株主総会
(画像=Matej Kastelic/Shutterstock.com)

株式会社を設立したり、証券会社経由で株式を購入したりすれば、誰でもすぐに株主になることができる。株主の権利の一つとして、株主総会への参加権がある。株式を発行する側からすれば、株主総会を開催する必要がある。ここでは、そもそも株主総会とはどのようなもので、何を決め、どのように運営するのかを見ていこう。株主の立場としても、株主総会を開く側の立場としても、正しい知識を理解しておくことは将来役に立つはずである。なお、当記事は日本における株主総会を対象とする。

目次

  1. そもそも株主総会とは?
  2. 株主総会の権限や種類
    1. 取締役会の有無
    2. 定時株主総会
    3. 臨時株主総会
    4. 株主総会と取締役会の違い
  3. 株主総会の決議は3種類
    1. 1.普通決議
    2. 2.特別決議
    3. 3.特殊決議
  4. 株主総会では何が決まるの?
    1. 会社の根本を決める事項
    2. 役員の人事に関わる事項
    3. 株主の利害に関わる事項
  5. 株主総会の流れは?
    1. 株主総会はいつ行われる?
    2. 株主総会の招集
    3. 実際の株主総会の流れ
  6. 株主総会を6月に行うメリットやデメリットは?
  7. 一口に株主総会といえども奥は深い

そもそも株主総会とは?

株主総会とは、株式会社の最高意思決定機関である。

株式会社の仕組みにおいては、株主は会社の「所有者」であり、取締役は会社の「経営者」である。重要な意思決定については、原則的には所有者である株主が決めるものとされているが、日々の経営や業務執行は、株主が株式の価値を高めると期待できる取締役に委任する。株主は、実際に経営がうまくいっているのか、経営者が株主のお金で私腹を肥やしていないかなどをモニタリングする必要性が出てくる。

重要な意思決定が株主と経営者によって議論されるとともに、事業の状況についての報告を経営者から受け、場合によって質疑応答が行われる。株主総会は、そうした意思決定やモニタリングの場である。

株主総会以外の経営機関としては取締役会や監査役会などもあり、構成者や権限が混在しやすい。それぞれを正しく理解することが必要である。

株主総会の権限や種類

取締役会の有無

株主総会の権限は、取締役会の有無で変わってくる。取締役会とは、取締役が3名以上いる場合に組成できる任意の機関である。取締役会を組成した会社を「取締役会設置会社」という。

会社法第295条において、株主総会では「株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる」と規定されており、大きな権限を持っていることがわかる。

株主総会で決議する議案は、原則として取締役によって決定される。そして、株主が集まる株主総会に諮り、決議をすることになる。一定割合以上の議決権を持った株主の参加により株主総会は有効となり、そのうち一定割合以上の賛成があった場合に可決される。

取締役会設置会社の場合は、重要な意思決定の一部を株主総会から取締役会に委譲できる。株主総会では会社法に規定する事項および定款で定めた事項に限り、決議をすることができるとされている。会社法に規定する事項は後述するが、ここでは「取締役会がある場合は株主総会で決めるべき事項は少なくなる」ことを知っておいてほしい。なお、取締役会を設置するには手続き上、株主総会での決議が必要となる。

定時株主総会

定時株主総会は、年に一度、期末から3ヵ月以内に開催されるものである。通常は、計算書類などの承認に加えて、取締役や監査役の選任、配当の決定などを決議するものである。

臨時株主総会

臨時株主総会は、定時株主総会以外に開催される株主総会である。株主総会を招集する権利を持つのは、取締役(取締役会設置会社の場合は取締役会)または株主である。

取締役または取締役会が招集する場合は、日時や場所、議案を決定し、株主に通知することになる(会社法第296条)。株主が開催を請求するには、全議決権の3%を6ヵ月以上保有している必要がある(会社法第297条)。株主複数名の議決権の合算でも可能である。株主はまず取締役または取締役会に対し、目的や理由を含めて株主総会の開催を請求する。それでも取締役や取締役会が株主総会を招集しない場合は、株主は裁判所の許可を得て、株主総会を自ら招集することができる。

臨時株主総会の議案は多岐にわたるが、合併や買収、新株の発行など重要な意思決定が必要な場合に開催される。近年は株主による会社へのモニタリング機能が強化され、会社へ権利を主張する株主の増加に伴って、配当の増額請求や取締役の解任などが増加している。

株主総会と取締役会の違い

株主総会と取締役会は、主に参加する者と決定すべき事項が異なる(会社法第362条)。

取締役会は、取締役および監査役と、必要と認められた者のみが参加するものである。影響の大きい契約や株主総会への議案の決定などの重要な意思決定がされる場であり、役職員以外の者は基本的には参加できない。取締役会で決定できるのは、会社経営の執行に関する以下の事項である。

・取締役会設置会社の業務執行の決定
・取締役の職務の執行の監督
・代表取締役の選定および解職
・重要な財産の処分および譲り受け
・多額の借財
・支配人その他の重要な使用人の選任および解任

なお、日本では「取締役=経営の執行者」となっているケースが多い。海外においては、社長は業務執行者である一方、取締役会の議長には社外取締役が就いて業務執行はせず、モニタリングに専念するようなモデルもある。国によって統治の形が異なっていることも覚えておくとよいだろう。

株主総会の決議は3種類

株主総会の決議は、その内容に応じて、普通決議、特別決議、特殊決議の3種類存在する(会社法第309条)。

1.普通決議

普通決議は最も一般的な決議方法であり、全議決権の2分の1超を有する株主が株主総会に参加し、その参加者が持つ議決権のうち2分の1超の賛成を得ると可決となる。企業を買収する際など、全株式の50.1%や51%を取得することがよく見られるのは、自社のみで株主総会の普通決議を可決させて意思決定が可能になるためである。

