節税とは
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

納税は国民の義務とはいえ、大変な負担です。

せっかく一所懸命働いて得たお金なのに結構な額を税金で持っていかれてしまうのは、残念でもあります。

大切なお金ですから、できるかぎり節税したいものです。

しかし節税方法にも良いテクニックと悪いテクニックがあり、やりすぎると脱税になるおそれもあります。

節税にはどんなものがあるのか、いろいろな節税方法を良し悪しも含めてわかりやすく解説します。

節税は合法 脱税は違法

節税とは、税務制度にのっとって合法的に税金の額を減らすことです。

国が定めたルールを守っていれば合法的な「節税」ですが、ルールから逸脱して税金を減らすことは「脱税」であり、処罰の対象です。

脱税だと国税庁に判断された場合には、追徴課税などによって通常より多くの税金を納める羽目になります。

節税にもいろいろある

世の中には数多くの節税テクニックがあふれていますが、良いテクニックもあれば悪いテクニックもあります。

実は節税になるとうたわれているテクニックのうち、実に90%ほどは悪いテクニックともいわれています。

悪いテクニックは支出をともなうため、逆にお金が減ってしまうことがあるのです。

▼悪いテクニック① お金が残らない
税金は利益に対して課されますが、利益は「収益‐経費(費用)」で求めます。

つまり経費を使えば使うほど利益は減り、その分節税になります。

そのため、巷では「〇〇を経費にして節税!」などというテクニックがたくさんうたわれています。

しかし、経費にすれば節税になるからとなんでもかんでも購入するのは悪いテクニックです。

逆にお金が減ってしまいます。

たとえば個人事業主の場合の利益100万円の所得税を、費用が違う2パターンで考えてみましょう。

195万円の所得税の税率は5%です。

利益100万円で節税なしの場合

100万円×5%=所得税5万円
税金を支払った残金=95万円

利益100万円で節税のために車50万円を購入

(100-50万円)×5%=所得税2万5,000円
税金を支払った残金=47万5,000円

節税対策で車を購入した場合には、たしかに税金は半額になって節税になっています。

しかし税金を支払った後に手元に残るお金も半分になってしまっています。

車が必要だったなら節税にもなって必要なものも買えてといいことだらけなのですが、そうでないのなら、無駄な車を買って現金を減らしただけになってしまうのです。

節税のためにと要らない買い物を繰り返していてはいつまでたってもお金が貯まらず、結局無駄な出費を増やしただけになってしまいます。

▼悪いテクニック② 借金の返済は経費にならないという罠
たとえば先ほどの例で、手元に現金は残したいが節税もしたいとして車を借入金で買ったとしましょう。

たしかに、その時は手元にお金は残りますし、車を買った分節税もできます。

しかし、その翌年の税負担は逆に増えてしまいます。

意外と知られていないことですが、借入金の元金の返済は費用に含めることができません。

そのため、翌年以降は経費にもできない返済金を支払ったうえで所得税や車の税金を支払わなくはならず、どんどん負担が増していくのです。

良い節税テクニックとは

このように節税テクニックとして広まっている手法の中には、悪いテクニックもたくさんあります。

「みんなやっているから」「節税になるって本に書いてあったから」ではなく、良いテクニックと悪いテクニックを見極める目を養わなくてはいけません。

節税の良いテクニックとは、自分の事業とタイミングにあった節税方法のことです。

みんながやっている方法ではなく、自分の事業や状況をきちんと把握した上で、ベストな方法を選びましょう。

法人の節税テクニック

節税とは
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

自分にとっての良いテクニックを選ぶには、まずどのような節税方法があるのかを知っておく必要があります。

まずは法人の節税テクニックをみていきましょう。

支出なしで節税したいときのテクニック

節税には大きく分けて、支出を伴うものと伴わないものの2種類があります。

お金を使わずに節税したいときには、次のことを行いましょう。

・役員報酬の見直し
・在庫評価の見直し
・給与の見直し

今ある支出の評価を見直すことで経費の額が上がり、結果として節税につながります。

事業の規模によっては、数百万円単位の節税効果があるケースもあります。

この方法は新しい支出が増えるわけではないので、費用をかけずに節税が可能です。

一度は試してみる価値があります。

