FTヒューマンキャピタル
大岩 巨宜 執行役員
再生可能エネルギー分野の雇用は、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告によると、2022年には全世界で約1370万人に上り、2012年の約730万人から倍増しています。この数字は、世界的な環境分野への関心の高まりと、専門的な技術者や専門家への需要が増加していることを示しており、日本も例外ではありません。
活況を呈する環境分野でのキャリア採用市場では、企業と求職者双方に共通の価値観や目標が重要な要素となっています。
企業は特にサステナビリティに関連する職種に注目し、環境政策策定、再生可能エネルギー、廃棄物管理などの分野で求人が増加しており、このような職種では、専門的な知識に加えてプロジェクトマネジメント能力や国際的な視野も求められます。
一方、求職者は環境問題に強い関心を持ち、社会への貢献を重視する傾向にあり、多くが環境科学や工学、持続可能性学などの専門的な学問背景を持っています。また、環境NGOや国際機関でのインターンシップ経験を持つ候補者も増えており、実践的な経験が評価される傾向にもあります。
採用の成功に資する長期的な取り組みは、環境への試みと社会貢献性を明確にしたESGマーケティングを通じてのブランディング戦略が挙げられます。
また、面接過程でも企業の社会的責任や環境への姿勢を語り、企業のビジョンと求職者の価値観を擦り合わせると共に、具体的な事例やプロジェクトに基づいた質問を行い専門知識や経験を正確に評価することも重要です。さらに、継続的な学習機会やキャリアアップへの取り組みは、優秀な人材の獲得と入社後の定着に寄与します。
日本における環境分野のキャリア採用は、環境戦略やサステナビリティ目標の明確化といった企業の取り組み進度の差や、若手に対する教育機会が不十分な故の専門性と実務経験を兼ね備えた求職者の希少性が特徴です。
これらの課題を克服し、活躍できる人材を確保するためには、企業文化の改革や教育機会の提供など、企業側のさらなる努力が求められます。