海外駐在員として女性が赴任している企業はわずかに19%で、海外駐在員としての女性の起用はまだあまり進んでいないことが、ジェイ エイ シー リクルートメント(東京・千代田、田崎ひろみ社長)が実施した「海外女性駐在員」に関する調査で明らかとなった。

女性海外駐在員が派遣されているのは、わずか19%

海外子会社で駐在員として赴任する女性が「1人以上いる」と回答した企業は19%だった。業種別にみると、製造業13%、非製造業26%で女性が駐在員として赴任している。

親会社である日本本社における女性活躍推進の取り組みの有無を尋ねたところ、77%が「行っている」と回答したが、女性駐在員の派遣の有無との相関関係は見られなかった。

また、海外拠点内でも女性活躍推進の取り組みを行っている企業は41%にとどまった。

男女問わず海外駐在員の派遣について、現状で企業が課題視していることを聞くと、「海外駐在に適した資質を持つ人が少ない」(26%)、「社内に海外駐在希望者が少ない」(25%)が上位を占め、駐在の条件よりも駐在員の候補となる人材について課題を抱えていることがわかった。

【海外駐在員の派遣について課題視していること トップ5】
海外駐在に適した資質を持つ人が少ない 26%
社内に海外駐在希望者が少ない 25%
特に現状課題視していることはない 12%
海外駐在員の任期が長期化しがち 10%
海外駐在を希望する人に対して、充分な機会(赴任先)が足りていない 6%

海外駐在員の派遣に関してさまざまな課題を感じている一方で、海外駐在員の派遣に関する「現状と方針を変える予定はない」としている企業が全体の約3割を占めた。

【海外駐在員の派遣に関する方針】
現状と方針を変える予定はない 30%
海外駐在派遣者のローテーションを活発化させていく 19%
海外駐在派遣人数を減らしていく予定 14%
海外駐在人数を増やしていく予定 13%
若手や女性の海外駐在員を積極的に増やしていく予定 9%
海外駐在派遣要員に対する研修を強化していく 9%
その他 6%

今回の調査からジェイ エイ シー リクルートメントは海外駐在に関して「女性の意思や環境に頼るのではなく、企業の積極的な支援や、以前からある男性向け制度・規程の見直しが必要」と指摘した。

また、「“女性活躍推進”、“海外事業要員確保”の2つの課題に対し、女性海外駐在員の創出は今後注目されるべき解決策」とした。

調査は、2023年6月~9月、日系海外子会社221社を対象にWeb上のアンケート、またインタビューを用いて実施した。(インタビュー人数は、日系企業から派遣されている現役海外女性駐在員5人)

その他の人材採用や人事関連の記事はこちら