2023年の人手不足倒産は260件となり、統計として遡れる2013年以降で最多を更新したことが、帝国データバンクの「人手不足倒産の動向調査(2023年)」で明らかとなった。

2023年の「人手不足倒産」は過去最多の260件、建設/物流業が半数を占める

2023年の人手不足倒産は前年比約1.9倍となる260件に上り、年間ベースで過去最多を更新した。

【人手不足倒産 年間推移】
2014年 70件
2015年 65件
2016年 72件
2017年 98件
2018年 159件
2019年 192件
2020年 157件
2021年 111件
2022年 140件
2023年 260件

これまで最多だったのは2019年の192件で、国内景気の上向きなどによって人手不足が顕著に表れていた時期だった。2020年以降は新型コロナが拡大し経済活動が制限されたなかで、一時的に人手不足感も緩和されていた。

2023年は新型コロナの感染症法上の分類が5類に移行され、本格的に「アフターコロナ」が到来し徐々に経済活動が本格化したことで、人手不足は再び重大な経営リスクとして顕在化するようになった。

4月には月次としては過去最多の30件に達し、8月以降は5カ月連続で20件以上を記録、これまでにないペースで発生し続けた。

全体の半数を占める建設/物流業は、2024年4月に時間外労働の上限規制が適用される、いわゆる「2024年問題」が懸念される業種であり、さらなる深刻化も否定できない。とりわけ建設業は91件にのぼり、過去最多かつ前年から約2.7倍の大幅増となった。

また、“団塊の世代”が後期高齢者に到達する「2025年問題」も大きな節目として控えるなど労働力人口の高齢化も進むなか、人材の確保がこれまで以上に事業継続を左右する時代が迫っている。

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