「メディアの力で、地域に、賑わいを興す!」紙媒体とWebメディアの融合で情報発信力を強化 播磨リビング新聞社(兵庫県)

目次

  1. 播磨地域で生活情報紙『リビング新聞』を発行 明石市にも進出
  2. 新たな読者層を開拓するためWebメディア事業を強化
  3. 地域情報サイトを立ち上げ、新鮮な情報を機動的に配信
  4. Webメディア事業は順調に成長 紙媒体との相乗効果創出を図る
  5. 新規に動画制作事業も展開 積極的に新技術を導入
  6. オンデマンドプリンターで編集業務をバックアップ
  7. デジタル技術で働き方改革を推進。クラウドにより働き方改革を実践
  8. メディアの力で 地域に 「賑わい」を興す!を実践する播磨リビング新聞社
中小企業応援サイト 編集部
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兵庫県南西部の姫路市に本社を構える株式会社播磨リビング新聞社は、2023年4月に設立25周年を迎えたメディア企業だ。メインである生活情報紙『リビング新聞』の発行とWebメディアをバランスよく組み合わせながら事業を展開している。播磨リビング新聞社の取り組みは、メディア企業が地域を盛り上げながら成長を図るロールモデルのひとつとなっている。(TOP写真:播磨リビング新聞社総務部の中島課長)

播磨地域で生活情報紙『リビング新聞』を発行 明石市にも進出

リビング新聞は女性の視点で女性のための情報を提供するフリーの生活情報紙。様々なメディア企業がネットワークを形成し、全国主要都市圏43エリアで計約614万部を発行している。1998年設立の株式会社播磨リビング新聞社は、兵庫県南西部の播磨地域で『リビング姫路』『リビング加古川』を発行し、地域に根ざした情報を発信してきた。更に2022年4月、若い世代の人口が急増している兵庫県明石市内に明石支社を新設し、同年9月から『リビング明石』の発行も始めている。

「メディアの力で、地域に、賑わいを興す!」紙媒体とWebメディアの融合で情報発信力を強化 播磨リビング新聞社(兵庫県)
播磨リビング新聞社が発行しているリビング新聞

設立当初から「メディアの力で地域に賑わいを起こすこと」を理念に、リビング新聞の発行を中心にカルチャー教室の運営、出版など様々な事業を展開している。姫路リレーマラソン、日本酒女子会、歌声サロンといったイベントの企画、運営も行っている。「地域に育てていただいた企業として、地域が必要としている事業に力を入れていきたいと考えています」と取材に応じた播磨リビング新聞社総務部の中島課長は話した。

新たな読者層を開拓するためWebメディア事業を強化

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2017年10月に開設したのが、播磨地域の地域情報サイト「TANOSU」

リビング新聞は読者の支持も高く収益も堅調だが、紙媒体を巡る環境は、パソコン、スマートフォンやSNSなど新しい情報伝達手段の普及に伴って大きく変化している。播磨リビング新聞社もリビング新聞事業で培ってきた編集力を生かして、ニュース価値が高く信頼できる情報をタイムリーに読者に届けることを重視し、Webメディアの充実を図っている。

「紙媒体の読者層は全国的に高齢者が中心になっています。メディア企業は5年先10年先を見据え、新しい読者層を開拓していかなければなりません。生き残っていく上でWebメディアの強化は避けて通れない道と思っています」。中島課長は表情を引き締めてそう語った。

播磨リビング新聞社には、現場の挑戦を上層部が積極的に後押しする社風があるという。「新しい事業に取り組んで想定通りの結果が生み出せなかったとしても、挑戦によって蓄積したノウハウや人脈は次の事業に生かすことができます。手をこまねいて何もしないことこそ、最大のリスクと思っています」と中島課長はWebメディア事業をはじめとするこれまでの取り組みを振り返りながら話した。

地域情報サイトを立ち上げ、新鮮な情報を機動的に配信

播磨リビング新聞社は2016年、プロジェクトチームを立ち上げ、全社規模でWebメディア事業に取り組むことを決めた。専門部署を創設し、事前に50以上の記事を揃えるなど入念な準備を進めた上で2017年10月に開設したのが、播磨地域の地域情報サイト「TANOSU」だ。カフェ、パン、グルメ、イベント、お出かけ、ライフスタイルのジャンルごとに地元の記者が厳選した情報をほぼ毎日配信している。

「Webメディアはインクや紙といったコストをかけることなく、写真を豊富に使って幅広い層に情報を届けることができます。読者やサービス利用者の反応を見ながら機動的に修正や変更ができるのも大きな利点です」と中島課長。Webサイトへのアクセス件数増を図るSEO(検索エンジン最適化)対策やSNSの活用にも力を入れているという。

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ほぼ毎日更新している播磨リビング新聞社運営の「TANOSU」

Webメディア事業は順調に成長 紙媒体との相乗効果創出を図る

「メディアの力で、地域に、賑わいを興す!」紙媒体とWebメディアの融合で情報発信力を強化 播磨リビング新聞社(兵庫県)
2021年4月にオープンした「tanosumu」