投資型の節税テクニック

節税にために支出をするのは、正直本末転倒なところがあります。

しかし多少の支出が伴ったとしても、それが将来をみこした投資なら問題ありません。

投資型の節税テクニックとしては、次のようなものがあります。

・社員教育費にあてる
・社員旅行など福利厚生にあてる
・新しい設備を購入する

たとえば社員の資格試験受験代を会社負担としたり社員研修会を会社負担で開催したりすれば、支出が増えて節税になる上、社員の技術も向上します。

社員旅行を企画して費用を会社が負担すれば、福利厚生費の支出が増える分節税になります。

その上、社員の慰安によって日々の業務効率アップも期待できます。

いっそ新しい設備を導入するのも、よい投資型の節税です。

どの分野も設備は日々進化していますから、最新設備なら業務効率は各段に上がって増益が見込めますし社員も仕事をしやすくなります。

保守的節税テクニック

会社経営にリスクはつきものです。

世界的な不景気や大規模災害など、避けることのできないリスクはたくさんあります。

こうしたリスクには、利益がある順調なときにこそ対応しておかなくてはいけません。

いざリスク事案が現実となってからでは何もできませんし、利益がなく経営が苦しいときにリスク対策をしている余裕はありません。

リスクに対応するには次のような備えがおすすめで、これらの支出はよい節税対策にもなります。

・共済への加入
・社会保険への加入

小規模企業共済や中小企業倒産防止共済制度など各種共済に加入しておけば、会社が倒産したときも安心です。

共済にはさまざまな種類があり、従業員のケガなどに対応しているものもあります。

共済への加入は、節税だけでなく従業員のためにもなります。

法人の社会保険への加入は義務ですが、1人会社など小さな会社は未加入のケースも多くあります。

まだ入っていないなら、ぜひ加入しましょう。

社会保険料は経費になるため、節税効果もあります。

中小企業の節税テクニック

節税とは
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

特に中小企業にとって、法人税の負担はかなりのものです。

中小企業は全体の経済状況の影響を受けやすく、大企業からの注文で無理な負担を強いられることもあるため、安定した経営が難しいのです。

そこに法人税がのしかかるのですから、負担は計り知れません。

中小企業こそ節税に力を入れる必要があります。

なによりも安定した経営を目指す

中小企業の節税対策としてなによりも重要なのは、「安定した経営を目指す」ということです。

法人税は前年度の利益に対して課税されるため、前年は大きな利益がでたけれど今年はイマイチという場合、イマイチな経営状態で大きな利益に対する税金を支払わなくてはいけません。

このような厳しい負担を避けるためには、できる限り毎年コンスタントに同じ程度の利益を出すことが大切です。

大きな増益を狙うのではなく、じわじわと右肩上がりの経営を目指しましょう。

決算の前から節税を考える

中小企業にありがちなのが、決算直前になってなんとか節税できないか慌てだすことです。

中小企業は慢性的な人手不足の会社が多いので、日々の業務に精いっぱいで、決算など後回しになってしまうのはわかります。

しかし直前になって慌てても、できる節税対策といえば領収書を1枚でも多く探して計上することくらいに限られてしまいます。

場合によっては税理士に依頼するなどして、できるだけ早めに決算準備を始めましょう。

だいたい決算2カ月前を目安に動き始めれば、余裕をもって節税対策を行うことができます。

まずは支出を全部計上しよう

中小企業の場合、支出をすべて計上するだけでも節税対策になることがあります。

領収書をもらい忘れたり帳簿から漏れていたりと、なにかと忘れられている支出が多いものなのです。

たとえば、次のようなものを忘れていないかチェックしてみましょう。

・社長の自宅の家賃
・仕事に使った個人の携帯電話の料金
・出張費
・交通費
・駐車場代
・お客さんと飲んだコーヒー代

全てが経費にできるわけではありませんが、仕事に使ったものであれば何割かは経費に計上できることが多いです。

わずかであっても大切な経費ですから、余さず決算に入れましょう。

保険契約もおすすめ

法人用の保険を契約するのも、よい節税対策になります。

保険はリスクへの備えにもなるため、会社の将来のためにもおすすめです。

たとえば中小企業倒産防止共済に入れば、保険料を経費にすることができます。

その上、中小企業によくある取引先の倒産リスクに備えることもできるため、会社にも社員にも安心です。

絶対にやってはいけないこと!

