つながりを大切に地域と共に歩む工務店 理想の家づくりの追求に3D-CADを積極活用 石原建工(香川県)

目次

  1. 感謝の心を大切に 経営理念に「感恩報謝」を掲げる
  2. 地域への貢献活動に積極的に取り組む
  3. 2022年12月にSDGs宣言
  4. 快適さ、耐久性、耐震性に優れた木造住宅を提供する
  5. 伝統の技と最新の技術を融合して家づくりに取り組む
  6. 設計、提案書、申請書作成ができる3D-CADの活用で、顧客とのコミュニケーションをはじめ様々な効果が生まれた
  7. 用途に応じて様々なバリエーションのパースを作成
  8. 顧客に好評な日当たりシミュレーション機能
  9. 3D-CADのライセンス追加で社長の時間を生み出し、会社の戦力アップにつなげた
  10. ホームページで会社のありのままの姿を伝える
  11. 職人を「社員大工」として雇用 現場との情報共有には身近なアプリを活用している
  12. 先を見据えて新規事業の開拓に取り組む
中小企業応援サイト 編集部
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香川県善通寺市に本社を構える1995年設立の有限会社石原建工は、家具などを制作する工芸会社を前身とする地域密着型の工務店だ。快適性、耐久性、耐震性を備えた高性能の木造住宅づくりを追求するために、3D-CAD(3次元コンピューター支援設計)をはじめとするICTを積極的に活用している。(TOP写真:3D-CADを活用して住宅をデザインする様子)

感謝の心を大切に 経営理念に「感恩報謝」を掲げる

つながりを大切に地域と共に歩む工務店 理想の家づくりの追求に3D-CADを積極活用 石原建工(香川県)
有限会社石原建工の石原明代表取締役社長

「瀬戸内海地域の気候の特色に合わせた家づくりができるのが、石原建工の大きな強みです。木造住宅は、きめ細やかにメンテナンスを行うほどその真価を発揮します。長期間のおつきあいを通じてお客様から寄せていただく意見をしっかりと受け止め、何か相談事があった時にはいつでもお役に立てる存在でありたいと思っています」。石原建工の石原明代表取締役は、事業に取り組む思いを快活に話した。

石原建工は経営理念に、感謝の語源になった言葉、「感恩報謝」を掲げる。「ここまで事業を続けることができたのは、地域の皆様からの応援の賜物(たまもの)です。会社と関わりを持つすべての人から受けている恩を忘れず、感謝の心でお返しするという思いを大事にしています」と石原社長。

地域への貢献活動に積極的に取り組む

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石原建工が取り組む地域貢献活動の様子

石原社長は、2017年に創業者の父親から事業を継承した。施主や地域の人たちとの絆を大事にしたいという思いは、地域貢献の姿勢にも表れている。香川県内の高校生の校外学習への協力、地域を盛り上げるイベントの企画、地域の清掃、消防団への参加、ガレージセール、木工教室の開催といった多彩な活動のほか、自治体と連携した空き家対策にも取り組んでいる。

石原社長は社長に就任する以前、善通寺市をはじめとする中讃地域の2市4町を対象エリアに、20歳から40歳までの経済人で組織する公益社団法人さぬき青年会議所(JC)に所属。2016年に理事長を務めるなどJCを通じた地域貢献活動に積極的に取り組んだ。「JCでの経験は、現在、経営者として会社を牽引(けんいん)していく上での大きな糧になっています。引退した今も地域のために必要なことは何でも取り組みたいと思っています」と石原社長は顔をほころばせた。

2022年12月にSDGs宣言

石原建工は、国連の持続可能な開発目標、SDGsの目標達成に向けた取り組みにも関心を持ち、2022年12月にSDGs宣言を行った。「会社の取り組みを通じて未来を担う若者を中心とする地域の人たちに、地球環境に意識を持つことの大切さを伝えていきたいと思っています」と石原社長。

快適さ、耐久性、耐震性に優れた木造住宅を提供する

石原建工は、自然の風や外光を効果的に取り込む家づくりを得意としている。住宅と調和したオリジナルの家具製作も手掛けている。「快適さ、耐久性、耐震性に優れた家は、年月を積み重ねるほどコストや満足度など様々な面でメリットが顕在化します。家族みんながいつまでも笑顔で元気に暮らすことができる家こそが、理想のマイホームと確信しています。完成から数十年以上の時間が経った後でも、新築の時と同じように住みやすいと思っていただける住宅を提供していきたい」と石原社長は力強く語った。

伝統の技と最新の技術を融合して家づくりに取り組む

家づくりにあたっては、日本に古くから伝わる木造軸組工法と共に、建築材料・住宅設備機器の大手企業、株式会社LIXIL(リクシル)が開発した高気密、高断熱、耐震性を実現する「スーパーウォール工法」を採用している。スーパーウォールパネルと高断熱サッシ、計画換気システムを組み合わせることで夏は涼しく、冬は暖かい家づくりを実現できるという。「お客様一人ひとりに寄り添った提案を心掛けています。培われた伝統の技と最新の技術を融合することで、夢の実現をお手伝いしたいと思っています」と石原社長は話した。

