要な要素である取得価額は前述の通りである。次にその取得価額を一定の年数に応じて費用にしていく決まり事を説明する。

企業が取得するパソコンの耐用年数は、企業の管理会計上と税務上ではその取扱いが異なってくる。そのパソコンの本当の耐用年数がいつまで使用できるか等は、その使用頻度であったり、パソコンの品質精度であったりと様々である。

そのため、ある企業ではパソコンを1年毎に消耗することもあり、他の企業では3年で消耗することもある。企業の内部管理上は、自由にパソコンの耐用年数を設定して減価償却費を計上することができる。

一方で、税務上はあくまでも税金の課税には公平さが必要というルールがあるため、該当資産を限定的に定めて耐用年数をルールとして定めている。それが法定耐用年数である。そして、その法定耐用年数により減価償却資産を決まった年数で費用としていくこととなる。

また、その法定耐用年数を資産ごとに種類、構造又は用途、細目、耐用年数と一覧表示している資料が「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」である。

したがって、パソコンの減価償却をする法定耐用年数については、種類が「器具及び備品」、「構造又は用途」は事務機器及び通信機器、「細目」は電子計算機の中のパーソナルコンピューター(サーバー用のものを除く。)に該当するため、法定耐用年数は4年となる。

パソコンをサーバー用として使用する場合には、パソコンの耐用年数は5年となり、デスクトップパソコンを購入した場合は、パソコン本体の耐用年数は4年だが、ディスプレイなどの付属機器はその他の事務機器となるため耐用年数は5年となる。

〇ポイント
・耐用年数と法定耐用年数の意味の違いについて
・法定耐用年数は減価償却資産の耐用年数等に関する省令から定める

パソコンの減価償却方法

パソコンの取得価額、法定耐用年数が定まれば、実際に費用化するための会計処理が必要となる。この費用化する方法を減価償却という。

減価償却方法は、主として定額法と定率法に分けられる。今回はこの二つの償却方法について説明するため、他の償却方法や取得した日による旧償却方法の適用等については割愛する。

減価償却は、固定資産の取得価額を毎期、一定の償却方法により費用として償却していく仕組みである。今回は、その一定の償却方法である定額法と定率法の相違点について簡単に説明する。

定額法とは、毎期同額の償却費を計上し、残存価額をゼロとする償却方法である。

定率法とは、一定の償却費率により取得当初に多額の減価償却費を計上し、期ごとに償却費が逓減(ていげん)していく償却方法である。

したがって、パソコンは定額法か定率法によって、償却をすることとなる。なお、税務上の償却方法は、法人については法定償却方法として定率法、個人事業主については定額法による。

〇ポイント
・定額法は、毎期同額の減価償却費を計上する。
・定率法は、取得当初に多額の減価償却費を計上し、その後は逓減して償却費を計上する。

固定資産の早期償却制度

パソコンを購入すると基本的に固定資産として資産計上をして、パソコンの耐用年数に応じて減価償却費によって毎期費用として計上する。ここでは、固定資産に該当するものであっても金額の多寡により、まとめて償却ができる早期償却の制度を紹介する。

パソコンの耐用年数に関わらず早期焼却できる少額減価償却資産

パソコンを購入しても、その取得価額が少額なものについては、その取得した期においてまとめて経費とすることができる。そのような場合の取扱いについてのポイントを紹介する。

法人が取得したパソコンのうち次のいずれかに該当するものについては、少額の減価償却資産となる。

・使用可能期間が1年未満のもの
ここでの使用可能期間は税法上の法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、平均的な使用状況等をみて、その使用可能期間が1年未満であるものをいう。

・取得価額が10万円未満のもの
この取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定する。なお、10万円未満になるかどうかについては、その資産が1組で効果を有する時は、1組の取得価額により判定する。

少額の減価償却資産は実務上もよく使用する制度であり、法人がこのパソコンを事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する金額を損金経理した場合には、その損金経理をした金額は、損金の額に算入される。

なお、少額減価償却資産の注意点としては、資産を取得して事業の用に供した事業年度において、その取得価額の全額を会計上費用として経理している場合に限り、税務上において損金として認められることだ。

つまり、少額減価償却資産を資産計上して、費用として経理していない場合には、まとめて費用とすることができず、毎期において耐用年数に基づき減価償却により費用とすることとなる。

・具体例
A社が期中にノートパソコン(耐用年数4年)を税込8万円で購入した。会計処理として全て消耗品費として経費に計上している。

この例では、固定資産にあたるパソコンの耐用年数は4年であるが、取得価額が10万円未満の8万円であり、かつ、取得事業年度において全額を消耗品費として損金経理をしているため、少額減価償却資産として、その全額を経費として処理することが認められる。

〇ポイント
・使用可能期間が1年未満又は取得価額が10万円未満のもの
・取得事業年度において、その取得価額相当額を損金経理すること。

中小企業者等の少額減価償却資産

少額減価償却資産の制度は、重要性の乏しい10万円未満のものについては、まとめて経費にすることを認める制度である。これに対して、中小企業者等の少額減価償却資産の制度は、一定の要件を満たす中小企業者等については、10万円以上30万円未満という金額の幅において、まとめて経費をすることを認めるものである。

実務上では必ずと言っていいほど使用する特例制度であるため、是非とも抑えて頂きたい制度である。

まず、パソコンなどの固定資産の取得価額が10万円以上で少額減価償却資産に該当せず、購入企業が青色申告書を提出する中小企業者等(注1)に該当し、その取得価額が30万円未満(注2)であることが条件となる。

この条件を満たした上で、2020年3月31日までに取得したものをその取得の日の属する事業年度において、事業の用に供し、かつ、その取得価額相当額で損金経理をするとともに、確定申告書等に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))」を添付して申告することで、まとめて経費にすることができる。

