日本ゴアは6月3日、腹部大動脈瘤(AAA:Abdominal Aortic Aneurysm)の啓蒙を目的とした「見逃さない!STOP AAA(トリプルエー)プロジェクト発足式」イベントを開催した。日本では、腹部大動脈瘤による死者が年々増加し、手術も受けられないまま亡くなる場合もあり、突然死を防ぐための早期発見と予防が求められている。そこで同社では、腹部エコー検査の受診者増加を目指すべく、同プロジェクトを発足。イベントでは、実際に腹部大動脈瘤を発症した大仁田厚さんに加えて、関根勤さん麻里さん親子による親子同士の本音を引き出すトークセッション、大仁田厚さんからは腹部大動脈瘤の体験談、さらに関根勤さんと大仁田厚さんによる「健康さんカーニバル対決」などが行われた。
「当社は、1万3000名の社員からなるコミュニティを有し、米国、独国、英国、蘭国、日本、中国等、世界に製造拠点を構えるグローバル企業となっている」と日本ゴア リージョナルビジネスリーダー 香川泰章氏。「当社は数々のユニークな発明を行っており、世界各国で“働きがいのある会社”にも選出されている」と多くの国々で様々な評価を得ている企業なのだと紹介する。「日本では、ePTFE応用製品および、高機能ポリマー応用製品の製造・販売を行っている」と日本でのビジネス領域についても教えてくれた。
「当社は60年以上前に、ビル・ゴアとヴィーヴ・ゴア夫婦によって創業された。ゴアは社員みんなが仲間であるとの考えを持ち、多くのイノベーションを創出してきた。このイノベーションこそが当社の存在意義となっており、顧客と地域社会の課題を解決するためのソリューションを展開している」と同社のコアとなるビジョンについて語る。「そして、顧客のニーズに寄り添い、当社が定めた品質基準をクリアして、インテグリティに裏打ちされた信頼性の高い製品を提供している」とフィットネス・フォー・ユースへのコミットメントについて語ってくれた。
「事業領域は、メディカル・プロダクツ、ファブリクス、パフォーマンス・ソリューションズの3つのディビジョンとなっており、メディカル・プロダクツにおいては技術的専門知識に支えられた、高いパフォーマンスへのひたむきな取り組みを行っている」と血管領域にフォーカスした様々な製品を提供しているのだと解説。「当社が掲げる“共に生活の質を向上しよう”というモットーは、今回展開するプロモーションと高い親和性があると感じている。ぜひ、今後の当社の様々な事業展開に注目してほしい」と今回のキャンペーンは、同社が掲げるブランドプロモーションをさらに向上させるものになっていると訴えた。
次に、今回のキャンペーンについて、日本ゴア マーケティング 大吉亨氏が発表した。「腹部大動脈瘤は自覚症状がほとんどないまま進行する病気。大量の血液が流れる大動脈に瘤ができる病気で、瘤が破裂すると死に至る病気となっている」と年間約3000人がこの病気で死亡しており、破裂した場合の死亡率は7割に達すると警鐘を鳴らす。「腹部大動脈瘤は65歳以上の男性に多く、高血圧で喫煙歴があり、家族が大動脈瘤に罹患した人がいる場合はリスクが高まるといわれている。そのため、これらに当てはまる場合は、健診で腹部エコー検査を受けてほしい」と自覚症状がないため、日々の健診が重要になってくると力説する。「腹部大動脈瘤は健診や他疾患の精査中に偶発的に診断されることが多く、米国の調査によると、エコースクリーニングを行うことで、瘤関連死を優位に減らせることが報告されている」とのこと。「破裂症例の8割以上が救命不能であることから、いかにして無症状時にスクリーニングを行うかが重要になる」と、腹部大動脈瘤が破裂してからでは手遅れになるケースがほとんどなのだと訴える。「腹部大動脈瘤の発見には腹部エコー検査が推奨されている」と定期健診での発見はわずか20%のため、腹部エコー検査の受診を増やすことで早期発見の可能性が高くなるのだと述べていた。
「当社では腹部大動脈瘤が健診による腹部エコー検査で防ぐことができるということを広く知らしめるべく、『見逃さない!STOP AAAプロジェクト』を発足する。プロジェクトでは、全国展開のキャンペーンの他、愛知県限定のキャンペーンも実施する」と腹部大動脈瘤の啓発キャンペーンを行うと意気込む。「まず、啓発WEBサイトを開発。腹部エコー検査をどこで受けることができるかがわかる『健診施設検索』もできるようになっている。さらに、疾患啓発ポスター・冊子は医療機関に掲出したり、配布したりする」とのこと。「また、腹部エコー検査によって腹部大動脈瘤を見つけることができた大仁田厚さんにご協力いただき、体験談などの発信を行ってもらう」と腹部大動脈瘤に罹患した患者の声を届けることで、腹部エコー検査の重要性をアピールしていく考えを示した。
