かつて日本では、終身雇用制度や年功序列制度、新卒一括採用制度が一般的だった。しかし現在は働き方改革などによって働き方が多様化しており、時間や場所に縛られずに働ける「自営業」という働き方が注目されている。今回は、自営業のメリット・デメリットと、おすすめの自営業について解説する。
目次

自営業とは?
会社に属さず働くことを「自営業」、その人を「自営業者」と呼ぶ。個人事業所のイメージする人は多いかもしれないが、法的に明確な定義はなく自ら事業を営み収入を得る者を指す。時間や場所に縛られない働き方をする人なども、広い意味では自営業者といえるだろう。
当てはまる職業とは?
自営業に当てはまる職種は多い。資格を活かして起業する職種には、医業や士業などがある。医業の場合、勤務医ではなく開業医を指す。士業には弁護士や税理士、社会保険労務士などがある。
サービス業には、美容院やカフェ、八百屋やパン屋などがある。自宅の1室をネイルサロンにしている人や、個人でHPなどを作成する人も自営業者だ。
自営業というと1人ですべてを行っているイメージがあるが、人を雇って複数人で行うケースもあり、個人・法人も問わず規模もさまざまだ。
個人事業主やフリーランスとの違い
自営業と似た言葉に、「個人事業主」や「フリーランス」と呼ばれるものがある。これらは同一の意味で使われることもあるが、厳密には以下のような違いがある。

個人事業主は、個人で事業を行い税法上の区分として法人と区別して呼ぶことが多い。法人を設立していなければ、自営業もフリーランスも個人事業主となる。上記のなかでも自営業とフリーランスは、特に混同されやすい用語だ。一般的には、時間と場所が決まっている働き方を自営業、時間と場所にとらわれない働き方をフリーランスということが多い。
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(内閣官房 公正取引委員会 中小企業庁 厚生労働省)」によると、フリーランスを以下のように定義している。
実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、 自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者
出典:厚生労働省
会社員との違い
会社員は、会社と雇用契約を結び雇い主である企業に使用される者となるため、いわゆる労働者となるのが原則で自営業やフリーランスとは明確に立場が異なる。また労務対価として毎月企業から給与が支払われるため、自ら働いて得た利益が直接自分の収入になるわけではない。自営業の場合は、個人で国民年金や国民健康保険に加入し税法上の所得が個人事業主としての事業所得となる。
一方、会社員は被用者として厚生年金保険や健康保険に加入し、税法上は所得が給与所得となるところが違いだ。また自営業でも法人を設立している場合は、法人から報酬が支払われ社会保険に加入し所得も給与所得となる。このように自ら事業を行う経営者の立場にある自営業と雇い主に使用されて労働する会社員とでは、立場が大きく異なるのだ。
自営業の年収は?
