NFTの取引を行う上で必要になるものがWeb3ウォレットですが、ウォレットの作成手順やパスワード・秘密鍵の管理など、さまざまな部分から一般には普及しづらいものと言えます。
そういった課題点を解決したのがTIPWAVE(チップウェーブ)です。
今回は、このTIPWAVEをリリースしたNextmerge株式会社COOの飯島 春樹さんにインタビューを行いました。
・TIPWAVEはどういった特徴を持つ?
・TIPWAVEの開発に至った背景は?
・今後追加される機能は?
上記のような疑問に回答していただき、TIPWAVEの全貌を明らかにしていきます。
SNSのIDだけでウォレットを作成できる「TIPWAVE」
引用:PR TIMES
Q. 今回リリースされたTIPWAVEはどういったサービスでしょうか?
TIPWAVEは、Account Abstractionを採用した、SNSのIDでウォレットを生成できるウォレットサービスです。
MetaMaskのようにユーザー自身が秘密鍵を管理しなくても良いところが特徴ですね。
もう一つの特徴は、その時点でウォレットを準備できてない人でも、SNSのアカウントを持っていれば、NFTを受け取れる部分です。
Account Abstractionの技術を利用して、SNSのIDでウォレットを自動生成してNFTなどを受け取る、そしてログイン後にウォレットを有効化すると、NFTがユーザーのウォレットに紐づくという仕組みになっています。
そのため、受け取りやすさで言えば、今作られてるウォレットの中ではおそらくTIPWAVEが一番かなと思っています!
Q.TIPWAVEの開発に至った経緯・背景をお教えください。
一つは、MetaMaskのような既存のウォレットがとにかく使いづらいと思ったことからです。
もう一つはWeb3フォースのようなものがありますが、それを使うとサービスごとにウォレットが分かれてしまうという欠点があるんですよね。
これに対して、SNSのIDに紐づいた同じウォレットを使うことで、NFT保有者に特典を付与したり、ブロックチェーン上に保存されたアイデンティティのようなものを利用できるのではないかと思っています。
Web3フォース的なサービスごとにウォレットを作るのも良いですが、現段階で使いやすいのは一つのウォレットにアクセスすることなので、NFTやファンジブルトークンを外に移すといった手間のかかる作業を解消したい、というのが開発の意図になります。
Q. TIPWAVEは元々はFoteison(フォテイソン)というサービス名でしたが、名称を変更したのはなぜでしょうか?
元々、Foteisonはオフチェーンとオンチェーンのサービスでした。
このFoteisonにウォレット機能を追加するということで、現在のTIPWAVEという名前になりました。
あとは単純に、海外の方々が発音しづらいというのもありますね(笑)。
TIPWAVEのリリースにあたって
引用:PR TIMES
Q.TIPWAVEの開発からリリースに至るまで苦労された点はございますか?
TIPWAVEに採用したAccount Abstractionが先進的な技術になるため、情報を集める部分で一番苦労したと思います。
活用事例がかなり少なかったのですが、なんとか情報を集めて開発できました。
もう一つは、UI設計の部分にかなりこだわったところですね。
今後も改善を進める予定ですが、できるだけ機能を削ったり、ボタンの配置を工夫するなど、利用者がわかりやすいと思えるデザインにするために、多くの時間を割いたと思います。
Q.TIPWAVEをリリースされてみて、利用者からはどういった反応がございましたか?
リリース初期はSNSでの反応が多く、UIを結構褒めていただきました。
NFTの配布などはまだ実施してないので、今後そういったプロジェクトを進めていくときに、「やっぱ便利だね」と言われるようなフィードバックがあるといいなとは思っています!
TIPWAVEに関する今後の展望・取り組み
Q.現状、TIPWAVEが対応するネットワークはPolygon(ポリゴン)のみですが、今後対応を予定しているものはございますか?
基本的に、需要のあるネットワークを入れていきたいので、イベントに使われるだったり、そういうお話がきた際に追加する形になると思います。
国内で言うと、Astar Networkとかはイベントを控えているので、状況を見つつ入れるか検討すると思います。
あとは、Avalanche(アバランチ)とかも非常にいいので、その辺りも検討中ですね。
ちなみに、Ethereum(イーサリアム)については対応可能ではありますが、今のところは対応していません。
Q.対応プロバイダーはXとDiscordの2つですが、今後対応するものを増やす予定はございますか?
今考えているものはGoogleアカウントです。
これはなぜかというと、XやDiscordが凍結された場合に、TIPWAVEも使えなくなると言う問題があるからです。
XとGoogleアカウントを相互的に運用することで、Xを凍結されてもGoogleアカウントでログインすれば、問題なく利用できるといった形にしたいなと思っています。
あとはLINEですかね。LINEについても対応できますので、ユーザーからの反応を見つつ、対応を検討する予定です。
Q.今後の展望や取り組みについて、直近で考えられていることはございますか?
直近で言えば、Wallet Connect(ウォレットコネクト)を対応予定なので、近いうちにさまざまなDappsに繋げられるようになるかと思います。
その次がガス代ですね。
現状、ガス代はJPYCで払えるのですが、企業に広告を出していただき、ユーザーがその広告を見るとガス代を広告費から代替する、という仕組みを考えています。
これであれば、ユーザーはガス代を払わずにブロックチェーンを利用できるはずです。
あとは、最近フィジカルのイベントでTIPWAVEを使いたいという方が多いので、ウォレットコネクトを実装した後に、QRコードの送付を導入したいと思っています。
例えば、NFTを配布する際にQRをスキャンすると、NFTを送れたり(ミントされるに近い)、1日1回しか受け取れないQRを運営者が発行できるサービスとかですね。フィジカルでIDを検索するよりも簡単に、トークンを送ることができるようになります。
これらを実施することで、 NFTを簡単に渡せたり、投げ銭ができるようになると思います。
インタビューを終えて
今回は、Nextmerge株式会社の共同創業者である飯島 春樹さんにインタビューを行いました。
TIPWAVEは、XやDiscordといったSNSのアカウントを持つ人であれば、誰でもかんたんにウォレットを作成・利用できるプロダクトです。MetaMaskをはじめとするウォレットの使いづらさを実感したことから、開発が始まりました。
今後は、GoogleアカウントやLINEに対応したり、イベントに利用できるQRコードの送付を導入したりと様々な取り組みを考えているとのことです。
TIPWAVEが、日本を代表するウォレットサービスとなり、一般の人が利用する日はそう遠くないのかもしれません。
興味のある方は、下記URLよりぜひ利用してみてください。
▼TIPWAVEの公式サイトはこちら
https://www.tipwave.app/