絶対にやってはいけないことは、不必要な物の購入や無駄な交通費の支出です。

「経費さえ増やせば節税になるでしょう」と、要らない部品や無駄な出張に支出してしまうケースがありますが、これは税務署にバレるおそれが高いです。

税務調査の対象になることもあり、場合によっては追徴課税のリスクも伴います。

むやみに支出を増やすのではなく、投資や保険など正当な理由での支出を増やしましょう。

ほかにも、親族を役員や従業員にして報酬を支払うケースもありますが、急にやるとバレますし実際に仕事をしていないと問題になります。

注意してください。

個人事業主の節税テクニック

個人事業主の税金は法人と名目は異なりますが、同じように利益に課税されます。

個人事業主は法人と違って経費にできる範囲が小さいので、より上手な節税テクニックが必要です。

まずは青色申告にしよう

個人事業主の節税の基本は、青色申告にすることです。

青色申告とは所得税の申告方法のひとつです。

通常の申告方法は白色申告といい、特別な控除はありません。

しかし申告方法を青色申告にするだけで、最大65万円の控除を受けることができるのです。

青色申告は、税務署に青色申告承認申請書を提出するだけで行えます。

複式帳簿にしなくてはいけないなど経理面の複雑さは増しますが、65万円の控除は大きな節税になります。

ぜひ挑戦してみましょう。

青色事業専従者制度を活用しよう

個人事業主の場合、家族への給与は原則として経費に含めることが認められていません。

しかし青色申告の事業専従者とすれば、家族への給与も経費にすることができます。

青色事業専従者には条件があります。

・個人事業主と生計をひとつにして暮らしている配偶者、親、祖父母、子どもである
・その年の12月31日時点で15歳以上(学生は原則不可)である
・1年のうち6ヶ月以上はその事業に従事する

青色事業専従者は、原則としてほかでアルバイトやパートをしている場合は認められません。

しかし本業に支障のない範囲ならばOKです。

青色事業専従者になるには、青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出する必要があります。

共済に加入しよう

個人事業主にも、小規模企業共済(独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済制度)などさまざまな共済制度があります。

個人事業主には退職金や企業年金・就労保証などがありませんから、利益があるのならなにかしらの共済に加入しておくのがおすすめです。

共済への支払いは経費に計上できます。

しかし条件によっては元本割れのリスクがあるため、節税効果と比較して加入を検討しましょう。

サラリーマンの節税テクニック

節税とは
(写真=ベンチャーサポート税理士法人編集部)

サラリーマンは給与から天引きで税金を支払いますし、年末調整も会社がやってくれることが多いでしょう。

しかしサラリーマンでも、自分で節税することが可能です。

たとえば、次のような制度があります。

・医療費控除
・生命保険料の控除
・扶養控除
・株や投資による損益の控除
・確定拠出型年金
・特別支出控除

それぞれ領収書による計算や確定申告が必要ですが、必要な書類を正確に作って提出しさえすれば、税金の還付を受けることができます。

特に医療費控除は生計をひとつにしている家族全員分をまとめて申告できるため、使いやすい控除です。

最近ではセルフメディケーション制度も始まり、ハードルもより下がってきています。

確定申告の時期には税務署に無料の相談コーナーができるため、ぜひ一度相談してみましょう。

まとめ

個人事業主も法人もサラリーマンも、できる限りの節税がしたいという気持ちは同じだと思います。

それぞれで節税のテクニックは違いますが、共通して言えるのは「節税のためだからと無駄な支出をしてはいけない」ということです。

節税になるからと不要な部品を大量に購入したり、今はいらない車を買ったりしていては、結局手元に残るお金が減ってしまいます。

さらに税務署から脱税の疑いをかけられるおそれもあり、税務調査や追徴課税のリスクもあります。

自分の事業や経営状況をしっかりと見極めて、自分にあった節税テクニックをベストなタイミングで行いましょう。(提供:ベンチャーサポート税理士法人