自営業者は、自分で事業を行うため、年収は自ら稼いだ金額がダイレクトに反映する。ここでは、自営業者の年収がどのくらいになるかを見てみよう。
自営業の平均年収
国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」のデータによると、会社員の平均年収は約443万円となっている。次に自営業者の平均年収を見てみよう。国税庁の「令和2年分 申告所得税標本調査」によると、自営業者の平均年収は約420万円であり、会社員より若干低い結果となっている。
自営業者の年収は、年間の収入から仕入れなど事業経費を差し引いた金額となるため、会社員と比べて所得が低いとは一概にはいえない。なぜなら自営業者の場合は、減価償却費や青色申告控除によって所得が低くなることもあるからだ。
自営業者の収入を手取りで考える場合は、そこから国民健康保険料や国民年金保険料、各種税金などを差し引いた金額になる。会社員も社会保険料や税金を支払うのは同じだが、控除額の多さや社会保険料の会社負担などがあるため、税制面では会社員のほうが有利といえるだろう。
自営業で年収の高い仕事
国税庁の令和2年度の統計年報にある申告所得税のデータから所得金額が多い業種を見ると自営業で年収の高い仕事の傾向が分かるだろう。自営業で年収の多い仕事には、病院や診療所などの医療が挙げられる。主な職業の平均所得は、以下の通りだ。

専門的な知識を必要とする職種も年収が高くなるが、誰でも簡単に資格を取得してなれるものでもない。業界としては、医療保険業や弁護士や公認会計士などの士業をはじめ建設業や不動産業が比較的高い傾向だ。専門的な知識やスキルを必要とする職業は、年収が高い傾向にあるといえるだろう。やはり自営業を営むには、専門的な知識やスキルを磨き競合先に負けないだけの何かを持つことが必要となる。

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自営業の所得の種類
自営業の所得と聞くと「事業所得」を思い浮かべる方が多いだろう。給与所得者であれば年末調整で会社に所得税を計算してもらい会社を通じて納税をすることで課税関係は完結する。住民税や社会保険料なども給与から天引きされるため、自分で税金を計算して納付することはあまりない。しかし自分で事業を行うには、税金の知識が必須となる。
自営業には、さまざまな働き方があるため、所得の種類に応じて税金の計算方法も異なることも多い。近年は、給与所得者でもダブルワークで働く者も増えた。副業収入がある場合、その所得の種類によっては事業所得とならずに譲渡所得や配当所得、雑所得で申告するケースもあるため、注意しなければならない。
そこで以下では、自営業の所得の種類を簡単にまとめた。

申告する所得の種類を間違えると、税務調査で指摘を受けたり税金面で損をしたりする恐れがある。特に不動産を持っている方や複数の事業を行っている方などは、所得が複雑になりやすいので注意しておきたい。なお税金は、所得税だけではなく個人事業税や住民税の知識も必要となることにも知っておく必要がある。
・所得税
所得税とは、所得金額に応じて国に納付する税金。所得には、上述した通りさまざまな種類があるが、1年間(1月1日~12月31日)に発生したすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を乗じて税額を計算する。所得税額の計算式は、以下の通りだ。
- 所得税額=(所得金額-所得控除)×所得税率
日本の所得税では、所得金額が大きいほど税率も大きくなる「累進課税制度」を採用している。所得税率は、課税所得金額に応じて以下のように決まっている。

なお2037年までは、所得税とは別に復興特別所得税を合わせて納付することが必要だ。一般的に会社員の場合は、会社側で年末調整を行うため、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)などを受ける場合を除き、確定申告は不要だ。しかし自営業(個人事業主)の場合は、毎年確定申告をする必要がある。
確定申告とは、1年間(1月1日~12月31日)の所得金額や納める税額を自分で計算した確定申告書を作成し、税務署に提出することをいう。確定申告書の提出と納税の期間は、原則、2月16日~3月15日(該当日が休日の場合は翌営業日)である。
確定申告書の提出方法は、大きく分けて「税務署窓口への提出」「郵送での提出」「e-Taxでの提出」の3つだ。以前は、税務署窓口への提出が一般的だったが、現在ではスマホからも簡単にe-Tax(電子申告)が利用できるため、今後はより一層e-Taxでの提出が増えるだろう。
・住民税
住民税とは、道府県民税や都民税、市町村民税や特別区民税のことで自身が住む都道府県や市区町村の住所地に納める税金のことだ。前年の所得に対して課税するもので1月1日現在の住所地の市区町村に納付する。税務署に所得税の確定申告をすれば必要なデータは税務署を通じて各市区町村に提供されるのが一般的だ。自治体によって異なるが、おおむね6月ごろ納付書が市区町村から送られてくる。
・個人事業税
個人事業税は、事業を行う事務所などがある場所の都道府県に納付する税金であり、納付しなければならない業種(法定業種)が決められている。第1種事業(37業種)、第2種事業(3業種)、第3種事業(30業種)の3種類に分けられ、税率も決められた区分によって異なるのが特徴だ。そのため3つの事業の種類に該当しない業種であれば事業税がかからない。
通常は、税務署に確定申告をすれば必要なデータは事業をしている都道府県に提供され、納付書が都道府県から送られてくる。
自営業のメリットとデメリットは?
