ライオン、歯みがき行為が自律神経に作用しリフレッシュやパフォーマンス向上につながるという新しい研究結果を発表
杏林大学名誉教授 医学博士 古賀良彦先生

ライオンは、「よりよい習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパスを起点とし、2030年に向けた経営ビジョン「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」を掲げている。5月24日には、歯みがき行為が自律神経に作用し、リフレッシュやパフォーマンス向上につながるという新しい研究結果についてセミナーを開催。ストレス・睡眠研究の第一人者である古賀良彦先生が講演を行った。近年、歯と口の健康に関する関心は高まっており、健康経営の一環として、オーラルケア施策を採用する企業も増えている。毎年6月4日~6月10日は「歯と口の健康週間」に定められている。今回のセミナーでは、企業における昼歯みがきの実践による仕事へのプラス効果についても発表した。

「全身の皮膚・粘膜の中で口腔は最も感覚が鋭敏な部位の一つであり、口腔の感覚は、大脳皮質の体性感覚野の約30%もの部分を占める」と口腔と脳の関係について、杏林大学名誉教授 医学博士 古賀良彦先生が説明する。「口腔への触覚刺激は、自律神経機能に作用することが示唆されている。そこで、歯ブラシによるブラッシングが自律神経への作用と心理状態(気分)に与える影響を明らかにするべく、試験を行った」と研究試験を実施したという。

「試験参加者は20~59際の男女20名で、市販品での使用実績がある部材を使用した歯ブラシを用いた。そして、ブラッシング前安静20分後心理状態の変化(TDMS)を確認し、ブラッシングおよび非ブラッシング(安静)を5分間行った。その後TDMSを確認し、ブラッシング後20分間の安静、TDMSおよびパフォーマンスの確認を行った」と試験の概要を解説。「その結果、歯ブラシでのブラッシングで、副交感神経活動が優位となり、リラックス効果が得られた。さらに心理状態の変化を解析した結果、ブラッシングによって活性度(活気)、快適度(快適)、覚醒度(活発)に優位な変化が認められた。ブラッシング非実施では優位な変化は見られなかった」とのこと。「歯ブラシでのブラッシングで、いきいきと前向きな心理状態へと変化。ブラッシング実施によってパフォーマンスの向上もみられた」という。

「これらの結果から、生理心理学的方法によって、ブラッシングの口腔刺激は自律神経のバランスを整え、心身のリフレッシュ効果をもたらすことが明らかになった。今回の結果は、活性度をはじめとする心理面での効果に加えてパフォーマンスの向上も観察されたことは、ブラッシングが心身の働きに幅広い効果をもたらすこと、すなわちウェルビーイングの実現に貢献することを示すものと考えられる」と、口腔に上手に刺激を毎日持続させることで、ウェルビーイングの実現につながるとまとめていた。

ライオン、歯みがき行為が自律神経に作用しリフレッシュやパフォーマンス向上につながるという新しい研究結果を発表
ライオン オーラルヘルス開発部 武藤美穂氏

次に、企業における昼歯みがき実践での仕事へのプラス効果について、ライオン オーラルヘルス開発部 武藤美穂氏が発表した。「1969年には、1日2回以上歯をみがく人は17%しかいなかったが、2022年には79%まで上昇。2022年で、1日3回以上歯をみがく人は28%になっている」と1日あたりの歯みがき回数について言及。「当社では様々な接点で“前向きな予防歯科習慣作りを通じた人々の健康増進への貢献”を図っている。そして2022年7月から、法人向けサービス『おくちプラスユー』を開始。企業で働く人の昼歯みがき習慣促進など健康経営を支援している」と、オーラルケア普及啓発活動を行っているのだと力説する。

「オーラルケアが重要な理由として、健康の維持が挙げられる。就労世代の約9割が虫歯の経験があり、3割以上が歯周病の疑いがある。約4割が口のトラブルで仕事を休んだり、遅刻、早退、中抜けした経験がある。そこで、昼食後歯をみがく群とみがかない群とで、虫歯のある割合と歯周ポケット4mm以上の割合を調査した結果、昼歯みがきを実践している方が虫歯および歯周病の割合が少ないことがわかった」と、昼歯みがきは口腔を健康に保つ効果が期待できるとのこと。「自分でも他人でも気になるニオイは『口臭』を挙げる人が多い。昼歯みがきをすることで期待できることとして、約8割(77%)が昼歯みがきをすることで『口臭対策ができる』と回答していた」と、昼歯みがきの実践でコミュニケーションの自信向上につながるのだと説明する。「昼歯みがきあり群となし群に分け、心理状態変化を聴取するアンケートを行った結果、昼歯みがき実施あり群では、なし群と比較して、活性度・快適度・覚醒度が高い結果となった。また、実際に口中がスッキリすることで、気持ちのリフレッシュにつながっているという声もあった。さらに、昼歯みがきをする人の方が、日中の眠気を感じている割合も少なく、昼歯みがきすることは眠気の防止につながる可能性もあることがわかった」と、昼歯みがきをすることで様々なメリットが得られることが明らかになったという。「当社では、歯みがきの新たな側面を提案していくことで、ウェルビーイングな生活の実現を目指していく」と、歯みがき習慣の浸透を今後も図っていく考えを示した。

ライオン、歯みがき行為が自律神経に作用しリフレッシュやパフォーマンス向上につながるという新しい研究結果を発表

歯みがき習慣の浸透の一環として、ライオン、ライオン歯科衛生研究所、日本学校歯科医会、東京都学校保健会は、文部科学省等の後援を受け、「歯と口の健康週間(6月4日~10日)」に合わせて、6月1日~10日の日程で「第81回全国小学生歯みがき大会」を開催する。

ライオン、歯みがき行為が自律神経に作用しリフレッシュやパフォーマンス向上につながるという新しい研究結果を発表
左から:第81回大会ドリル表紙、未来宣言カード、復習教材(1週間チャレンジページ)、子ども用ハブラシとデンタルフロス

大会期間中にDVD教材を活用して、国内外の小学生が楽しく歯と口の健康の大切さを学べる場としている。同大会には、過去最高の約5400校の小学校などから、約30万人の小学生が参加する予定となっている。

ライオン=https://www.lion.co.jp/ja