乳製品大手の明治が植物性ミルク市場に参入、全粒穀物繊維「βグルカン」含有による独自価値の提供で新たな市場を切り拓く
「明治まるごとオーツ オーツミルク」をPRする明治 グローバルデイリー事業本部 牛乳・飲料マーケティング部 牛乳・飲料Gの明治憲児氏

近年、豆乳を始め、アーモンドミルクやオーツミルク、ココナツミルク、ピーミルクなど植物性ミルクの市場が国内外で急拡大しつつある。植物性ミルクが今、注目を集めている背景には、健康志向の高まりに加え、環境保護や動物愛護への意識の高まり、食の多様性などが挙げられる。こうした中で、国内の食品メーカーも続々と植物性ミルクの新商品をリリース。今年4月には、明治が市場に新規参入し、全粒オーツ麦を使用した「明治まるごとオーツ オーツミルク」を発売した。今回、乳製品大手である明治が、植物性ミルク市場に参入する狙いや新商品の差別化ポイント、開発の裏側などを同社 グローバルデイリー事業本部 牛乳・飲料マーケティング部 牛乳・飲料Gの明治憲児氏に聞いた。

乳製品大手の明治が植物性ミルク市場に参入、全粒穀物繊維「βグルカン」含有による独自価値の提供で新たな市場を切り拓く
明治まるごとオーツ オーツミルク

「当社は、牛乳やヨーグルト、チーズなど、様々な乳製品を展開し、『乳』の持つ価値を多くの消費者に提供してきた。しかし、健康志向のさらなる高まりや、SDGsを意識した消費者ニーズの変化によって、乳製品市場は大きな転換点を迎えつつある。特に植物性ミルクの市場が国内・海外で急成長しており、当社として多様化する消費者ニーズに応えるために、牛乳に加えて植物性ミルクもひとつの市場と捉え、チャレンジしていく必要があると考えた」と、乳製品メーカーだからといって牛乳に固執せず、新たなミルクカテゴリーとして消費者ニーズに応えるため、植物性ミルクに参入したのだと明治氏は語る。

「植物性ミルクの商品開発にあたっては、『乳にはない価値』を提供することを目指した。そして、植物性ミルクの中でも成長率が高く、機能性や環境負荷などの点で消費者の意識・ニーズの変化にも対応可能なオーツミルクに着目した。オーツミルクは健康価値が高いことに加え、癖がなく風味も牛乳に近いため、より多くの人に受け入れられていると考えている」と、数ある植物性ミルクの中からオーツミルクを選んだ狙いを説明した。

乳製品大手の明治が植物性ミルク市場に参入、全粒穀物繊維「βグルカン」含有による独自価値の提供で新たな市場を切り拓く
全粒オーツ麦のイメージ図

オーツミルクの機能性について明治氏は、「オーツミルクは、全粒穀物のオーツ麦を原料として使用している。全粒穀物とは、オーツ麦の他、玄米や小麦、大麦、ライ麦などの穀物の外皮を除いただけの未精製のもの。その中でもオーツ麦は、さまざまな健康機能についての研究報告がなされている全粒穀物由来の水溶性食物繊維『βグルカン』を含んでいる」と、健康機能への期待を話した。 一方で、従来のオーツミルクの課題として、「通常、オーツミルクは、原料のオーツ麦を粉砕し、水と熱を加えることで液状化させており、製造適性の高い胚乳原料が主流となっている。βグルカンは非常に粘度が高く、豊富に含んでいるほどドロドロの状態になるため、飲料に加工する際の酵素処理の段階で分解され、ほとんど残存していないのが実状」と、飲みやすくするためにβグルカンが除去されてしまい、その機能性が損なわれているのだと指摘する。

「この課題に対して当社では、βグルカンをしっかり含んだ、今までにないオーツミルクの商品化を目指し、研究開発をスタート。βグルカンが多く含まれる全粒オーツ麦を原料に使用し、βグルカンの栄養価値を残しつつ飲みやすくするために、酵素の選定と酵素処理する時間について調整を何度も繰り返した。そして、長年にわたる乳素材の研究で培った知見を活かし、独自製法によって低分子βグルカンとして残存させることに成功。全粒オーツ麦由来の全粒穀物繊維と、それに含まれるβグルカンを多く含有したオーツミルクを実現した」と、「明治まるごとオーツ オーツミルク」の開発秘話を教えてくれた。

乳製品大手の明治が植物性ミルク市場に参入、全粒穀物繊維「βグルカン」含有による独自価値の提供で新たな市場を切り拓く
明治まるごとオーツ オーツミルク 200ml

原料の選定にあたっては、国産を含め、スウェーデン、フィンランド、オーストリアなどから10種類以上の全粒オーツ麦を取り寄せ、その中からイギリス産のオーツ麦を厳選したとのこと。また今回、全粒穀物繊維の栄養価値として、全粒オーツ麦由来の食物繊維、およびβグルカン含有量を担保するためには、米と同様に原料の規格化が必要と考え、原料商社の協力のもと、ゼロからオーツ麦の規格を構築。これにより、「明治まるごとオーツ オーツミルク」1本に含まれる食物繊維やβグルカン含有量をパッケージに記載することが可能になったという。

乳製品大手の明治が植物性ミルク市場に参入、全粒穀物繊維「βグルカン」含有による独自価値の提供で新たな市場を切り拓く
明治まるごとオーツ オーツミルク 1000ml

さらに明治氏は、「明治まるごとオーツ オーツミルク」のもう一つのこだわりポイントとして「おいしさ」を挙げる。「表皮や胚芽などを含む全粒オーツ麦をまるごと飲料にしたことで、素材の持つ自然な甘さや香ばしさなどオーツ麦本来の風味を引き立てたクリーミーでまろやかな味わいに仕上げた。そのままで美味しく飲めるのはもちろん、コーヒーなどの飲料に混ぜたり、スープや料理に使うのもおすすめ。当社が実施したプロダクト風味評価では、『おいしい』と評価した人が7割以上に達した。また、おいしさの評価ポイントとしては、『素材本来の味がする』『体に良さそうな味がする』『素朴な味がする』といった点が高く評価されていた」と、実際に消費者への試飲調査で高評価を得ることができたと胸を張っていた。

「近年、日本人の全粒穀物由来の食物繊維摂取量は顕著に減少しており、これが現代の健康課題の一因になっているという指摘もある。当社では、全粒穀物繊維とβグルカンを含む『明治まるごとオーツ オーツミルク』を通じて、独自の健康価値を提案し、おなかの中の元気をサポートしていく。まずは、健康に対する意識が高く、健康のために植物性ミルクおよびオーツミルクを摂取している30歳以上の人をメインターゲットとして、関東エリア(1都9県)で販売を開始した。特設サイトでは、このターゲット層に向けたWebCMを展開し、認知拡大を図っている」と、健康志向の高い消費者に向けて商品価値を訴求していく考えを示した。

今後の展望について明治氏は、「今後はオーツミルクだけでなく、全粒オーツ麦を原料にした別のジャンルの商品についても検討していきたい。また、将来的には、牛乳や乳製品と並ぶ定番食品としてオーツミルクを成長させ、牛乳と植物性ミルクの両輪で市場全体の拡大を目指していく」と、オーツミルクの新たな市場創出にチャレンジしていくと意欲を見せた。

[小売価格]
明治まるごとオーツ オーツミルク 200ml:162円
明治まるごとオーツ オーツミルク 1000ml:507円
(すべて税込)
[発売中]

明治=https://www.meiji.co.jp/
明治まるごとオーツ オーツミルク特設サイト=https://www.meiji.co.jp/products/brand/marugoto-oats/