自営業のメリットは、何だろうか。メリットとデメリットを見ていこう。
自営業のメリット5つ 働く時間や仕事内容が自由
自営業の主なメリットは、以下の5点だ。
・働く時間や場所などを自由に決められる
・煩わしい人間関係に縛られない
・自分の好きなこと、アイディアを仕事にできる
・定年退職がなく、ずっと働き続けられる
・収入の上限がない
自営業のメリットは、何といっても「自分で自由に決められる」ことだろう。会社であれば就業規則などで働き方が決まっている。一方自営業は、働く時間・場所・ルール・報酬などを自分で決められるため、働き方のすべてにおいて裁量があるといえる。
たとえば、会社員と自営業者が同じ金額の大口契約が取れたとしよう。会社員は多少ボーナスに反映されるかもしれないが、基本的にもらえるのは毎月の給料だけである。一方自営業者の場合は、その契約の利益がそのまま収入になる。
働く時間や場所が自由である点は、子育てを中心に生活する主婦(夫)にとって有利だ。「子どもが幼稚園に行っている間だけ」「子どもが寝た後の数時間だけ」といった働き方ができるのは、自営業ならではのメリットだろう。
自営業のデメリット4つ 安定していない、自分で行う仕事の範囲が広い
自営業の主なデメリットは、以下の4点だ。
・ケガや病気、出産などで働けなくなると、収入が途絶える
・帳簿をつけ、確定申告をしなければならないため、手間である
・社会保障が薄い・福利厚生がない
・1人の場合、事務や経理、営業、制作などをすべて1人で行わなければならない
自営業の最大のデメリットは、「お金のリスク」だろう。会社員であれば、数日休んでも有給休暇として扱われ給料が支払われるが、自営業に有給休暇はない。病気療養で長期間休んだ場合でも、会社員は給料の3分の2が傷病手当金として支給される。仕事中のケガなどは、労災で補償されるなど多少のことで収入が途絶えることはない。これは大きな違いだ。
老後についても会社員には退職金があり、国民年金の他に厚生年金もあるため、それなりの金額をもらい続けることができるが、自営業者には国民年金しかないため、自分で蓄えておくか働き続けなければ、老後資金はすぐに足りなくなってしまう。
自営業は収入に上限がないというメリットを挙げたばかりだが、働かないと収入がゼロになるリスクもあるため収入は不安定といえる。会社員は固定給制なので安定しており、将来の見通しも立てやすい。
自営業者は、これらリスクに対応できるよう収入の一部を蓄えたり、保険に加入したりするなどの準備が欠かせない。
自営業に役立つ保険は?健康保険はどうなる?
安定収入を得られるサラリーマンに比べると、自営業は経済的なリスクが高いといわれている。そこで利用を考えておきたいものが、リスクを抑えるための保険だ。
自営業ではどのような保険が役立つのか、健康保険の扱いと合わせて以下で解説していこう。
公的な共済制度
費用負担を抑えたい場合は、国や公的機関が実施している「共済制度」への加入を検討しよう。なかでも以下で挙げる3つの共済制度は、比較的低コストであることから多くの事業主が加入している。

共済の掛け金の分だけキャッシュアウトすることには変わりはないため無理に加入する必要はないが、掛け金は税法上の所得控除や事業としての経費算入の対象になるメリットもある。特に経営セーフティ共済はリスクを大きく抑えられる制度なので、多くの取引先を抱えている方はぜひ検討しておきたい。
就業不能保険
就業不能保険とは、病気がケガなどの影響で収入が減った場合に、毎月定額の保険金を受け取れるタイプの保険だ。サラリーマンに支給される傷病手当金(※健康保険の一部)の代わりになるので、就業不能保険に加入しておくと経済的なリスクを大きく抑えられる。
ただし、就業不能保険にもさまざまな種類があるため、特に保険金が発生する条件や金額は細かくチェックしておく必要がある。
健康保険はどのような扱いになる?
