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現金預金や土地・建物などの不動産、そして生命保険金などは、相続税の課税資産のうち主要な課税資産です。

課税財産には、主要課税資産の他にも電話加入権や営業権未収金や貸付金などさまざまな課税資産が存在します。

どの資産が相続税の課税対象資産に該当するかの判断は、非常に難しいと思いますが、要するに相続発生時において、その資産に財産的価値がある場合に、法律などによって定められた方法やその他の合理的な方法により、金銭的価値として評価をすることができる財産は相続財産に該当することになります。

今回は、主要な相続税の主要課税資産以外のその他の財産について、評価方法や注意点などをご紹介します。

電話加入権の評価方法

お住いの地域の電話取り扱い局ごとに国税局長が定める各地域の標準額で評価をおこないます。

この各地域の標準額は、国税庁ホームページにある財産評価基準書に掲載されており、47都道府県別に評価基準を閲覧することができます。

しかし、平成29年分より電話加入権の相続税評価額は全国一律で1回線あたり1,500円と定められていますのでわざわざ評価基準書を確認しなくても大丈夫です。

電話加入権がない契約形態の場合

電話加入権は、固定電話などを設置する際に電話会社との契約形態により支払うことになっています。

しかし、現在はこの電話加入権を所有せずにインターネット回線を利用して電話を使用することができる「ひかり電話」などがあり、これらの契約形態の場合は電話加入権はありませんので、相続評価は行う必要はありません。

営業権の評価方法

営業権は事業主がこれまで築きあげてきた信頼や実績技術力などを総合的に評価しその事業がどれほどの価値があるのかを表した特殊な財産のことです。

会社でいえば、企業価値と同じような認識です。

この営業権も相続評価をおこなう必要があります。

営業権の評価は2つの計算式で求めることができます。

①営業権 = 超過利益金額 × 営業権の持続年数に応ずる基準年利率による複利年金現価率(原則10年)
②超過利益金額 = 平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額 × 0.05

未収入金の評価方法

相続財産の中には、相続発生時に所有していた財産以外にも、被相続人が生きていれば本来受け取るはずだったお金も相続財産となります。

相続発生時以降に遺族などが未収金を回収した金額が、未収金の相続税評価額となります。

未収金の中には未収家賃などもありますが、注意が必要な点があります。

支払い期限が過ぎているにもかかわらず回収できていない地代家賃は相続税の課税対象資産となりますが、「当月分を当月末日に支払う」といった契約形態の場合は、当月中に相続が発生した場合でも、未収家賃のうち相続発生日までの経過日数で計算された地代家賃を未収金として相続評価する必要はありません。

これは、所得税基本通達36-5に定める「不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は……契約又は慣習により支払日が定められているものについてはその支払日、支払日が定められていないものについてはその支払いを受けた日」によるものです。

構築物の評価方法

庭園設備やアスファルト舗装部分フェンスや門扉などは固定資産評価額には含まれておらず、建物や土地などの相続税評価をおこなった場合には、これらの評価額は考慮されていない金額となっています。

そのため、個々の構築物ごとに評価をおこなう必要があります。

事業用の構築物に関しては、所得税確定申告時に減価償却資産として計上されている場合が多いので確認はとれますが、自宅部分の構築物に関しては申告書等で確認することができないため、実際に現場で確認し、取得価額などを参考に時価を合理的に計算するしかありません。

老人ホームの入居金・保証金・預け金などの評価方法

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被相続人が生前に老人ホームなどに入居していた場合は、老人ホームに入居する際に支払われる入居一時金や保証金の一部諸費用に充当される予定だった預け金などが、被相続人が亡くなった後に遺族に返金されることがあります。

この場合の返金された金額は相続財産となり、その金額が評価額となります。

金・純金・金地金

金地金という言葉自体はあまり聞き慣れていない方が多いと思いますが、俗にいう金の延べ棒のことです。

金地金の相続税評価額の計算は、被相続人が亡くなった日の業者買取価格を参考にして計算をおこないます。

金地金は一般的に流通性もあるため1グラムあたりの市場価格が日々公表されています。

そのため、被相続人が亡くなった日の1グラムあたりの市場価格に所有している金地金のグラム数をかけることで簡単に評価をすることができます。

業者買取価格については、金地金には取り扱った貴金属業者の刻印があるはずなので、その貴金属業者に問い合わせることで買取価格を調べることができます。

インターネット等で調べる場合には、買取価格以外にも小売価格が表示されていることがありますが、相続税の評価の際には亡くなった日における時価が評価額であり、この場合だと小売価格ではなく、売ったらいくらになるかを表す買取価格が相続税の評価額となります。

