2022年、2023年と急激な円安に見舞われた日本。2024年の初頭も円安傾向が続いている。このまま続くのだろうか。2024年における為替動向の見方は、エコノミストのなかでも分かれているようだ。
2023年の為替相場
2023年の円相場は、対米ドルで1月16日に1米ドル127.21円をつけたあと下落基調となり11月13日に151.92円まで下落 した。下落値幅は24.71円と実に大きい。過去には、2022年に対米ドルで38.47円(113.47~151.94円)の値幅をつけたこともあるが、変動相場制移行後2番目 の大きな下落幅を示したことになる。
対米ドルにとどまらず、対ユーロでも円の下落は激しい。2023年に1ユーロ139.38円で始まった相場は、11月16日の取引時間中に164.35円の最安値 をつけた。下落値幅は、24.97円と対米ドルを上回る。
2024年は「緩やかな円高進行」予想 が多数
各通貨国の金融政策、金利差、物価など相場を動かす要因にはさまざまなものがある。しかし日銀が「賃金上昇を伴う2%の物価上昇目標」を確認し、長短金利操作の撤廃・マイナス金利政策解除をすることで対米・対EUとの金利差が縮まって緩やかながらも円高方向に動くという見方が多い。
2024年の円安反転は難しいとの声も
一方で「2024年の円は弱い通貨であり続ける可能性が高い」と予想する声もある。これは、日銀がマイナス金利政策解除およびその他主要国が多少の利下げをしたとしても、そもそも日本の経済力や国力の低下といったファンダメンタルズの要因が大きいから だ。日本は、エネルギーや食料などの海外依存度が高い構造的な脆弱性を抱えており、資源価格高騰もあって脆弱性が明確になってきているのだ。
強い円を取り戻すには
金融政策の動向は、今後も注視していく必要がある。しかし本当に円を再び強くすることを願うならファンダメンタルズの部分で再起させることが必要かもしれない。日本は、エネルギーや食料などの海外依存度、自然災害の多さなど構造的な脆弱性を変えるのは難しい一面がある。
例えば高くても売れる商品やサービスを作り出すこと、インバウンド需要を高めることなどが円に対する信認を取り戻す対策の一つではないだろうか。