食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

2024年1月の豚枝肉相場は前年に比べて出荷頭数が多かったこともあり、関東3市場では月間通して450~470円(上物・税抜き、以下同)の範囲で推移するなど、ここ数年では稀にみる安定した相場展開となった。

関東に比べて大阪市場は若干の上げ下げがみられたが、こちらも前年に比べると安定推移となった。ただ、末端消費も絶好調というわけではなく、3連休明け以降の荷動きは中部位を中心に一服していた。

東京の場合、1月の平均気温は7.1℃(前年5.7℃)と暖かい日が多く、正月休み明け以降の節約意識の高まりも相まって、鍋物需要が振るわなかったようだ。ただ、相場が安定していることから、1月後半になって再び末端需要が戻り、バラ、カタロースの荷動きがやや持ち直した。

2月の肉豚出荷頭数は前年より1%多いと予想され、前年のような寒波による出荷への影響がなければ、安定した相場推移が予想される。決算期を控えて量販店の販促が入る可能性もあるが、基本は不需要期で上げ要因は少なく、月間平均では490~510円程度とみられる。

〈供給見通し〉
農水省の肉豚出荷予測によると、2月は前年同月比1%増の131.9万頭と見込まれている。うるう年だが、曜日回りの関係で稼働日は前年と同じ19日間となり、1日当たりの出荷頭数は6.9万頭強で前年よりも2千頭多い見込みだ。例年この時期は寒波による出荷への影響が懸念されるが、前年のような大寒波による増体不良や大雪による出荷遅れが生じる可能性は少ないとみられる。むしろ暖冬の影響で枝肉重量が大きいと指摘されている。気象庁の季節予報も向こう1カ月は全国的に平年より暖かい日が多いとしており、今後も順調な出荷が見込まれる。

これに対して2月の輸入は、農畜産業振興機構の豚肉需給予測によると、チルドが前年同月比3.3%増の3.2万t、フローズンが同3.6%減の3.9万tと見込まれている。チルドは前年がカナダの入船遅れの影響で少なかった反動で前年増となっているが、前月比では1月の輸入予測(3.2万t)とほぼ同水準とみている。

〈需要見通し〉
2月は需要の端境期となるため、量販店の棚で売れるのは豚小間やミンチが中心となる。このため、現状で荷動きが堅調なのは国産のウデ・モモとなっている。流通各社にヒアリングしたところ、年明け以降、スープ類を含め鍋物商材の売行きが低下しているようで、スライス関係もバラなどグラム単価の高い商品の動きが弱いという。また、輸入チルドも供給が不安定だったため、末端の取扱いが国産にシフトしており、ロイン中心に一服感が出ている。

2月は流通各社の決算セール・大売出しが行われる。豚肉の場合、販売構成比の高い小間切れや切落とし関係が売り場の中心となるが、各社、利益を確保するためにロースやヒレ、バラなどの品揃えも増やすとみられ、今後、スポットや追加の発注が入ることを期待する声も多い。

また、国産凍結物はスソ物の引合いは依然として強いものの、それ以外のパーツは落ち着いており、これまで引合いが非常に強かった大貫正肉や小肉関係もここ数日間は一服感がみられる。昨年の猛暑の影響で春先の出荷減の懸念もあるなか、中間流通からすれば現在の豚価水準ならば何とかバラシでの販売が利くため、各社、在庫状況を見ながら、一部パーツを凍結に回す動きが続きそうだ。

〈相場見通し〉
2月は3連休が2週続くため、「安いうちに」と、問屋筋の枝肉の手当ても早めに動くとみられる。実際に東京市場では、1日は上物・税抜きで481円だったが、2日は506円と前市から25円上昇した。今後も末端の販促による発注など、何らかのきっかけによって500円を超えてくる日も多いとみられる。前述の通り、大寒波の到来など豚価高騰につながる要因は考え難いものの、希望的観測も含めて2月の平均相場は490~510円程度とみたい。

〈畜産日報2024年2月5日付〉