カジノVIP
(画像=PIXTA)

日本にも2020年半ばにカジノを含むIR(統合型リゾート)が誕生する予定だが、実はここ数年で海外のカジノ施設を訪れる日本人のVIP顧客が増えているという。今回は、世界中のカジノにVIPとして登録されている人物を取材し、一般の観光客が体験できないカジノVIPの特典について紹介する。

往復航空券やホテル代を出してまでVIPを呼びたいカジノ側

ギャンブル依存症をはじめ、さまざまな問題から反対運動も多い日本のカジノ建設だが、「IR実施法案」はすでに成立しており、2020年半ばには全国で最大3ヵ所のIRが開業する見通しだ。

一口にカジノと言っても、人によってさまざまな捉え方があるだろう。人気映画シリーズ「007」のようにタキシードに身を包み、カードゲームを楽しむ「紳士淑女の社交場」というイメージもあれば、多額の借金を持つ人が人生の大逆転を狙う「鉄火場」のような光景を想像する人もいるだろう。

そんなカジノだが、実は先進国でカジノがない国は日本だけと言われている。年間に数十回も海外のカジノに出向く投資家の加藤圭祐氏(仮名)は言う。

「実は、私は日本にカジノは必要ないと思っているんです。というのも、海外のカジノである程度のお金を使えばVIPとして登録され、さまざまな特典を受けることができるからです。たとえば、韓国やマカオ、フィリピンであれば、往復の航空券や5つ星ホテルの宿泊代は、すべてカジノ側が支払ってくれます。家族の分まで負担してくれるケースもあるので、基本カジノがある国への海外旅行はすべて無料です。もちろん、大負けすればそんな特典は意味がないのですが、仮に勝つようなことがあれば、タダで旅行したうえにお金までもらえるというわけです」

カジノVIPになるためにはどれくらいの資金を用意する必要があるのか、また具体的にどのような特典があるのだろうか。加藤氏への取材をもとに紹介していこう。

まずは、日本から近い韓国のソウルから。一般的に100万円以上のお金を持ち込めば空港からのリムジンでの送迎とホテル代は無料になるケースが多いそうだ。さらに、バカラやブラックジャックといったカードゲームで1日4時間程度、最低ベット(賭け金)の平均が3万円以上でエコノミークラス、5万円以上ならビジネスクラスの航空券を負担してくれるという。

「ある程度の実績があれば、カジノ内の飲食はもちろん、外での高級料理などもすべてカジノが支払ってくれます」(加藤氏)とのことだ。

プライベートジェットも横づけされるセレブの専用ターミナル

次に、地上約200メートルの空中プールでおなじみのマリーナベイ・サンズ(シンガポール)。ここではプレイ実績に応じて、マリーナベイ・サンズの宿泊が無料になる。

カジノVIPとして登録されるためには、約800万円のデポジットが必要。かなりハードルは高いが、VIPになれば「CIP」と呼ばれるビジネスリーダーやセレブリティをはじめとする、いわゆる富裕層向けのターミナルを使うことができる。CIPとはCommercial Important People(商業的重要人物)の略で、このターミナルにはプライベートジェットなども横づけされるという。

「さらにバカラなどのカードゲームでは、トータルの配当金に対して1%程度のキャッシュバックが行われます。これが時には数十万円、多い時には百万円以上になることもあります」と加藤氏は言う。

最近加藤氏が頻繁に訪れているのが、フィリピンのマニラ。ここにはいくつものカジノ施設があるが、加藤氏のお気に入りは「オカダマニラ」という日本の上場企業である「ユニバーサルエンターテインメント」が運営するカジノだ。VIPの条件もデポジットで約100万円とハードルが低いうえに、ホテル代や送迎、キャッシュバックもあるという。

「日本企業の運営ということもあり、日本人のスタッフがVIP担当として滞在中の世話をしてくれます」(加藤氏)

最後に、カジノと言えば真っ先に思い浮かぶラスベガス(米国)。ラスベガスには約70のカジノ付きホテルがあり、VIPの争奪戦が繰り広げられている。カジノによってVIPの条件は異なるが、中にはロサンゼルスからラスベガスまでプライベートジェットで送迎を行うところもあるという。

「私が年に数回利用しているホテルでは、約500万円の持ち込みで4,000ドル(約40万円)、1,000万円なら8,000ドル(約80万円)を無条件でキャッシュバックしてくれます。もちろん、ホテル代は無料。ラスベガスではさまざまなショーやコンサートが行われていますが、これらチケットもカジノホストと呼ばれる担当者が手配してくれます」と加藤氏。

冒頭で「日本にカジノは必要ない」と述べていた加藤氏だが、その理由は何だろうか?

「私にとって、海外のカジノは息抜きの場なんです。それがいつでも行ける日本にあるのは考えもの。また、海外カジノのVIPルームで知り合った富裕層たちとは、これまで一緒にさまざまなビジネスを立ち上げて特別な関係になりました。そういった人たちと日本のカジノで頻繁に顔を合わせるのはちょっと微妙ですね(笑)」と加藤氏は話す。

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