サラリーマンや公務員とは違い、自営業者は企業などが運営する組合の健康保険には加入できない。自治体が運営する「国民健康保険」に加入する形となるので、独立をする前にはきちんと保険を切り替えておくことが重要だ。
また、国民健康保険に加入すると、すべての保険料を加入者自身で負担することになる。つまり、サラリーマン時代とは保険料の負担が変わってくるため、大まかな金額は事前に調べておくことをおすすめする。
国民年金はどのような扱いになる?
サラリーマンや公務員とは違い、自営業者は、厚生年金に加入することができない。自営業者は「国民年金」に加入することとなる。日本の年金制度は、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金の2階建てという仕組みだ。サラリーマンや公務員は、厚生年金に加入することで国民年金と厚生年金のどちらにも加入していることになるが、自営業者は国民年金のみの加入となる。
会社を退職し、自営業者になった場合は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村の役所や役場で国民年金(第1号被保険者)加入の手続きを行うことが必要だ。また国民年金に加入すると健康保険同様に、すべての保険料を加入者自身で負担することになるため、注意したい。
おすすめの自営業5選 税理士、サービス、ライター、デザイナー、EC運営
自営業のメリット・デメリットを見てきたが、どう感じただろうか。「あまり儲からないかも」と思う反面、家庭の事情によっては、ワークライフ・バランスを重視したいという働き方も増えてきているため、「すべてを自由にできること」に魅力を感じた人も少なくないはずだ。ここからは自営業として開業する場合の、おすすめの職業を紹介する。
1.日本中どこでも高収入で働ける「税理士」
税理士は税務署や各市町村、企業で働くこともできるが、税理士事務所を開設して自営業者として活躍している人も多い。
医師もそうだが、税理士にも独占業務(その資格がなければできない業務)がある。「税務の代理」「税務書類の作成の代理」「税務相談」がそれだ。独占業務があるとニーズがなくならないため、収入が安定しやすい。
税理士になるには、大学や専門学校で経済学か法律学を学び、2年以上の実務経験を経て試験に合格しなければならない。ハードルは高いが、税理士になれれば日本中どこでもニーズがあり、雇用形態も自由に選ぶことができる。
2.顧客の潜在ニーズに応える形のない「サービス業」
サービス業というと、ホテルや飲食店での接客をイメージする人が多いかもしれない。しかし、実際はもっと多岐にわたる。接客を含め、「形のないものを売る」のがサービス業だ。
美容師やタクシーの運転手、学習塾講師、保育や老人ホームにおける介護担当者、クリーニング業などもサービス業だ。免許や資格などが必要な職種もあるが、医師や税理士ほど難易度は高くないので、比較的開業しやすいといえるだろう。
3.時間も場所も自由に働ける「ライター」
ライターとは、雑誌やWebサイトなどに掲載する記事を書く人のことだ。インターネットが普及した現在は、在宅ワークとして取り組む人も多い。収入は1記事の単価が決まっている場合と、1文字単価が設定されている場合がある。
多くの収入は望めないが、場所的・時間的拘束がないため、副業で行う人や育児や介護などでまとまった時間が取れない人に適している。
4.デザインセンスがあるならおすすめしたい「Webデザイナー」
Webサイトのデザインを行うのが、Webデザイナーだ。ネットで買い物をする人が増えているため、商品ごとに個別のWebページを作ったり、期間限定のイベントサイトを制作したり、サイトをリニューアルしたりするたびにデザイナーが必要になるため、ニーズが途絶えることはないだろう。
開業にあたっては、画像処理がスムーズにできる高性能なパソコンや、IllustratorやPhotoshopといった専用ソフトが必要になるため、ある程度のコストはかかる。
