市場は拡大基調、コロナ禍を契機にインターネット通販の利用が定着を見せ始める
~2021年の国内インターネット通販市場規模(物販系分野)は13兆2,865億円(前年比108.6%)※経済産業省データ~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内インターネット通販(主に消費者向け物販分野)市場の調査を実施し、商品・サービス分野別、参入企業の動向を明らかにした。
1.調査結果概要
経済産業省による電子商取引に関する市場調査※によると、2021年の物販系・サービス系・デジタル系分野を含むBtoC-EC市場規模は、20兆6,950億円(前年比107.4%)となっている。このうち物販系分野は13兆2,865億円(同108.6%)であった。EC化率が8.78%(同0.7ポイント増)となった物販系分野では、消費者におけるEC利用が定着を見せ始めたこともあり、市場規模の拡大が続いている。
インターネット通販(EC)市場をけん引するのは、例年同様アマゾンジャパンとなっており、2021年度の売上高は前年同様2兆円を超え、伸長率としても2桁成長を維持している。また、食品のサブスクリプションサービスやネットスーパーを展開する企業のインターネット通販売上高も好調に推移している。経済産業省データ※では、2021年の「食品、飲料・酒類」のEC化率は、3.77%(同0.46ポイント増)とほかの物販分野と比較すると低い数値である。しかし、「食品、飲料・酒類」の2021年BtoC-EC 市場規模は、2兆5,199億円(同114.0%)と2桁成長かつ物販系分野ではトップの市場規模となっている。コロナ禍で生まれた、自宅での時間をより豊かにするための新しい生活様式は定着をみせつつあり、ECにおける食品分野の成長を後押ししていると言える。
※出典:経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査」
2.注目トピック
作業生産性アップに向けた物流センターへの積極的な事業投資
市場の成長と共に競争が激しくなるインターネット通販(EC)市場において、顧客のきめ細かいニーズに対応した迅速な配送は、重要なサービスの一つである。また、近年では、大手宅配事業者、大手EC プラットフォーム事業者、家電量販店、大手アパレル企業等が大型の物流センターに積極的に事業投資を行っている。
物流の5大機能は、「輸配送」「保管」「荷役」「包装」「流通加工」である。「保管」や「荷役」を担う物流センターは、少量多品種の商品を効率的に保管し、ピッキング(指定された商品を保管場所から集めてくる作業)や仕分け、入出庫の業務負荷をいかに効率化、迅速化できるかにおいて、物流工程全体の中で極めて重要な位置付けにある。特に「荷役」は人手を要する作業であることから、効率化のためにパレタイズ(生産ラインの最終段階として、箱や袋、ケースといった荷物をパレットに積み付ける作業)、デパレタイズ(パレットから荷降ろしする作業)、ピースピッキング(商品を出荷最小単位でピッキングする作業)用の物流ロボットの導入も進んでいる。また、作業生産性の向上のためにAGV(自動搬送ロボット)やAMR(自律走行搬送ロボット)を導入する企業も見受けられる。
このような物流、配送の効率化に取り組む背景のひとつには、物流の「2024年問題」が挙げられる。物流の「2024年問題」とは、2024年4月1日以降、働き方改革関連法により自動車運転業務の年間時間外労働時間上限が960時間に制限されることにより発生する諸問題のことである。これにより、運送・物流業者の売上や利益の減少、また配達員の減少に伴う荷主への大幅な運賃値上げが予想されている。そのため、物流にかかるコスト削減に向けた物流ロボティクスの導入は進んでおり、今後もこの動きはより推し進められていくものとみる。
調査要綱
1.調査期間: 2023年4月~6月 2.調査対象: 通信販売事業関連企業 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)及び電話によるヒアリング、文献調査併用 |
<インターネット通販市場とは> 本調査におけるインターネット通販市場とは、インターネットをチャネルとする消費者向け(BtoC)の電子商取引(E-Commerce)をさし、主に物販、サービス、デジタルの3分野を対象とする。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 【物販】①総合小売(通販、カタログ、TV・百貨店・GMS・CVS) ②家電・パソコン・関連商品 ③書籍、映像・音楽製品 ④食品、飲料・酒類、健康食品 ⑤医薬品、化粧品 ⑥ 家具・インテリア、雑貨、日用品 ⑦衣類・服飾雑貨等 ⑧スポーツ用品 ⑨自動車・二輪車、パーツ等 【サービス】⑩宿泊・旅行サービス、交通機関 ⑪飲食関連サービス ⑫興行チケット予約 ⑬金融サービス(ネット銀行・ネット証券) ⑭ネット専業生命保険 ⑮理美容関連サービス ⑯フードデリバリーサービス 【デジタル】⑰電子出版(書籍・雑誌) ⑱有料音楽配信 ⑲有料動画配信 ⑳オンラインゲーム |
出典資料について
資料名 | 2023 ネット通販市場白書 |
発刊日 | 2023年06月28日 |
体裁 | A4 601ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
お問い合わせ先
部署 | マーケティング本部 広報チーム |
住所 | 〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2 |
電話番号 | 03-5371-6912 |
メールアドレス | press@yano.co.jp |
©2023 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。