2.特別決議

特別決議は、特に重要な議案についての決議である。議決権の2分の1超を有する株主が株主総会に参加し、その参加者が持つ議決権の3分の2以上の賛成を得ると可決となる。具体的には以下のような議案が対象となる。

・特定株主からの自己株式の取得(会社法第156条1項、160条1項)
・資本金の額の減少(会社法第447条1項)
・現物配当(会社法第454条4項)
・定款の変更(会社法第466条)
・事業譲渡の承認(会社法第467条)
・解散(会社法第471条3項)

他者に株主総会で特別決議を可決されないための拒否権を持つため、最低でも全株式の33.4%や34%を保有するということが考えられる。

3.特殊決議

特殊決議は、特殊な状況下における議案である。あまり例は多くないが、例えば全株式を譲渡制限株式とする定款変更をするときは、総株主数の半分以上かつ、総議決権の3分の2以上の賛成が必要である。可決のための母数が「出席株主」ではなく、「総株主」になっている点が異なる。株主ごとに異なる取り扱いを行う旨を定款で定める場合は、総株主数の半分以上かつ、総議決権の4分の3以上の賛成が必要である。

株主総会では何が決まるの?

株主総会で決めるべきことについては、先述のとおり、取締役会の有無で異なってくる。以下の事項は、株主総会での決議が必要な旨が会社法内のさまざまな条項に記載がある。

会社の根本を決める事項

決議される内容としては、例えば以下のようなものがある。
・定款の変更
・合併
・減資
・計算書類などの承認(いわゆる決算書=貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表・附属明細書)

役員の人事に関わる事項

決議される内容としては、例えば以下のようなものがある。
・取締役の選解任
・監査役の選解任
・会計監査人の選解任

株主の利害に関わる事項

決議される内容としては、例えば以下のようなものがある。
・自己株式取得
・剰余金の配当
・取締役などの報酬

取締役会を設置していない会社の場合は、上記にとどまらず、一切の事項を決めることができるとされている。上記のような事項に加え、取締役または株主からの要求があった事項について、株主総会で諮ることになる。

株主総会の流れは?

株主総会はいつ行われる?

定時株主総会は期末から3ヵ月以内に実施されるのが一般的である。会社法に3ヵ月という規定があるわけではないが、下記の事情を考慮すると、期末から3ヵ月以内に行うのが望ましいといえる。

・株主が権利を行使できるのは、権利を行使できる株主を決める「基準日」から3ヵ月以内(会社法第124条)
・「基準日」は期末としているのが一般的
・法人税法では確定した決算を基に税務申告することになっている
・法人税の申告期限は期末から最大3ヵ月(申告期限の延長の特例)※連結事業年度は最大4ヵ月

以上のことから、3ヵ月以内に株主総会を開いて、計算書類(決算)を承認して確定させ、税務申告を終えるという流れが妥当といえる。

臨時株主総会は、請求に応じていつでも開催できることになっている(会社法第296条)。

株主総会の招集

株主総会の内容が決まったら、招集通知を開催の2週間(未上場企業の場合は1週間)以上前に送付する必要がある。これは株主に対してその通知を「発しなければならない」という規定であり、発送基準である(会社法第299条)。レターパックや簡易書留など、発送の記録が残る形で送付することが望ましい。

なお、株主の全員の同意があるときは、招集の手続きを経ることなく開催することができる(会社法第300条)。

実際の株主総会の流れ

株主総会の流れについては規定がないので、各社の判断に委ねられることとなる。進行をスムーズに進め、株主総会が適法であることを確認するためにも、以下の点に注意したい。

・議長を選任し、議長が進行する
・株主総会が有効となる議決権数が充足していることを確認する

このあたりは株主総会開始時に行うことが多い。そのあとは、会社の状況説明や具体的な議案を進め、決議をとることになる。上場企業においては、株主からの質問を受け付け、その場で回答していくことが一般的である。質問については想定問答を作成しておくことも多い。

株主総会を6月に行うメリットやデメリットは?

先述のとおり、定時株主総会は期末から3ヵ月以内に開催されることが一般的である。3月決算の会社が上場企業の6割を占めている日本では、株主総会は5月後半から6月に開催されることが多い。また、株主総会で計算書類が承認された後に税務申告や有価証券報告書を提出する慣行があるためか、月末から1営業日を残した日(2019年は6月27日木曜日)が最も株主総会開催が集中する日となっている。この日を「集中日」といい、3月決算の上場企業の約3割が株主総会の開催をする。

株主総会が6月に行われることのメリットとデメリットを見ていこう。開催する会社側としてはメリットとデメリットの両方ある。まず、自社の株主が他社の株主総会に出席するため、参加者が減る可能性がある。次に、多くの株主に参加してほしいと思う場合はデメリットになるが、参加する投資家を絞りたいと考えている場合はメリットとなる。

一方、株主としてはデメリットとなる。株式を保有する会社の株主総会の開催日が重なった場合、開催場所や時間によってはいずれかの株主総会に参加できなくなる。株主総会で経営陣から直接説明を受けたり質問をしたりすることを希望する場合は、時期を分散してほしいと思うだろう。

一口に株主総会といえども奥は深い

取締役会の有無や定時・臨時の別、意思決定する内容によって、さまざまなルールがある。関与する企業が、どの意思決定を取締役会で行うのか、株主総会で行うのかを把握していれば、その会社の行く方向を先読みできるかもしれない。

文・新井良平(スタートアップ企業経理・内部監査責任者)

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