ただしWebデザイナーだけではサイト構築はできないので、デザインをサイトに実装してくれるプログラマーと組んだり、仕事をもらえるように普段からWeb制作会社とコミュニケーションを取ったりする必要がある。
5.日々進化する市場に挑戦! 「ECサイト運営」
ECサイトとは、Web上で商品を販売するネットショップのことだ。販売するのは商品だけでなくサービスやオークション、コンテンツなど多岐にわたる。
良い商品やサービスを提供することは言うまでもないが、商品を手に取って見てもらうことができないので、より魅力的に見せる写真や文章、より多くの人に見てもらうためのSEO対策や、マーケティング知識なども必要になる。
商品が物の場合は、店舗同様在庫管理や商品発送なども必要になるが、この部分は外注することもできるので、倉庫スペースなどがなくても運営はできる。
ECサイトには大きく分けて2種類あり、独立したネットショップとしてサイトを開設する方法と、モールに出店する方法がある。モールには、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどがある。
モールはアクセスが集まりやすい反面、競合他社との比較がしやすいため価格競争に陥りやすい。ECサイトをどこで開設するかは、重要な検討事項になるだろう。
自営業の幅を広げるために「資格の取得」も考えよう
一般的な企業に比べると、個人規模の自営業者は社会的な信用性が低い傾向にある。独立したものの仕事が見つからなかったり、営業で相手にされなかったりなど、すでに信用性の低さを実感した方も多いはずだ。
このような悩みを抱えている方は、役に立つ資格の取得を検討しよう。スキルを証明できる資格を取得しておくと、営業先や取引先から信用されやすくなる上に、引き受けられる仕事の選択肢も広がる。
なかでも簿記や中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーなどの資格は、自分自身の起業や経営にも役立つのでおすすめだ。ただし、あまりにも難易度が高い資格を選ぶと、勉強だけで多くの時間を取られてしまうため、無理のない範囲で取得できる資格をピックアップしておこう。
自営業のリスクリターンを考えて参入しよう
会社に属さず自由に働けるのが自営業だが、自営業者の平均年収は420万円とサラリーマンよりも収入が低くなることもある。一方で、収入には上限がないという大きな魅力がある。参入する場合は、業種や運営方法などをよく検討してほしい。ただし、自営業者は会社員よりもお金のリスクが大きいので、会社員よりも多く稼いで対策を講じておく必要がある。
自営業でよくある質問
Q.自営業とはどういう意味?
A.自ら事業を営み収入を得る者を指す。法人・個人を問わず事業規模にも制限はない。時間や場所に縛られない働き方をするフリーランスも自営業者といえる。資格を活かした職種には、開業医や弁護士、税理士などの士業があり、サービス業としては美容院やネイルサロン、カフェ、八百屋、パン屋などさまざまだ。
Webデザイナーやライターなども自営業者であり、自分の持つ知識やスキル・専門性を活かした働き方に向いているともいえる。
Q.自営業と経営者の違いは?
自ら事業を営み収入を得る者が自営業となるため、自営業も経営者であることに変わりはない。法人であれば原則として代表取締役や専務・常務などの会社役員が経営者となる。会社役員は、法人と委任契約を結ぶことで業績や管理能力などに応じて設定された契約に基づく報酬を受け取るのが一般的だ。一方、個人経営の自営業は自ら働いて得た利益が自分の収入となる。
会社役員は、法人に使用される者として社会保険が適用されるところも大きな違いだ。
Q.自営業と個人事業主の違いは?
A.自営業は、自ら事業を営み収入を得る者を指すため、法人・個人を問わず、事業規模にも制限はない。時間と場所にとらわれない働き方をするフリーランスも自営業の一種といえるだろう。個人事業主は、税法上の区分として法人化せずに個人で事業を営む者を指すため、株式会社や合同会社などの法人として設立された組織と区別して呼ぶことが多い。
法人を設立していなければ自営業だけではなくフリーランスも個人事業主となる。
Q.自営業の特徴は?