そしてスペシャルゲストとして、関根勤さん・麻里さん親子が登場。親子の絆が試されるトークセッションでは、仲の良い親子として有名な関根親子が互いに改善してほしい点を本音で語り合った。
関根勤さんからは、「孫の前では自分のことをあまり叱らないでほしい。いつも孫の前で叱られてばかりで、関根家で一番低い立場になっている」と麻里さんに要望。これに対し娘の麻里さんからは、「孫に甘すぎる。いつも娘と仲よく遊んでくれるのはうれしいが、もう少し加減を調整してもらいたい。ほっとけば、夜遅くまでも遊ぶので、いつも私から怒っている」という、孫を甘やかしすぎないでほしい母親としての気持ちを吐露していた。
また、家族のつながりを感じた事については、麻里さんから「笑いのツボが似ている。小さいころから一緒にお笑いを見たり、ふざけていたりしたので、今でも一緒にお笑い番組などを見ていると“笑うタイミング”が同じで、親子の絆を感じている」と話し、それに対して勤さんは大きくうなずいて共感するなどしていた。
この後、自身で座る椅子を抱えて登場した大仁田厚さん。65歳のときに何気なく受けた健診をきっかけに、腹部大動脈瘤が見つかり、治療を受けた経験を語ってくれた。「いつも健康体だと思っていた自分の体が、腹部大動脈瘤を患っているとは考えもしていなかった」と腹部大動脈瘤が発見された時の心境を語る。「今すぐ手術が必要といわれたが、試合があったので欠場することなく、試合に出続けた。ただし、その時医師からは瘤が破裂したら死んでしまうといわれてゾッとしてしまった」と死を意識した瞬間でもあったという。
「試合に出場している時も瘤が破裂することはなかったので、手術をして無事に腹部大動脈瘤を治療することができた。思い返せば、今ここに立っているのは、あの時の健診で腹部大動脈瘤に気づけたから」と健診の重要性を訴えた。そもそも健診をそれまで受診して来なかった点について大仁田さんは、「自分は大丈夫だと過信していた」とのこと。「しかし、公共施設やショッピングセンターなどに設置されている血圧計で、血圧を測定したら、170という数字だったので、一度健康診断を受けようと決心した」と血圧の高さが健診のきっかけになったのだと教えてくれた。
自身の体験を踏まえて、大仁田厚さんから関根勤さん・麻里さんへ、腹部大動脈瘤に基づいたクイズを出題し、手術にのぞむ前に抱いていた想いや、手術後に変化した生活習慣、腹部大動脈瘤の予防について語った。大仁田さんが手術後に変えた生活習慣について、勤さんは「バターからオリーブオイルに変えた(パンに塗るもの)」と回答。しかし答えは、「大好きなごはん(米)を、どんぶり20杯からどんぶり3杯に減らした」と大仁田さんは少食になったと強調していたが、麻里さんは「どんぶり3杯でも十分大食い」と食事の量に驚いていた。
関根勤さんのお家芸“そっくりさんカーニバル”を参考にした“健康さんカーニバル”も実施。ゴア社員を見て「取り入れてそうな健康習慣」を想像で回答する、というルールで関根勤さんと大仁田さんが対決した。関根勤さんは、ゴア社員を見て、「毎日発酵食品を食べている」「チョコレートが好きだが必ずカカオ75%以上を食べている」などと回答。一方、大仁田さんからは「スクワットしながらごはんを食べている」「風呂に入る前に体をバチバチと叩いて、血流をあげている」などと回答し、両者の性格が色濃く表れる形で白熱した戦いを繰り広げた。判定対決では関根勤さんが勝利したが、大仁田さんの回答にも票が上がり、接戦になった。二人の戦いを見ていた麻里さんは、両者の回答に大笑いし、判定をあたたかく見守っていた。
対決後、本日の出来栄えについて大仁田さんに質問すると、「初チャレンジにしては良くできた。100点です」と満面の笑みを浮かべると、関根勤さんからは、「大仁田さんの回答はすべて迫力があって、よかった。自分のお家芸ながら、大仁田さんの回答が面白かったので、途中どちらが勝つかわからなかった」と対決を振り返った。