矢野経済研究所
(画像=New Africa/stock.adobe.com)

2022年度の国内市場規模(小売金額ベース)は、前年度比102.2%の1兆1,204億円と推計

~外出に伴う消費行動の活況によりスポーツシューズ市場が好調に推移~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の靴・履物小売市場を調査し、商品アイテム別や主要販売チャネル別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

靴・履物小売市場規模推移・予測(小売金額ベース)

矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

靴・履物のアイテム別市場規模推移(小売金額ベース)

矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

2022年度の国内靴・履物小売市場規模は、小売金額ベースで前年度比102.2%の1兆1,204億円と推計した。新型コロナウイルス感染症の影響により中止や延期、縮小の措置がとられてきた学校行事や部活動など様々なイベントが再開され、学生需要や外出に伴う消費行動が活発化してスポーツシューズ市場が活気を取り戻したことや、紳士靴および婦人靴ともに防水性やクッション性、通気性を備えた機能性シューズが好調な売れ行きを示した。

​国内靴・履物小売市場はビジネスシーンにおける服装のカジュアル化の流れにより「革靴離れ」や「パンプス離れ」といった消費者の行動変容が起きており、それに伴うスニーカーの需要増加による単価下落などにより2016年度を境に縮小傾向が顕著となっていた。その後、コロナ禍での大幅な縮小を経て、市場規模は緩やかに回復に向かっている。

2.注目トピック

循環型サービスの実現を目指す動きが広がる

世界的にサステナビリティへの意識が高まるなかで、国内の靴・履物事業者においても生産工程でのCO2排出削減や環境負荷を軽減する素材開発、製品のトレーサビリティ(流通経路の追跡確認)、リサイクル等への取り組みが始まっている。ペットボトル利用素材等のスニーカーの開発や、残革でチャーム・ノベルティの作成など具体的な取り組みが進められている。また、下取り靴の途上国への寄付や、リセールビジネスの強化、リサイクル強化による在庫適正化、廃棄品の削減、レンタルサービスの提供に注力するなど、サステナブルな素材や売るだけではない「循環型サービス」の実現を目指す動きが広がっている。

3.将来展望

2023年度の国内靴・履物小売市場規模は、小売金額ベースで前年度比102.4%の1兆1,477億円と予測した。原材料高騰に伴う製品価格上昇などマイナス要素がある一方で、スポーツシューズを中心とした機能性シューズの好調やインバウンド需要の回復などによりプラスに推移すると見込む。特にコロナ禍で消失したインバウンド需要の本格的な回復が期待される。

2022年10月11日に海外からの個人旅行の受け入れとビザ免除措置が再開されて以降、訪日客数は急激に増加している。日本政府観光局(JNTO)によると、2023年1月の訪日客数は約150万人であり、コロナ禍前の2019年1月比55.7%まで回復している。都心部に展開するリテーラー(小売業者)を中心に免税売上の増加が報告されており、インバウンド消費の復調が同市場の回復を後押ししている。このような背景のもと、特に革製の紳士・婦人靴の需要が急速に減少しているものの、毎日を快適に過ごすための機能性シューズの人気の高まりや、環境負荷の軽い商品を選ぶサステナブルな消費スタイルの浸透、インバウンド需要の回復といったマーケットにとっての好材料も多く、今後の市場規模拡大に期待する。

調査要綱


1.調査期間: 2023年7~9月
2.調査対象: 日本国内の靴・履物、及び、靴資材など靴業界に携わるメーカー、卸、小売業、 ならびに周辺関連業者、輸出入業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
<靴・履物小売市場とは>
本調査における靴・履物市場とは、紳士靴・婦人靴・子供靴・並びにスニーカーも含む全てのスポーツ用シューズに加え、その他の履物類(長靴や作業靴等)も含めた全ての靴・履物類を対象として算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
紳士靴、婦人靴、子供靴、スポーツシューズ(スニーカー含む)、その他の靴・履物類(長靴、作業靴等)

出典資料について

資料名2024年版 靴・履物産業年鑑
発刊日2023年09月29日
体裁A4 357ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

お問い合わせ先

部署マーケティング本部 広報チーム
住所〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号03-5371-6912
メールアドレスpress@yano.co.jp

©2023 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。