(注1)中小企業者等とは、次に掲げる1又は2の法人をいう。
1 資本金の額が1億円以下の法人のうち次に掲げる法人以外の法人
① その発行済株式の総数の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人
② 上記①のほか、その発行済株式の総数の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
なお、大規模法人とは、次に掲げる法人をいう。
① 資本金の額が1億円を超える法人
② 資本を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
③ 大法人(資本金の額が5億円以上の法人)との間にその大法人による完全支配関係がある法人

2 資本を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

(注2)取得価額が30万円未満の減価償却資産
少額減価償却資産の特例の適用を受ける事業年度において、対象資産の取得価額の合計額が300万円を超えるときは、その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの対象資産取得価額の合計額が限度となる。

つまり、この中小企業者等の少額減価償却資産の特例を使用する場合においては、資本金の額が1億円以下であるかどうか、また、資本金の額が1憶円を超える大規模法人に発行済株式の2分の1以上を所有されていないかどうかを判定する必要がある。

適用関係が少々複雑ではあるが、この制度の趣旨としては青色申告書を提出する中小企業者の少額の投資活動の支援をする国としての政策上の目的である租税特別措置法に該当し、その目安の一つが資本金の多寡による判定ということである。

・適用ができる具体例
青色申告書を提出するA社(資本金の額900万円であり、資本金の額が9,000万円であるB社に発行済株式の40%を支配されている)が、期中にパソコン(耐用年数4年、14台)を税込280万円で購入し、全額を器具備品として資産計上している。なお、決算においてその全額を消耗品費として損金経理をする。

① 青色申告書を提出しており、かつ、A社の資本金の額が1億円以下であり、B社は資本金1億円を超えないことから大規模法人に該当しないため、A者は中小企業者に該当する。
② パソコンの取得価額は1台当たり20万円のため、10万円以上30万円未満の適用対象資産に該当する。
③ その適用対象資産の年間取得価額の合計額は280万円であり、限度額の300万の範囲内である。
④ 取得事業年度において、全額を器具備品として資産計上をしているため、決算において全額を消耗品費として損金経理をすることにより要件を満たすこととなる。
⑤ 確定申告書に別表16(7)を添付して申告をすることとなる。

したがって、A社においてパソコンの全額は当期の経費に算入することができる。

〇ポイント
・青色申告書を提出する中小企業者等に該当する。
・適用対象資産の取得価額が10万円以上30万円未満であるもの
・適用対象資産の年間取得価額の合計額は300万円に達するまで。
・取得事業年度において、その取得価額相当額につき損金経理をすること。
・確定申告書に適用を受ける旨の明細書を添付すること。

一括償却資産の損金算入

一括償却資産の損金算入は、少額減価償却資産等の制度に比べると使用頻度は少ないが、白色申告にも適用することができる。知っていれば償却方法の選択の幅が広がるため紹介する。

一括償却資産とは、日本国内の法人が各事業年度において、事業の用に供した20万円未満の減価償却資産が該当する。一括償却資産は、取得金額の全額及び一部を3年間(36ヵ月)で均等に損金とすることができる。

つまり、法人がパソコンを購入して青色申告書を提出していなくても10万円以上20万円未満であるものについては、この一括償却の制度により3年(36ヵ月)で償却をすることを可能とする制度である。

・一括償却資産の税金計算具体例
白色申告書を提出するA社が期中にパソコン(耐用年数4年)を税込18万円で購入したとする。

この場合には、白色申告書のため、中小企業者の少額減価償却資産の特例を使用することはできない。しかし、一括償却については白色申告書においても使用ができるため、18万円を36で除し、事業年度の月数12を乗じた6万円(18万円÷36ヵ月×12ヶ月=6万円)を当期、来期、来々期の費用として計上することとなる。

〇ポイント
・青色申告書でなくても適用可能
・取得価額が20万円未満であるもの
・一括したものの取得価額の合計額を各事業年度の費用の額とする方法を選定
・一括償却対象額を36で除し当該事業年度の月数を乗じた金額

パソコンの償却の事例

某ユーチューバーがMacProのフルスペックを約728万円で購入したとの動画があったが、折角なので、このパソコンMacProの税務上の取扱いについて考察する。

前提として、個人事業主としての取得であって取得日は1月と仮定すると、上記で紹介した早期償却の特例は使用できないので、原則的な減価償却による。

金額は高額ではあるが、他のパソコンと同様に取り扱うため、法定耐用年数は電子計算機であるパーソナルコンピューターに該当するため、4年で償却することとなる。

取得価額:728万
法定耐用年数:4年
定額法償却率:0.250
取得日:1月

これらの条件から、このパソコンの減価償却費は「728万円×0.250=182万円」となる。

なお、パソコンの法定耐用年数は4年で、自動車小型車も4年である。法定耐用年数については、まさかパソコンが高級車と同じくらいの取得価額と並ぶとの想定はなかったのかもしれない。

パソコンは耐用年数に注意が必要

パソコンは耐用年数が4年(サーバー用途以外)と設定されているが、デスクトップPCを購入した場合は、ディスプレイなどの備品は耐用年数が異なるため、減価償却の計算には注意が必要である。

パソコンの耐用年数の設定に迷う場合でも、取得価額10万円以下などが条件である少額減価償却資産などの特例であれば、パソコンの耐用年数に関わらずに取得年度に全額損金経理することも可能である。

一括償却資産や中小企業等の特例措置もあるので、今後パソコンの購入をする際に、耐用年数や少額減価償却資産の特例などの疑問があれば、税務の専門家に相談して欲しい。

文・関伸也(税理士)

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