2023年度の企業向け研修サービス市場は前年度比4.3%増の5,600億円、2024年度は同3.6%増の5,800億円を予測
~人的資本経営に取り組む企業増加とリンクするかたちでプラス成長が継続へ~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の企業向け研修サービス市場を調査し、市場や参入企業の動向のほか、デジタル技術の進化による影響やサービス需要の変化などを踏まえた将来展望を明らかにした。
企業向け研修サービス市場規模推移・予測
1.市場概況
2023年度の企業向け研修サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比4.3%増の5,600億円と推計した。新型コロナウイルス感染症法上の位置づけが5類へ移行し、回復基調にあった集合研修(クラスルーム形式)の需要取り込みが加速した。加えて、コロナ禍において集合研修の代替サービスとなってきたオンライン研修等の研修サービスも、これまで研修サービスを導入したことが無かった企業の潜在需要を引き出しながら堅調に推移したことがマーケットをけん引する格好となり、市場拡大につながった。
研修形態別にみると、コロナ禍の行動制限緩和により、主力となっているクラスルーム形式の研修ビジネス(公開プログラム・カスタマイズプログラム)の需要は引き続き拡大基調で推移しており、新人研修をはじめ、若手・中堅社員や次世代リーダー層、中間管理職、経営幹部候補者を対象とした階層別研修も概ね好調に推移している。特に、2022年度(2023年3月期)決算より開示が義務化された人的資本経営に対応した社員育成機運の高まりから、経営層や経営幹部候補となる次世代リーダーを対象に教育投資を拡大する動きが活発化していることを背景に、サクセッションプラン(後継者育成計画)に対応した研修サービスの需要が拡大している。
2.注目トピック
教育投資意欲は人的資本経営に取り組む企業の増加とともに拡大の方向に
近年、企業向け研修サービスは企業の旺盛な人材採用意欲を背景とした新人研修ニーズの高まりがプラス成長のフック(要素)となり、市場を拡大してきた。また、就労人口の減少を背景に、現有社員のスキルアップとともに、定着(離職防止)を目的とした、企業の人材育成意欲も高水準で推移しており、研修サービスの利用を促進するドライバー(理由)の役割を果たしている。
新人研修と現有社員研修はいずれも、業績好調な企業を中心に採用・研修予算を拡大してきた。加えて、ここ数年は国が強力に推進する人的資本経営に取り組む企業が増えていることも、マーケット拡大を後押しする要素となっている。
このような従業員の能力向上や組織力の強化により生産性向上・業務効率化を図る動きは今後も継続していくとみられ、各種スキル向上に向けた研修サービスへの需要は、たとえ経済が減退した状況下においても堅調に推移していくものと考える。
3.将来展望
人的資本経営に取り組む企業の増加に合わせて、引き続き研修サービス需要の拡大が見込める状況にあることから、2024年度の企業向け研修サービス市場は前年度比3.6%増の5,800億円に拡大すると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2024年4月~7月 2.調査対象: 企業向け研修サービスを展開している事業者 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX等によるアンケート調査、ならびに文献調査併用 |
<企業向け研修サービスとは> 本調査における企業向け研修サービスとは、企業向けに「事業」として実施される研修・教育のことであり、自社内の研修部署による自社社員の教育は含まれない。ただし、研修子会社により、親会社またはグループ会社向けに実施される研修サービスは「事業」として含める。 研修形態としては、クラスルーム形式(公開プログラム、カスタマイズプログラム)や通信教育、eラーニング、組織診断・アセスメントなどを対象とした。但し、「教材」に関しては、「クラスルーム研修」「通信教育」に予め組み込まれていない限り、含まない。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 企業向け研修サービス |
出典資料について
資料名 | 2024 企業向け研修サービス市場の実態と展望 |
発刊日 | 2024年07月30日 |
体裁 | A4 843ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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