順調にWebメディア事業は成長している。「TANOSU」が順調にアクセス数を伸ばしたことを受けて、播磨地域で家の購入を考えている人と地元の住宅会社をつなぐことを目指した住宅情報サイト「tanosumu」を2021年4月に開設した。インテリアやグッズの紹介など家づくりや暮らしに役立つ幅広いコンテンツを提供している。2022年11月には神戸地域の最新のカフェ、グルメ、店舗の情報を配信する「KOBERU」をスタートした。

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2022年11月オープンした「KOBERU」

また、リビング新聞にQRコードを掲載して、Webメディアのサイトへの誘導を図る一方、過去に発行したリビング新聞のデジタル版も公開している。

姫路城などの観光資源に恵まれた播磨地域は外国人観光客の人気も高く、地域発の情報に対するニーズは高い。 売上高に占めるWebメディア関連事業の割合は現時点では紙媒体に及ばないが、今後、リビング新聞と同等の事業規模に育てていきたいという。 

「各地域のメディア企業との連携も検討しています。今後も様々な企画を考えてキラリと光る地域の情報を発信することで読者層を拡大していきたい」と中島課長は抱負を述べた。

新規に動画制作事業も展開 積極的に新技術を導入

デジタル動画の配信需要の増加に対応するため新規事業として2020年から動画制作事業も始めている。自治体や企業からは、ブランディングや商品プロモーション用の制作依頼が増えているという。撮影用のドローンを所有し、360度撮影が可能な3Dスキャンカメラを使った動画制作も行っている。「あらゆるニーズに対応できるように最先端の機器を積極的に導入しています。今後、動画制作の需要は拡大が見込めるので力を入れていきたい。デジタル技術は日進月歩で進化しています。従業員一人ひとりがしっかりとアンテナを張って、新しい技術の情報収集に取り組んで行かなければならないと思っています」と中島課長は話した。

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動画を制作する様子

オンデマンドプリンターで編集業務をバックアップ

編集部門では、高速デジタル印刷機能を備えたオンデマンドプリンターも導入している。プリンターには高いレベルのカラーマネジメント機能、印刷ジョブ管理機能、レイアウト・編集機能を備えたソフトウェアが搭載されており、質の高い紙面づくりに欠かせない存在になっているという。

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播磨リビング新聞社が活用しているオンデマンド印刷機。校正紙を出力したところ

デジタル技術で働き方改革を推進。クラウドにより働き方改革を実践

コンテンツ制作だけでなく、バックオフィスの部門でもデジタルによる業務改革を進めている。2022年3月から業務用アプリケーションを最新のバージョンに更新した。以前は社内の各部署がアプリケーションを個別に導入していたため、バージョンが統一されていなかったという。互換性の低さから仕事が滞ることがあったため、最新バージョンに統一することで仕事を進めやすくした。

「メディアの力で、地域に、賑わいを興す!」紙媒体とWebメディアの融合で情報発信力を強化 播磨リビング新聞社(兵庫県)
業務用アプリケーションを使って作業をする様子

業務用アプリケーションの更新と同時にクラウドストレージの運用も開始した。クラウドストレージを活用することで、社外にいてもスマートフォンやパソコンなどの端末から本社のデータベースにアクセスできるようになったので、資料を確認するためだけに出先から本社に戻らなければならないケースが減り、時間を有効活用できるようになった。データの外部漏洩などの原因になるUSBメモリを使うケースも減らすことができているという。

「クラウドが利用できるようになったのは本当にありがたいですね。クラウドストレージのおかげで業務の効率化だけでなくデータのバックアップ体制も強化することができました。いつでもどこでも仕事ができる環境づくりにこれからも力を入れていきたい」と中島課長。

メディアの力で 地域に 「賑わい」を興す!を実践する播磨リビング新聞社

「メディアの力で、地域に、賑わいを興す!」紙媒体とWebメディアの融合で情報発信力を強化 播磨リビング新聞社(兵庫県)
播磨リビング新聞社の外観

大手メディアが地域の編集体制を縮小する中で、地域に根ざしたメディアの役割はこれまで以上に大事になっている。中島課長は「地域には発信されないまま埋もれてしまっている情報が数多くあります。宝石のような情報を掘り起こして幅広く届けていきたい。媒体が紙であってもWebであっても、対象を深く掘り下げて突き詰めた情報が、読者の心を動かすことに変わりはありません。これからもこの本質を忘れることなく大事にしながら事業に取り組んでいきます」と熱く語った。

播磨リビング新聞社の社員が伸び伸びと仕事をしている背景にあるのが
我々の志=メディアの力で 地域に 「賑わい」を興す

「新しい取り組み」の行動指針=入り口で否定しない 先入観を持たない 完璧を求めない やってから判断する
だ。

これらの考え方が全社員に浸透していることが、様々なコンテンツを生み出して挑戦し続ける企業競争力の源泉になっている。地域で存在価値がある企業は共通のミッション(我々の志)を所有しているが、播磨リビング新聞社のように「新しい取り組み」の行動指針まで明確にしているケースは少ない。企画力と実践力を兼ね備えた播磨リビング新聞社のこれからの取り組みに期待したい。

企業概要

会社名株式会社播磨リビング新聞社
本社兵庫県姫路市安田一丁目58番地4
HPhttps://harimaliving.co.jp
電話079-224-0755
設立1998年2月
従業員数45人
事業内容新聞発行業、Web事業、出版業、カルチャー教室の運営、上記に附帯関連する一連の業務