設計、提案書、申請書作成ができる3D-CADの活用で、顧客とのコミュニケーションをはじめ様々な効果が生まれた

石原建工は、約20年前から3D空間上に設計した住宅を立体的に表現できる3D-CADを活用している。「デジタル技術は、企業理念を反映した高機能の家づくりに役立つ」との思いが導入を後押ししたという。

現在使っている3D-CADは、設計データを基にした外皮性能、構造、エネルギー消費量、コストに関する様々な計算から提案書、申請書の作成までワンストップで行う機能を備えている。永続ライセンス方式で契約しているので常に最新の機能の活用が可能という。「設計業務の効率化はもちろん、実物に近い状態で設計した住宅を表示し、お客様との情報共有を円滑にできるなど3D-CADを使うことで様々な効果が生まれています」と石原社長は説明した。

用途に応じて様々なバリエーションのパースを作成

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手描き風に作成した住宅のパース

プレゼンテーション用のパース作成機能も充実しており、リアルなCGから上の写真のような手描き風まで、様々なバリエーションのデザインができるという。「お客様へのプレゼンテーションの際にはリアルなデザインに、オープンハウスなどのイベントの告知用チラシを作る時は手描き風のデザインにするなど、用途に応じて多彩な使い方ができるので重宝しています」(石原社長)

顧客に好評な日当たりシミュレーション機能

建物のデータ、地域、日付、時間を入力することで、住宅への日当たりを立体データでシミュレーションできる機能にも助けられているという。「建設前の段階で夏場や冬場など季節ごとの日当たりの様子をお客様と一緒に確認できるので、完成した後に不満がでない家づくりを進める上で大きな効果を発揮してくれています」と石原社長は話した。

3D-CADのライセンス追加で社長の時間を生み出し、会社の戦力アップにつなげた

3D-CADシステムには、建築確認申請書、建築計画概要書、建築工事届、中間検査申請書、工事完了届、長期優良住宅申請書といった様々な書類の作成を支援する機能も備わっている。電子申請システムと連動することで、3D-CADに保存している物件データを転用して手間をかけずに書類を作成することができる。

2021年に3D-CADのライセンスを追加取得したことで、それまで石原社長が担当していた申請業務を20代の従業員に任せることができるようになった。石原社長自身が新しく生まれた時間を設計や現場での施工、顧客とのコミュニケーション、新規事業の開拓といった業務に振り向けることができるようになったので、会社にとって大きな戦力アップになったという。

今後、業界では必要な提出書類が増える新しい建築基準法の施行や省エネ基準適合義務化が控えているが、申請書類の作成システムを活用することで乗り切っていけると石原社長は実感している。

ホームページで会社のありのままの姿を伝える

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ホームページでは施工事例を豊富に紹介している
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ホームページを編集する様子

石原建工は、ホームページを2023年8月にリニューアルした。スマートフォン対応を意識してデザインを改め、セキュリティ機能も強化した。写真を豊富に使った施工事例のほか、従業員の顔写真とプロフィールも掲載。ブログによる情報発信にも力を入れている。「会社の情報を詳細に提供することが信用につながってくると考えています。会社のありのままの姿を伝えていきたいと思っています」と石原社長は話した。

職人を「社員大工」として雇用 現場との情報共有には身近なアプリを活用している

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石原建工のオフィス内の様子

石原建工は、家づくりの高い技術を持った親方職人を「社員大工」として雇用している。会社の理念や方針を熟知した現場の担い手を業務委託ではなく、正社員として処遇することで、品質の高い住宅づくりや提案力の強化につなげている。資格取得の支援にも力を入れている。今後、若手の採用と育成に力を入れるとともにベテランの活用もこれまで以上に強化していきたいという。

現場に出ていることが多い従業員とのコミュニケーションと情報共有には、スマートフォンで無料通話やテキストチャットができる身近なメッセンジャーアプリを使っている。デジタル技術になじみが薄いベテラン世代には、石原社長が使い方を丁寧に説明した上で、現場からの写真送信などに使ってもらっているという。「若い人と比べると年配の人がデジタル化に不安を持つのは当然と思うので、デジタル技術を使う必要性を説明して、納得してもらった上で使ってもらうようにしています」と石原社長は話した。

先を見据えて新規事業の開拓に取り組む

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石原建工のロゴ

石原社長は、本社と現場で図面などの資料をクラウドで共有できるシステムにも関心を向けている。今後もICT活用による業務効率化を進め、現場での仕事により一層注力できるようにしていきたいという。「新たな時間を生み出して、技術力の更なる向上を図るとともに、住宅と親和性がある新しい事業にも挑戦していきたい」と力強く話す石原社長。地域貢献を重視し、前向きにデジタル技術を活用する姿勢は、会社の可能性を大きく広げていくに違いない。

企業概要

会社名有限会社石原建工
本社香川県善通寺市上吉田町8丁目2-2大伸ビル2階A号室(仮事務所)
HPhttps://www.ishiharakenkou.com
電話0877-62-8639
設立1995年11月
従業員数10人
事業内容  注文住宅、増改築、リフォーム、古民家再生、耐震補強、造作家具、住宅設備、シロアリ駆除、太陽光発電、オール電化工事、ZEH