カムバック採用や退職者コミュニティを活かすアルムナイネットワークを構築している企業は、採用がうまくいっている割合が高いことが、リクルート(東京・千代田、北村吉弘社長)の「企業の人材マネジメントに関する調査 2023」で明らかとなった。

アルムナイネットワークは有効な人材獲得手法のひとつ リクルート調べ

企業の人事担当者に「現在実施している採用手法」を聞くと、アルムナイ(企業の離職者・退職者)ネットワークを通じた採用を実施していると答えた企業は1割強(12.3%)となった。

【現在実施している採用手法】(複数回答)
ハローワーク   51.1%
自社採用サイト  46.3%
人材紹介     41.2%
求人広告メディア 37.6%
転職フェア・イベント 29.0%
インターンシップの活用 26.8%
リファラル採用(社員等の紹介) 24.4%
ダイレクトリクルーティング 24.0%
ヘッドハンティング 19.6%
SNS(ソーシャルネットワークサービス)活用 18.8%
アルムナイネットワークからの採用 12.3%
その他       0.6%
あてはまるものはない 3.6%

アルムナイネットワーク活用とこの1~2年の人材採用の状況の関係を聞いた。人材採用の状況については、「人員数」と「人材レベル(求める人材要件に合致する人を採用できているか)」という二つの観点で見ていく。

まず、「人員数」という観点で「十分に採用できている」、「ある程度採用できている」と答えた割合は、アルムナイ採用を行っていない企業が31.6%であるのに対し、アルムナイ採用を行っている企業は42.9%となった。

次に、「人材レベル」という観点では、「十分に採用できている」、「ある程度採用できている」と答えた割合は、アルムナイ採用を行っていない企業24.6%、アルムナイ採用を行っている企業は34.5%と、こちらでも差が表れた。

近況についてリクルートでは、「アルムナイネットワークを通じた採用を行っている企業の方が、行ってない企業よりも採用がうまくいっている」としており、その要因については「元社員を採用するため、商流や社風を理解しておりマッチ度が高くなりやすい」、「元社員は、異なる環境での経験により、新たなスキルや視点を獲得しており、担える仕事の幅が広がっているケースが多く、企業側も活躍が想像しやすい」などをあげた。

退職した従業員の再雇用、いわゆる「出戻り社員」を受け入れているかを聞くと、「受け入れている」と答えた企業は半数以上(55.5%)に達した。

【出戻り社員の受け入れを行っているか】
出戻り社員を受け入れている 55.5%
出戻り社員を受け入れていない 34.3%
分からない 10.2%

この結果についてリクルートでは、「アルムナイネットワークを明確に採用手法としては認識していないものの、実質的にはアルムナイ採用を半数以上の企業が行っていると言える。今後、戦略的にアルムナイネットワークを通じた採用の仕組みを整備することで、有効な採用チャネルとして活用できる可能性がある」と指摘する。

アルムナイネットワーク構築に取り組んでいるか聞くと、「取り組んでいる」企業は3割を超えた(31.0%)。また、アルムナイネットワークの構築に「取り組んでいない」企業のうち、「取り組む予定がある」と答えた企業は約1割でだった(11.2%)。

アルムナイネットワークの構築に「取り組んでいる」と答えた割合は、主に日本国内で展開している企業では27.6%であるのに対し、日本に加えてグローバルでも展開している企業では43.5%に達した。

世界の動向についてリクルートでは「一般的に、欧米企業の方が、人材採用が厳しい労働市場に直面していることもあり、アルムナイネットワークの構築や活用が進んでいるため、国内では外資系企業やグローバル展開する企業が先行して活用を進めている」と分析する。

2023年3月29日~31日、全国の人事業務関与者(担当業務2年以上)を対象にインターネットで実施し、従業員規模30人以上の企業に勤める2761人の有効回答を集計した。

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