【まきチャレ2023開催記念インタビュー| MUU】健康と地球環境を救う革新的な植物性由来のミルクとは?!

牧之原市チャレンジビジネスコンテスト(以下、まきチャレ2023)は、牧之原市(静岡県)の「産業資源」と「観光資源」を活用して、自らの事業を地域と共に発展させるビジネスプランを全世界のスタートアップ企業から募集し、評価するビジネスコンテストです。第2回開催である今回は、EXPACT代表の髙地が審査員として参加しました。

この記事では、まきチャレ2023で静岡銀行賞を受賞されたMUU社のCEO Chanapol Tantakosol氏にお話を伺いました。インタビューでは、MUU社の革新的な乳製品、CEOから見たまきチャレの印象、さらに日本市場への参入などついてお聞きしました。

【まきチャレ2023開催記念インタビュー| MUU】健康と地球環境を救う革新的な植物性由来のミルクとは?!
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-本日はお時間を頂きありがとうございます。よろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

-まず初めに、ご自身について少し教えていただけますか?また、どのようにMUU社のアイデアは形作られたのでしょうか?

私はタイの大学にて化学工学の学位を取り、卒業後はタイで大手の石油・ガス会社で働いていました。しかし、私はルーティーン化された仕事をただこなしていることにやりがいがないと感じるようになり、これをきっかけに会社を辞め、物流部門で最初の事業を立ち上げることになりました。

その後、コロナ禍の中で畜産が人間にも環境にも悪影響を及ぼしていることを示すいくつかのドキュメンタリー番組を見る機会があり、これが畜産からの脱却というアイデアに火をつけ、MUUの物語が始まる基礎となりました。

- ドキュメンタリー番組を見たことがきっかけだったのですね。MUUの製品、こだわり、モチベーションについても簡単に教えていただけますか?

私たちは、従来の乳製品と同様の味を持つ代替ミルクや乳製品の開発に取り組んでいます。現在の畜産は、人々の健康と地球環境の両方に悪影響を及ぼしており、例えば、市場に出回っている従来の乳製品の多くには、人体に悪影響を及ぼす可能性のあるホルモン、コレステロール、抗生物質が含まれています。また、農場で飼育されている牛は、世界的に温室効果ガス排出の主な原因のひとつとなっています。

そこで、私は直接的に動物由来でない代替の乳製品を作ることを考えました。植物由来の代替商品が広く市場に出回っている中、多くの消費者はそのような商品の味に慣れていません。結果的にこれらの製品は、特定の市場では大衆の承認を得てい無いのが現状です。

まとめると、私たちは、気候変動への懸念に取り組むだけでなく、幅広い層の消費者の嗜好を魅了する代替ミルクを開発しようとしています。

-植物由来でない代替の乳製品とは革新的なアイデアですね。ミルクを生産する際に鍵となる成分は何ですか?その成分はどのように得られるのですか?

私たちはまず、従来の乳製品の牛乳の味が植物由来の代替品と何が違うのかを理解するための科学的研究を行いました。その結果、乳製品にはタンパク質、脂質、糖質、水分の4大栄養素があることがわかりました。そして、これら4つの栄養素のうち、牛乳の独特な味と食感を生み出しているのはタンパク質であり、タンパク質をさらに詳しく調べると、カゼイン・プロテインとホエイ・プロテインが特徴的な味の重要な成分として分離されていました。

植物由来の製品は、カゼイン・プロテインや、ホエイ・タンパクとは分子構造がまったく異なる大豆タンパク質やオーツタンパク質が含まれているため従来の牛乳とは違った味となっています。私たちが現在、取り組んでいることは精密発酵と技術で、牛乳と同じカゼイン・プロテインとホエイ・プロテインの物質を生産することです。

-発酵や技術で牛乳と同じ特定のタンパク質を生産できるのですね。バターやヨーグルトなど他の代替乳製品も生産できるのでしょうか?

私たちの会社では基本的にミルクを粉末状にした乳タンパク質パウダーを生産しています。粉ミルクを最終的な製品に加工するパートナーとして、牧之原市をはじめとする地元の酪農家を探しています。製品加工品としては例えば、ヨーグルトや、すぐに飲める紅茶やコーヒーなどの商品です。そのため、代替乳製品を直接生産することはありません。 その代わり、私たちは粉ミルクの製造に注力し、最終製品を配合するためにパートナーと提携します。

【まきチャレ2023開催記念インタビュー| MUU】健康と地球環境を救う革新的な植物性由来のミルクとは?!

-パートナー先によって、製品にもバリエーションが生まれそうですね。現在、MUU社には何人の従業員がいるのですか?資金調達状況などについても教えて下さい。

MUUには8人のメンバーがいて2人は事業開発チームで、他の6人は研究開発を行う科学者です。ブーストラップによって会社を設立してから数ヵ月後、タイとシンガポールのベンチャーキャピタルからプレシードラウンドで資金を調達しました。現在、シード・ラウンドで約180万ドルを調達しています。

-日本では、どのような顧客をターゲットであると考えていますか?

私たちが製造する粉ミルクは、日本国内の飲料メーカーに販売するB2Bのビジネスとして粉ミルクを主要原料として使用する乳製品メーカー、コーヒーメーカー、その他様々な飲料メーカーが私たちの主な見込み顧客となります。

-粉ミルクを主要原料として利用するメーカーが見込み顧客なのですね。現時点でターゲットにしている企業や地域はありますか?

