懲戒解雇では退職金を「全く支給しない」が63.2%にのぼっていることが、労務行政研究所が実施した「企業における懲戒制度の最新実態」の調査で明らかとなった。
30のケースが起こったと仮定して、被懲戒者にどのような処分をするのか、過去の事例等から判断して回答してもらったところ、最も重い懲戒処分である「懲戒解雇」を適用するという回答が多かったケースは、順に「売上金100万円を使い込んだ」(75.9%)、「無断欠勤が2週間に及んだ」(74.1%)、「社外秘の重要機密事項を意図的に漏えいさせた」(69.4%)であった。
【「懲戒解雇」を適用する割合が多いケース トップ5】
売上金100万円を使い込んだ 75.9%
無断欠勤が2週間に及んだ 74.1%
社外秘の重要機密事項を意図的に漏えいさせた 69.4%
業務に重大な支障を来すような経歴詐称があった 60.2%
満員電車で痴漢行為をして鉄道警察に捕まり、本人も認めた 59.7%
解雇における退職金の支給状況を聞くと、諭旨解雇では退職金を「全額支給する」が30.5%と最も多く、「全額または一部を支給する」4.7%と「一部支給する」20.0%を合わせると半数以上が何らかの支給を行っている。
【諭旨解雇における退職金の支給状況】
全く支給しない 7.9%
全額または一部を支給しない 4.7%
一部支給する 20.0%
全額または一部を支給する 4.7%
全額支給する 30.5%
退職金制度はない 27.9%
その他 4.2%
一方、懲戒解雇では「全く支給しない」が63.2%と6割以上を占め、「全額支給する」はわずか0.4%、「一部支給する」も1.8%にとどまっている。
【懲戒解雇における退職金の支給状況】
全く支給しない 63.2%
全額または一部を支給しない 4.9%
一部支給する 1.8%
全額または一部を支給する -%
全額支給する 0.4%
退職金制度はない 26.5%
その他 3.1%
懲戒段階の設定数を聞くと、「6段階」が41.8%で最も多く、以下「7段階」28.4%、「5段階」15.6%と続く。
【懲戒段階の設定状況】
3段階 1.3%
4段階 4.9%
5段階 15.6%
6段階 41.8%
7段階 28.4%
8段階 5.8%
9段階 2.2%
設定している懲戒処分の種類を見ると、「懲戒解雇」は100%とすべての企業で設定されており、「譴責」(91.9%)、「減給」(95.9%)、「出勤停止」(98.2%)もそれぞれ9割以上と多い。(複数回答)