A.自営業の特徴は「自分で自由に決められる」ことである。会社員は、就業規則などで働き方が決まっているが、自営業は働く時間・場所・ルール・報酬などを自分の裁量ですべて決められるのが最大の特徴だ。ただし自営業の場合は、経営手腕がそのまま自分自身の収入につながるため、「お金のリスク」を自分で負うことも大きな特徴といえる。
会社員のように有給休暇はないため、病気やケガの補償、老後の資金も自分で備えなければならない。
Q.自営業とは何?
A.自営業とは、簡単にいうと会社などの組織に属さず自分で事業を営むことだ。また自営業を営む人のことを「自営業者」と呼ぶ。自営業や自営業者というと「個人事業」「個人事業主」のことを指すと考える人も多いかもしれないが、自営業や自営業者については、法的に明確な定義はない。
自営業や自営業者とは、個人事業主か法人の代表者かにかかわらず、自ら仕事を行って収入を得る者を指す。時間や場所に拘束されない働き方をする人なども自営業者といえるだろう。
また会社員の場合、社会保険や税金の手続きは勤務先の会社が行ってくれるが、自営業の場合は自分で行う必要がある。そのため自営業者には、一定の社会保険や税金の知識が必要となるため、注意したい。
Q.フリーランスと自営業の違いは?
A.自営業と似ている言葉に「フリーランス」がある。自営業とフリーランスは、同一の意味で使われることもあるが、厳密には以下のような違いがあるため、押さえておきたい。
・自営業とは
自分で事業を営むことを指す言葉で、主に働き方を意味する。ここでいう「自分」とは、個人だけでなく法人(代表取締役など)も含む。
・フリーランスとは
特定の企業や組織などに属さず働く人のことを指し、こちらも働き方を指す言葉である。自身の知識やスキルを活かして収入を得ている人のことだ。一般的には、個人を指すことが多い。
つまり自営業とフリーランスでは、簡単にいうと働く時間や場所について以下のような違いがある。
・自営業:時間と場所が決まっている働き方
・フリーランス:時間と場所にとらわれない働き方
Q.自営業にはどのような職業がある?
A.自営業には、さまざまな職業がある。自営業の多くの場合は、資格やスキル、これまでの経験などを活かして起業する傾向だ。自営業といえば、小売業などのお店の経営を思い浮かべる人も多いかもしれないがそれだけではない。例えば、医者や弁護士、税理士なども自営業であるし、ライターやデザイナーなども自営業である。
インターネットの普及や働き方改革などの施策により、自営業者は増えており、その職業の種類も増加傾向だ。例えば、美容院やカフェの場合、ネイルサロンなど自宅の一室を仕事場にしているケースも多い。またプログラミングやEC運営などパソコンを使って仕事をする自営業もいる。人を雇って複数人で事業を行うケースもあり、個人・法人を問わず規模もさまざまだ。
Q.自営業の税金は?
A.自営業者は、自分で税金の手続きを行う必要がある。自営業者の税金で主なものは「所得税」「住民税」「個人事業税」の3つだ。
・所得税
所得税とは、所得金額に応じて国に納付する税金である。所得とは、簡単にいうと収入から経費を差し引いた「もうけ」のことだ。1年間(1月1日~12月31日)に発生したすべての収入から経費および所得控除を差し引いた課税所得に、税率を乗じて税額を計算する。
・住民税
住民税とは、自身が住む都道府県や市区町村に納める税金のことだ。住民税には、所得に応じて課される「所得割」と所得にかかわらず決まった金額を納付する「均等割」の2つがある。住民税は、前年の所得に対して課税するもので1月1日現在の住所地の市区町村に納付するのが特徴だ。また納付時期は、所得があった年の翌年の6月ごろと支払いまでにタイムラグがある。
・個人事業税
個人事業税は、事業を行う事務所などがある都道府県に納付する税金のことだ。納付しなければならない業種(法定業種)によって3~5%の税率が定められている。
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