食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

2023年夏の豚肉需給は、折からの猛暑による出荷頭数の減少に加えて、台風や集中豪雨といった天候要因に振り回された。とくに盆休み期間後半に台風7号が近畿地方を縦断したことで、店舗休業を余儀なくされるなど、末端消費にも大きな影響を受けた。

一方、出荷については、暑熱や疾病の影響で増体率が悪化しており、とくに8月前半の1日当たりの全国出荷頭数は、稼働8日間のうち半分の4日間で6万頭を割るなど頭数がそろわず、8月4日と7日には関東3市場(全農建値)で上物税抜き700円台を付け、この時期としては異例の高値相場となった。この状況は盆休み明けの8月後半も続き、供給不足からジリ高となり、8月最終週は再び700円を突破した。

気象庁が8月31日に発表した季節予報によると、9月2日から10月1日までの1カ月間は全国的に平年より高い気温が予想されるとしている。通常、9月下旬に向かって出荷頭数は増えてくる流れだが、前月と同様、暑熱の影響を大きく受け、例年よりも少なめとなりそうだ。

一方、夏休みの出費の反動と学校給食の再開などから、豚肉の末端需要は堅調に推移するとみられる。絶対量が少ないため、9月前半は上物税抜きで600円台後半を維持しつつ、9月19日以降の後半も例年よりは下がらず、600円台半ばを維持するとみられ、月平均は税抜き660~680円の高値を付けると予想する。

〈供給見通し〉
農水省の肉豚出荷予測によると、9月の全国出荷頭数は前年同月比2%減の132.8万頭と予想されている。1日当たり平均6.6万頭となり、前年よりも1,460頭少ない計算となる。暑熱の影響だけでなく、地域によっては呼吸器系の疾病も聞かれ、増体率の低下や事故率の増加につながっているようだ。

例年ならば、猛暑が続く前半は少なめで推移し、朝晩の気温が低下してくる彼岸以降は増加してくる流れにあるが、1カ月通して暑い日が続くことから、後半の出荷も流動的だ。さらに、佐賀県で豚熱(CSF)が発生したため、万が一、九州で感染が拡大した場合などは産地の切り替えなど混乱も懸念される。

農畜産業振興機構の豚肉需給予測では、9月のチルド豚肉の輸入量は3万t(前年同月比2.7%増)、フローズンが4.4万t(前年同月比0.9%増)とみている。チルドは外貨高で北米産の輸入量は抑え気味だが、価格優位性のあるメキシコ産の増加で3万t台を維持する見込みだ。輸入品は国内在庫が多く、庫腹がひっ迫しているため、9月以降のフローズンの輸入量も少なめと予想される。

〈需要見通し〉
8月の末端需要は中部位に加えて、スソ物も学校給食の休みの関係で荷動きが伸び悩んでいた。ところが、出荷頭数の少なさと相場の乱高下から、盆休み前後からカタロース、バラなど中部位の引合いが強まり出した。数が足りないため、一部で関東から関西への地方送りも目立っている。

さらに、豚熱の発生拡大に備え、関東の一部企業では、パーツのバラシを避け、余剰玉を九州や関西地方に送る動きもあるようだ。一方、量販店では9月から棚替えが進んでいくため、朝晩の気温が下がってくる月後半にかけてカタロースやバラの引合いが強まってくるとみられる。ウデ・モモも学校給食の再開に加えて、節約志向から量販店からの小間材向けの需要が一段と強まるとみられる。

〈価格見通し〉
9月の豚枝肉相場は、暑熱や疾病の影響による出荷頭数の減少により、基本的には高値が継続する見込みだ。すでに9月1日と4日は関東3市場でそれぞれ上物税抜き701円、714円を付け、前年よりも100円以上高値にある。

今後、彼岸(20日)前後から出荷が増えて、多少は前年との価格差が縮小するものの、月後半にかけても前年相場を上回って推移するとみられる。このため、出荷減が続く月前半は税抜きで600円台後半から700円で推移、「敬老の日」を含む三連休明けからは緩んで650円台半ばとみられる。もっとも、月間通して出荷頭数は少ないとみられ、月間平均では660~680円と異例の高値相場が続くと予想される。

〈畜産日報2023年9月5日付〉