2023年3月期決算の2456社のうち、有価証券報告書に「正規雇用の男女賃金差異」を記載した1677社の平均は71.7%で、女性の賃金は男性より約3割低いことが、東京商工リサーチが実施した有価証券報告書の集計で明らかとなった。
2023年3月期の上場1677社の正社員の男女賃金差異(女性の平均年間賃金÷男性の平均年間賃金)は、平均71.7%だった。(数値が100.0%に近いほど賃金差は小さい)
賃金差異は、最多が「70.0%以上75.0%未満」で23.5%だった。次いで、「75.0%以上80.0%未満」が21.8%、「65.0%以上70.0%未満」が18.3%と続く。
記載した上場企業は、入社年次や職位・業務が同じ場合、男女の賃金差はないとしている。
産業別にみると、賃金差異の最小は「運輸・情報通信業」の75.0%。次いで、「サービス業」の74.4%、「小売業」の74.2%。一方、賃金差異の最大は、「金融・保険業」の63.6%で、男女差異が約4割あった。「金融・保険業」は、一般職と総合職のほか、営業報酬の残る企業もあり、男女格差が広がった。
【業種別 正社員の男女賃金差異 最小トップ5】
1位 運輸・情報通信業 75.0%
2位 サービス業 74.4%
3位 小売業 74.2%
4位 製造業 73.0%
5位 電気・ガス業 71.3%
上場1706社の女性管理職比率(女性管理職人数÷全管理職人数)は、平均9.4%で1割に届かなかった。
女性管理職の比率は、最多が「5.0%以上10.0%未満」の388社(22.7%)。次いで「10.0%以上15.0%未満」210社(12.3%)、「2.0%以上3.0%未満」188社(11.0%)の順だった。
政府目標は「30.0%程度」だが、30%以上は73社(4.2%)にとどまり、5%未満だった。
一方、女性管理職比率がゼロは76社(4.4%)で、「製造業」41社、「卸売業」と「小売業」が各9社、「運輸・情報通信業」と「サービス業」が各5社などで、「製造業」が突出して多い。
女性管理職比率を産業別にみると、最高が「サービス業」の19.8%、最低は「建設業」の3.2%だった。「建設業」は、女性管理職比率ゼロが三井住建道路、ナカボーテック、新日本建設の3社あった。
【業種別 女性管理職比率 トップ5】
1位 サービス業 19.8%
2位 金融・保険業 16.1%
3位 小売業 15.1%
4位 不動産業 13.0%
5位 運輸・情報通信業 11.9%