貸付金

貸付金を評価する場合も未収金と同じ取り扱いとなり、原則として貸付金の元本部分と利息部分の合計額を評価額とします。

ただし、更生手続きなどが発生していることが明らかな場合には、回収不能部分については評価額には含めません。

同族会社などで被相続人が役員などの場合は、会社に多額の貸付金がある場合もあります。

その場合の貸付金はすべて相続税の課税対象となりますので、会社に多額の個人借入金がある場合には早めの対策が必要になります。

配当期待権・未収配当金の評価方法

被相続人が企業等の株式を所有しており、その企業等の配当金の交付基準日から配当金交付を決議する株主総会の開催年月日までの間、または株主総会決議年月日以降配当金が支払われるまでの間に相続が発生する場合には、配当金を受け取る権利は基準日にて確定するため未収配当金配当期待権というかたちで相続税の評価をおこなうことになります。

実際に配当金が支払われる際には源泉所得税が徴収された後の金額となり、その差し引かれた手取り金額が未収配当金配当期待権の評価額となります。

ゴルフ会員権やリゾート会員権の評価方法

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ゴルフ会員権などの会員制度にはさまざまな会員制度があり、その種類により大きく分けて取引相場のある会員権、取引相場のない会員権に分かれそれぞれの評価方法に応じて評価しなければなりません。

どの区分に該当するかは、ゴルフ場を運営する会社に規約を見せてもらい確認するのが一番確実な方法です。

なお、ゴルフ場でプレーができるためだけの会員権の場合は相続税の評価をする必要はありません。

取引相場のある会員権

原則として被相続人の死亡日の取引価格の70%相当が評価額になります。

取引価格については、インターネットを利用して複数のゴルフ会員権取引業者のホームページを参考にし、それぞれの取引価格の平均値を使用する場合が多いです。

また、取引相場のあるリゾート会員権も同様に評価をおこないます。

この場合において取引価格に含まれない預託金がある場合は下記の①または②の方法で評価した金額を加算した金額が評価額となります。

◼︎預託金の返還を受けられる場合

①ゴルフクラブの規約に基づいて死亡日に返還を受けることができる預託金の額。

◼︎死亡日から一定期間後に預託金の返還を受けられる場合

②ゴルフクラブの規約に基づいて返還を受けることができる金額の課税時期から返還を受けることができる日までの期間に応ずる基準年利率による複利現価の額。

取引相場のない会員権

取引相場のない会員権のうち「株主制」・「預託金制」・「株主・預託金併用制」の3つに区分されそれぞれの評価方法に応じて評価を行わなければなりません。

◼︎株主制

被相続人が死亡した時における株式の価額に相当する金額。

◼︎預託金制

取引相場のある会員権の「預託金の返還を受けられる場合」または「死亡日から一定期間後に預託金の返還を受けられる場合」における評価方法と同じ方法で計算した金額。

◼︎株主・預託金併用制

ゴルフ会員権を株式と預託金に区分し株式部分は「取引相場のない会員権」の「株主制」と同じ方法で預託金部分は「取引相場のない会員権」の「預託金制」と同じ方法で評価し、それぞれの合計額が全体の評価額となります。

海外財産・外貨資産の評価方法

海外に所有する財産も相続税の対象となります。

不動産の場合には固定資産税評価額等は存在しないため、市場での売買価格や現地の不動産会社などに依頼し査定してもらいます。

評価後は現地通貨から日本通貨へ換算しますが、この場合には相続人などの取引金融機関が被相続人の死亡日の対顧客直物電信買相場で円換算した金額を使用します。

その他の外貨建ての生命保険等がある場合も同様の方法で評価します。

まとめ

上記のような資産は被相続人の生前での趣味や嗜好などによって変わってきます。

しかし、被相続人本人しか知らないような資産があったりするケースもあります。

そのまま相続税の申告をしてしまうと相続税の申告漏れとなってしまい税務調査や予期せぬ支出が生まれることもあります。

それを防ぐためにも、相続財産を評価する際は評価漏れがないか慎重に作業を進める必要があります。
(提供:相続サポートセンター