最近では私たちの粉ミルクを使った製品を作ることができるパートナーを探しています。具体的にいうと、私たちは、有名な乳業メーカーや飲料メーカーを顧客として探しています。というのも、製品は市場に出たばかりであるため、顧客によっては製品の品質に不安を抱く可能性があるからです。人々から認知されている、評価の高い企業とパートナーになった場合、製品がスムーズに受け入れられることが期待できます。例えば、牧之原チャレンジの後に伊藤園とつながることができました。

伊藤園は、この地域でかなり大規模で有名なお茶の飲料メーカーであり、そのようなクライアントと今後も提携したいと考えています。

また、私たちのターゲット地域として、まず東京や大阪などの大都市で事業を始めることを狙っています。これは、動物愛護や環境の持続可能性に関心のある人たちが、私たちの見込み客となるためです。まずはそのような顧客層が多く存在すると予測できる大都市に進出することが良いと考えています。したがって、発売当初から私たちの製品は一般的な同類のものより高級な品へ分類されることになります。

-マーケティングストラテジーで言うと差別化戦略ということですね。日本での販売戦略についてももう少し教えていただけますか?

現在、私たちは日本に行ったことがなく、市場参入戦略はまだ計画段階です。今後も私たちの粉ミルクを使用して最終製品を調合できる生産者と提携するつもりです。販売プロセスに関しては、柔軟に対応できます。例えば、私たちがクライアントと協力することもできますし、クライアントが独自にマーケティング活動を行うこともできます。

-シード資金調達後の成長戦略についても教えてください。シード資金をどのように使う予定ですか?

私達はシード資金を主に自社製品の開発と規模拡大のため、また販売に関する規制当局の承認を得るために使用する予定です。当社の製品はまったく新しいものなので、まず安全性評価プロセスを通過し、規制当局の承認を得る必要があります。日本以外の市場については規制当局の認可が下り次第、シンガポールや香港でも展開する予定です。

- 現在の地政学的、マクロ経済的な要因が資金調達の面で課題を引き起こしていることを考慮すると、資金調達の面でMUU社の戦略にどのような変化がありましたか?特にMUUは現時点で利益と成長のどちらにより重点を置いているのかということをお聞きしたいです。

現在の地政学やマクロ経済状況によって、資金調達戦略は確実に変化しました。しかし、私達はまだ研究と開発の段階であり、商品の宣伝もしていません。つまり、私たちはまだ毎月お金を使わなければならないのですが、製品が市場に公開されれば、大きなインパクトを生み出すと固く信じています。とはいえ、資金調達の戦略も変更しました。経費をサポートするために政府からの助成金も探しています。

また、より要領の良い方法で研究開発を行い、化学薬品や材料を効率的に使用することで、コストを削減しようと取り組んでいます。そうすることで、研究開発費をさらに削減しつつ、私たちの中間目標を達成することができます。これらが、私たちが現在の資金調達環境に適応する方法だと言えるでしょう。

- 利益と成長の両立に取り組まれているのですね。ここからは、まきチャレについてお聞きしたいと思います。まきチャレは、あなたにとって初めての日本のビジネスコンテスト参加でしたか?

まきチャレは日本で初めて参加したビジネスコンテストでした。しかし、観光客としてはすでに何度も日本を訪れています。私たちから見ると、文化の違いや言葉の壁があるため、日本市場に参入するのはかなり難しいです。ですから、日本でこのような権威あるビジネスコンテストに初めて参加できたことは、私にとって非常に素晴らしい経験でした。

-ビジネスとしては初めての来日だったのですね。まきチャレに参加を決めたきっかけは何ですか?

初めてまきチャレを知ったのは、ベトナムのビジネスコンテストに参加していたときでした。その時、まきチャレの主催者が私にコンテストの紹介と参加を提案してくれました。日本へビジネス目的で訪れる最初の機会となるため、とても興味深いビジネスコンテストだと思いました。

-海外のビジネスコンテストにも参加されていたのですね。MUU社のまきチャレの成果について教えていただけますか?日本市場への関心、パートナーになる可能性のある企業の両方を見つけることができましたか?

まず第一に、牧之原市の多くのパートナー候補の前で私たちのビジネスを紹介することができ、そのうちの何人かは実際に私たちのビジネスに興味を持ってくれました。そして、先ほど述べたように私たちの会社の粉ミルクを使用したお茶やコーヒーなどの最終的な製品を生産することのできる会社とパートナーになりたいと考えている為、牧之原市がトップクラスのお茶の生産地であり幸運でした。

なぜなら、日本最大級のお茶の生産会社である伊藤園のような企業からも興味を持ってもらうことができたからです。さらに、コンテストで賞をもらうことができたのもいい経験でした。全体として、日本の潜在的な顧客とのコネクションを得ることができたことが私たちにとって有益でした。

-コンテストの参加はMUU社に好影響をもたらしたのですね。まきチャレでは、どのようなフィードバックや評価を受けましたか?

多くの人々が私たちの商品に大きな関心を示してくれました。いくつかのサンプルテストを行った際は、私たちの革新的な製品に驚いているようでした。特に、牛を使わずに牛乳を作るというコンセプトは、非常に興味深いものだったと思います。

-ありがとうございました。MUU社の製品は革新的で、人間、動物に加えて環境にも良いですね。将来的にMUU社のパウダーを使った飲料を是非試してみたいです。

[会社概要]
【会社名】MUU
【URL】https://www.drinkmuu.com/
【設立年月】2021年
【代表者】Chanapol Tantakosol
【場所】バンコク、タイ