節目は未来への分岐点、さぁ何を選ぶ?
日本M&Aセンターがお手伝いするM&Aは、後継者不在による事業承継型M&Aだけだと思っていませんか?
実は、ここ数年で若い経営者様からのご相談が急速に増えています。
私がM&A仲介をお手伝いした経営者様も、設立10年といった会社の節目を機に大手企業へのM&Aによるオーナーチェンジを検討され、会社・個人ともに充実した人生を選択されました。
経営者様はまだ30代(40代)なのに、です。
“設立10年”という会社の節目にM&Aを検討される経営者の方は実際増えています。
なぜ会社の節目でのM&Aが増えているのでしょうか?
実際の経営者様の声から、その背景を紐解いていきたいと思います。
設立10年という節目で経営者が思うこと ~あるご相談事例~
まず、私がとあるオーナー様から頂いた言葉を紹介させてください。
「自分自身の強い創業の想いからスタートし、仕事が増え、そして社員が増えと、小さいながらも組織が出来上がったというのが流れです。多くの経営者がそうだと思います。
10年を迎えるまでには色々と苦労やピンチがありました。その時に何を思ったかというと「社員を食わせなくてはならない」ということです。社員の給料を稼ぐために動いてきた感覚は多くの経営者が持っていると思います。
10年等の節目を迎えている経営者は、「自分自身の想いを大切に、社会との接点の中で自分に何ができるか?」と考え、「チャレンジできる環境を再び持ちたい」という欲求に駆られる人が多いのではないでしょうか。」
このオーナー様は、昨年M&Aによって会社を譲渡し、大手企業のグループ企業の経営者として、親会社のリソースも活用し新たなチャレンジをされています。
最初に当社に相談した時を振り返って、上記のような言葉をおっしゃりました。
夢をもって創業した会社をがむしゃらに経営してきた結果、実績が積み上がり、組織が出来上がり、従業員が増え、そして比例するようにオーナー自身の責任は増していきます。
「責任を果たすために会社を成長させなければ」
「新しい事業に取り組まなければ」
「そのためには人が足りない」
「だから自分が動かなければ」
このような資金繰りやマネジメントといった“社長業”で、オーナー様の頭の中はいっぱいです。もちろん、体は一つしかありませんから、どんなに考えが巡ってもできることには限界があります。
M&Aがもたらすメリット
M&Aによるオーナーチェンジを経験した経営者の皆様は、「M&Aで会社や自分が次のステージに進むことができた」と口を揃えます。
「連帯保証や資金繰りといった業務から解放され、自然と新しいアイデアが浮かぶようになった」
「引き続き代表取締役として続投でき、親会社のリソースを活用して会社の成長実現への一歩が踏み出せた」
「子育てと経営のバランスを実現することができた」
「新しい事業パートナーと出会い、チャレンジが出来る土壌を手に入れることができた」
これらは私が実際にオーナー様から頂いた言葉です。
M&Aは従業員にとっても
「ボーナスが出るようになった」
「大手企業のグループ会社社員になれたので家族が安心した」
「グループ会社に出向しキャリアの幅が増えた」
などのメリットがあります。
買い手側も大きな魅力を感じる設立5~10年前後の企業
設立10年前後の企業は、実は買い手にとっても魅力的です。
ここでもうひとつ事例をお話ししましょう。
ある上場会社が、新規事業として異業種の会社(設立12年目)との資本提携を検討していました。
そしてデューデリジェンス(DD)のフェーズに入ったときの事です。買い手企業側にとっては初めての異業種M&Aでしたので、かなり入念なDDを実施されました。
終盤に差し掛かったとき、買い手企業側からこんなコメントがありました。
「10年以上きちんと経営をしてしっかり利益を出していらっしゃるから、心配ないでしょう」
何気ないコメントでしたが、まさに買い手企業が設立10年の企業を魅力に感じるポイントの一つがこの言葉の裏にあるのではないでしょうか。
買い手企業にとって、草創期でまだ経営が不安定な企業との資本提携は様々な面で不安が残ります。
一方で、設立10年前後の企業との資本提携は「ビジネスモデルが確立し収益性が見えやすい」という点で“安心感”があります。また、新規事業のスピードスタート、新たな経営視点の取り入れ、事業責任者以下チームごとグループインできるメリットもあります。
縄田 桂介(なわた・けいすけ)
福岡県朝倉市出身。中央大学卒業。住友商事株式会社で鉄鋼製品の海外及び国内営業、海外事業会社管理や国内中堅・中小企業の海外進出支援に従事した後、当社入社。従来の後継者不在の事業承継型のM&Aだけでなく、企業の創業期~成長期へのステージアップの為のM&Aを多く手がける。