帝国ホテルキッチンは今年1月17日に創立50周年を迎えた。4月1日には本社事務所を移転し、移転先ビルの別フロアにテストキッチンとプレゼンルームを設けた。既存顧客との接点強化のほか、帝国ホテルと連携した企画への活用などにより新たな顧客創出も図りたい考えだ。
同社は4日、専門紙誌を対象に新事務所を公開した。福本雅志社長は「50周年に向けて、コロナ禍の数年間に様々な取り組みを進めてきた。経営基盤の再構築と称し、人材・財務・商品・顧客・管理・機能・風土――の7つの項目について課題解決あるいは進化させてきた。その総仕上が本社事務所の移転とテストキッチンとプレゼンルームの設置だ」とした。
移転先は富国生命ビル7階(東京都千代田区)、地下2階にテストキッチン・プレゼンルームを設けた。帝国ホテル東京一帯の再開発により、同社が入居していた帝国ホテルタワー館が解体されることに伴う事務所移転となるが、「このタイミングで顧客との接点強化のために欲しかった」(福本社長)のがテストキッチンとプレゼンルームだった。
7階の事務所はフリーアドレス制。新たに休憩スペースと防音パーティションを設置したスペースを設けた。
地下2階のテストキッチン・プレゼンルームが今回の移転の目玉だ。プレゼンルームは10人掛けのテーブルとプロジェクタースクリーン、調光色照明を備える。テストキッチンはフルコース料理を提供できる機能を備えている。取材当日も帝国ホテルキッチン料理長の下川明宏取締役が腕を振るい、同社製品をアレンジしたフルコースメニューを提供した。
今期の方針として福本社長は「『50thAnniversary&Next』をテーマに掲げ、次に繋がる『新』の獲得を目指す。お客様と一緒にNextを見つけていきたい。ホームページも刷新した。よりお客様に向き合っていきたい」とした。
金尾幸生会長も「新しい商品、新しい流通経路、新しい顧客に、この新しい施設からアプローチしていきたい」と述べている。
プレゼンルームの新設は既存顧客を招く契機になり、テストキッチンを備えたことで、同社の製品の価値をアレンジメニューなどでより伝えやすくなったことは間違ない。今後は帝国ホテル連携して料理教室なども企画したいともいう。「帝国ホテルのファンをつくることも当社のミッションと考えている」(福本社長)としている。
〈冷食日報2024年4月8日付〉